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シンデレラになった化け物は灰かぶりの道を歩む  作者: ジルコ
第三章 シンデレラになった化け物は新たな運命を歩む
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第62話 レオンハルト達とのダンジョン探索

 ギネヴィアの提案通り翌日から私たちはスカーレット城のダンジョンへと向かうことになった。メンバーは私、アレックス、クリス、レオンハルト、シルヴィア、そしてギネヴィアの6名だ。シルヴィアが昨日の夕食時に言っていたことがそのままになったという訳だ。


 決定していることのように話していたのでそうなる可能性があるとは考えていたが、まさかソドスまで外されるとは思わなかった。私たち3人がダンジョンを探索するときには必ずソドスがついて来ていた。エクスハティオにダンジョンを探索する許可を得た時に出された条件の1つが必ずソドスを連れていくことだったしな。

 最近ではアレックスもクリスもダンジョンに慣れてきており、ソドスが口を出すことも少なくなってきていたとはいえ、あの過保護なエクスハティオが自らすすんで外したとは考えられない。おそらくあの後に何らかの話し合いがもたれたのだろう。


 そこまでしてギネヴィアがレオンハルトに何をさせたいのかはわからないが、私のすることはどちらにせよ変わらない。クリスを守るだけだ。


 装備を整えダンジョンの前で待っていると、しばらくしてレオンハルトたちがやってきた。レオンハルトはシルヴィアが着ているのと同じような白銀の鎧を身に着けている。それなりに使い込まれているようで鎧に着られているようには見えない。


「どうかな?」

「とても良く似合っているわ。格好良いわよ」


 少し恥ずかしげにそう聞いてきたレオンハルトにクリスが顔をほころばせながらそう答える。確かにクリスはレオンハルトのこの姿を見るのは初めてだからな。好きな相手の凛々しい姿を見れば嬉しくもなるだろう。

 逆に私は沸き上がってくるムカムカとした感情を抑えるので精一杯だ。レオンハルトのこの鎧は学園に入ってからも使っていたミスリル製のものだ。この鎧姿でどれだけクリスを裏切ったか。そして断罪され、殺されたか。その憎しみを思い出させるのに今のレオンハルトの姿は十分すぎるほどだった。


「お嬢様?」

「……何でもない。気にするな」

「はい。でも無理はなされないでくださいね」


 ふぅーと深く息を吐き、胸に溜まったものを吐き出していく。アレックスに心配をかけたままではいられないからな。それにこれからしばらくはレオンハルトのこの姿を嫌でも見続ける事になるのだ。早く慣れなければ。

 楽しげに会話を重ねているクリスとレオンハルトをその場に残し、ギネヴィアとシルヴィアがこちらへと近づいてきた。礼を取ろうとしたところで手を差し出されて止められる。


「今日からしばらく一緒に探索するのだからそういったことは不要よ。もちろんシルヴィアにもそう伝えているわ」

「「わかりました」」

「エティから話を聞いたけれど今は15階層まで探索済みなのよね」

「はい。先日15階層のフロアボスを倒しました」

「本当に早いわね」


 ギネヴィアが感心したように私たちを見つめる。

 確かにダンジョンの15階層と言えば普通は中堅の冒険者が探索するような階層だ。敵もそれなりに強く、罠も引っかかれば大怪我を負うようなものも少なくない。つまりただ強いだけでは探索のできない階層でもある。

 そんな階層を探索できていたのは6度のクリスとの人生を過ごした私が罠についてもかなりの知識があったこともあるが、何よりソドスという強力な後ろ盾があったからに他ならない。何かがあったとしてもフォローしてもらえるという安心感があるからこそそこまで進むことが出来たとも言える。


 しかし今回はそのソドスがいない。シルヴィアは強いだろうが護衛が任務だし、そもそもどこまでダンジョンに通じているのかさえ不確かだ。ソドスと同じと考えるのは少々難しい。

 ギネヴィアもいることだし、しばらくはどの程度の動きが出来るのか確かめながらゆっくり進むべきだろうな。そんな結論を出そうとしていた私にギネヴィアは信じられない言葉を発した。


「じゃあ今日の目標は15階層かしらね」

「ちょっと待ってください、王妃様。15階層だと最短ルートを通ったとしても行き帰りだけで1日がかりになります。かなり早く移動した上で、です。さすがに厳しいかと」


 アレックスが慌てて止めようとするが、ギネヴィアはふふっと笑うだけで聞き入れる様子はなかった。どちらの意見が正しいかは言うまでもない。ギネヴィアの言葉はダンジョンを知らない者そのものの発言だった。私もアレックスの言葉を援護するべきかと思って口を開きかけたところでギネヴィアに手で制される。


「ここは私の実家よ。そのくらい知っているわ。それにあくまで目標なのだから時間で折り返すわ。そのくらいのペースで行きましょうってこと。つまり私たちのことを考えないで3人にはダンジョンを探索して欲しいのよ」


 真剣な表情に切り替えてそう言い切ったギネヴィアの様子に、私とアレックスは言葉を挟むことができず、ただ了承したことを伝えることしか出来なかった。

この後書きは本編のイメージを壊す恐れがあります。そういう事が嫌いな方は飛ばして下さい。


【お嬢様と従者による華麗なる後書き】


(╹ω╹) 「そういえばダンジョンの15階層って世間的にはどのくらいの認識なんですか?」

(●人●) 「ふむ。まあ実際はそのダンジョンの難易度によるんだが基本的には15階層を探索しているのは中堅からベテランの冒険者だな。騎士団でいえば新人では危ないという認識の階層だ」

(╹ω╹) 「わかりやすいような、わかりにくいような」

(●人●) 「では別名を教えてやろう」

(╹ω╹) 「別名ですか?」

(●人●) 「そうだ。ダンジョンの中層、15階層辺りは”壁”と呼ばれている」

(╹ω╹) 「壁、ですか?」

(●人●) 「うむ。色々な意味でな。その意味は自分で考えてみろ」

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わりとゆるゆるな現代ダンジョンマスター物です。殺伐とはほぼ縁のないボケとツッコミのあるダンジョンの日常を描いています。

「攻略できない初心者ダンジョン」
https://ncode.syosetu.com/n4296fq/

少しでも気になった方は読んでみてください。

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