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シンデレラになった化け物は灰かぶりの道を歩む  作者: ジルコ
第三章 シンデレラになった化け物は新たな運命を歩む
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第68話 想定外の再会

 アレックスに促され私自身も服を着替えに行く。クリスがランディと会うのであれば私も護衛として一緒に行く必要があるしな。

 手早く騎士服へと着替えながらランディについて考える。


 ランディ・ルイ・ユーファはスカーレット領とサルファー領に接するユーファ大森林を治める7大氏族の中の獅子族の跡継ぎだ。ユーファ大森林には獣人と呼ばれる動物と人間が組み合わさったような者とエルフが主に住んでおり、正確に言えば国と言う訳ではないのであるが主要な7つの氏族が森を守りながら生きているそうだ。まあ行ったことはないので知識としてしかしらないがな。


 カラトリア王国との関係は良好で、お互いに留学生を交換したりする間柄で獣人の冒険者がこのカラトリア王国でパーティを組んでいるのを見るのも珍しくはない。他国ではモンスターに近い扱いをされる国もあるしな。

 そんな訳でクリスやレオンハルトと同学年にいた留学生がランディと言う訳だ。


 こいつも毎回ではないがクリスの粛正に手を貸した憎い相手ではあるが他のレオンハルトやエンリケ、アンドレアなんかとは少し印象が違う。こいつは……


「お嬢様、お着替えは済みましたか? まだでしたらお手伝いしますが」

「アレックスか。いいぞ。入ってくれ」


 ノックの音と共に聞こえてきたアレックスの声に入室の許可を出すと私と同じ赤い騎士服を着たアレックスが中へと入ってきた。身長の低い私が着るとどうしても違和感が残ってしまうのだが、スカーレット家の騎士服を着たアレックスは精悍でより大人びて見える。


「髪を整えてくれ」

「はい」


 嬉しそうにブラシで私の髪をすく姿は昔と同じなんだけどな。そんなことを思いながら私はこっそりと笑みを漏らすのだった。





 支度を整えアレックスと2人でクリスの自室の前で待機する。部屋の中からはメイドたちがバタバタとクリスを着飾らせている音が漏れ聞こえていた。急な応対であるため大変そうだ。何か手伝えれば良いのだが、私達が中へと入ると余計に面倒なことになりそうだからな。


 その待ち時間にランディの事を考えていて、ふともう1人の事を思いだした。そう言えばあいつはランディのお付きとして学園にやって来たはずだ。ということは今も一緒にいるかもしれないと言うことだ。

 そのもう1人とはモーリス・ベルレアンと言うエルフの男だ。こいつは明確な敵だ。エルフの薬師に助けられ、そして教えを受けていたクリスはエルフと言う種族に対して親しみを持っていた。だからこそランディのお付きとしてカラトリア王国へ来て、学園で教師をするモーリスを慕っていたのだ。それなのにあいつは……


 嫌なことを思いだしギリッと歯が鳴った。大丈夫だ。今回は私がいる。あんなことは二度と繰り返させない。

 拳を握りしめ、そんな決意をしているとドアの開く音が聞こえ、対外用に着飾ったクリスが現れた。15歳になり背も伸び、そしてその体つきも女性らしく変わったクリスのドレス姿は思わず見とれてしまうほど美しい。そんなクリスが私に向けて穏やかに笑った。


「では行きましょうか。私の騎士様」

「はい」


 メイドの跡につき、クリスを先導しながら迎賓用の部屋へと歩を進める。なぜランディがここへ来たのかはわからない。しかしそれがもしクリスの幸せの邪魔になるようであれば私が排除してしまえば良いのだ。単純なあいつならそれも難しくはないだろう。問題はモーリスが一緒にいた場合だな。まあ私が疫病の治療薬を作ったから今のクリスは特にエルフに対して思い入れもない。問題は起きないはずだ。


 迎賓用の部屋の扉をくぐり抜けて入る。エクスハティオとメリッサの対面に座っていた男が私の方を向き野性味のある笑みを浮かべた。赤茶色の髪をたなびかせ鋭い牙を覗かせるその男こそランディだ。入ってきた私に対していきなり威圧をかけてくるあたり性格は変わっていないようだな。

 とは言えそれに今は付き合うことが出来るような場面ではないため軽く受け流すと、ランディはガッカリしたように表情を曇らせた。本当にこいつは馬鹿だ。


 ランディのことを一言で表すのであれば馬鹿に尽きる。まあ馬鹿は馬鹿でも戦闘狂という名の馬鹿ではあるのだが。こいつは自分よりも強い相手に貪欲に戦いを挑むのだ。それこそ相手の迷惑など考えもせずに。

 クリスと関わったのも、クリスが戦闘訓練においてこのランディを圧倒したことがきっかけでよく絡まれるようになったのだ。クリスも迷惑していたが、普通の学生よりは常に自らを向上させようとするこいつを認めていたところがあったしな。


 クリスがランディと挨拶をするのを壁際から見つめる。そして2人が椅子へと座ったところで視線を対面へと向けて私は固まった。そこに居たのは、ここに居るはずのない人物だったからだ。


「ロザリー……」


 私の対面でランディの背後に控えるように立っているエルフの女の名はロザリー・ブノワ。かつて6度、疫病の治療薬を開発し、クリスの家庭教師となった元薬師の女だった。

この後書きは本編のイメージを壊す恐れがあります。そういう事が嫌いな方は飛ばして下さい。


【お嬢様と従者による華麗なる後書き】


(●人●) 「新キャラが続々登場だな」

(╹ω╹) 「えっと、まぁ……別にいいですけど」

(●人●) 「正確に言えばやっと名前が出たんだがな」

(╹ω╹) 「1章から出てましたしね」

(●人●) 「作者も書き始める前に決めた名前をすっかり忘れていたくらいだ」

(╹ω╹) 「えっ」

(●人●) 「むしろこのままフェードアウト……」

(╹ω╹) 「可哀想すぎるでしょ!」

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わりとゆるゆるな現代ダンジョンマスター物です。殺伐とはほぼ縁のないボケとツッコミのあるダンジョンの日常を描いています。

「攻略できない初心者ダンジョン」
https://ncode.syosetu.com/n4296fq/

少しでも気になった方は読んでみてください。

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