探偵’S 野々宮&昴の超常推理――問題編
はじめまして。ボク、瑞緒昴です。一人称は“ボク”でも、一応中学二年の女子だからね(忘れないでよ?)。
これから、ボクと教授(野々宮唯のあだ名ね。後で説明するから)が解決した事件のことを説明するにあたって、少しボク達のことを紹介させてもらうね。
ではあらためまして、ボク、瑞緒昴です。霞乃中学に通っている、2年生。クラブは、陸上部に所属している(1500メートル走が得意)。身長は160センチくらいで体重は秘密。趣味は、走ることと機械いじり。ボクは、手先が器用な方なので、得意科目の中に技術家庭が入っている(もちろん、体育もだけど)。
見た目のほうは……う〜ん、どうなんだろう? 自分でも、目が大きいのは自慢にしてるけど……ま、そんなことはいいか。
次に教授――唯の説明。
本名、野々宮唯。霞乃中学のAI(人工知能のことね)の異名を取るほどの天才(でも、自然科学はまったくダメ)。運動もまあまあいい。文芸部に所属してるんだけど、実はすでに推理作家“双野実弥”としてデビューしている。このことは、私以外誰も知らないみたいだけどね。でも、教授の小説は学校内でもおもしろいって有名だ。
見た目も、女子のボクから見ても、かなりいいんじゃないかな……
でも、そんな教授にも弱点がある。それは、機械類に弱い!!!!ということ。自分が機械みたいだから、使う必要がなかったのだろうか?
勉強はできるし、運動もまあまあ。おまけに小説書かせたらプロ級(まあ、一応プロだし……)。多少機械に弱くても、たったそれだけのこと。ルックスもいい。さぞかし男子にもてて、人気があるのだろうと思ったそこのあなた!
(教授には悪いけど)大間違い。教授には、決定的な部分がかけている。それは、性格。無表情で無感情。さらに、中学生の女の子とは思えないくらい、しゃべらない……
こんなボク達にも、共通している部分がある。それは、大のミステリー好きだということ。だから、ボクがクラスの人だけを対象にした、身近な謎を解明するサイトを立ち上げたときは、教授も協力してくれた。その時に、探偵役もやってくれることを約束してくれた(そこからしばらく調査漬けで、地獄を見たけどね……)。
いまからみてもらうのは、チェーンメールによって広がった、怪談話の調査記録。
はたしてあなたは、ボク達より先に真実を見ることができるだろうか?
瑞緒 昴――ボク。霞乃中学に通う2年生。
野々宮唯――あだ名は教授。霞乃中学に通う2年生。
女奇トンネル――全国的にも有名な心霊スポット。最近落雷している。
1、発端
ボクが立ち上げたサイトに、奇妙な書き込みが書かれていたのは、5月1日のことだった。次のかぎかっこは、その文章。
「女奇トンネルのうわさ 匿名希望 5月1日 18時36分
私が住んでいるところの近くに、女奇トンネルという全国的にも有名な心霊スポットがあります。そこでは、よくある幽霊の目撃情報の他に、肩をたたかれたのに、うしろには誰もいなかったり、水のはいったペットボトルを地面に置くと、音がしていないにもかかわらず震えだしたり……とにかく怖いです。
野々宮さん、瑞緒さん、調査お願いします!」
そういえば、まだボクのサイトのこと、説明してなかったよね。
ボクのサイトは、いわゆる掲示板方式。チェーンメールや、口コミで広がっている噂話をどんどん書いてもらっている。利用できるのはボクのクラスの人だけだけれど、すべて匿名だから(名前を書く人もいるけど)、男子も女子も関係なく利用してもらってるんだ。みんなからも、結構評判いいし、たよりにもされている(でも、かなり怖い目に会うこともあるんだよね・・・)。
話を元にもどす。
依頼されたからには、調査しないといけないんだよね……(あたりまえか)。
にしても、女奇トンネルかぁ……やだなぁ……教授、なんて言うだろう……
とりあえず、電話だけしてみようかな。
TRRRRR、TRRRRR……
「……はい」
いつも通り、機械みたいな声が聞こえてくる。教授に間違いない。
「あ、もしもし?ボク。あのさ、例のサイトの調査依頼で、女奇トンネルに行かないといけないんだけど、どうする?いつなら行けるの?」
「……明日の放課後なら…………」
教授が言う。
明日か……最悪…………
まぁ、謎を解くのは教授だし、いいか。
「じゃあ、明日の放課後、即!女奇トンネル前ね。それじゃ!」
ガチャ。僕は電話を切った。
でも、原因が本当の幽霊だったらどうしよう……?
2、調査
……退屈。
ふぁ〜あ、っとあぶない。ボクは、慌てて教科書で口を隠す。
今は木曜日の6間目の授業。しかも、僕の嫌いな英語の授業……
眠くてしょうがないんだよね……ふぁ〜あ……
「瑞緒、この答えは何だ?」
急にきかれて、ボクはびっくりした。
急に答えろって言ってもな……っていうか、今どこをやっているのかすらわからないし。
「えっ……と、今どこですか?」
ボクは、正直に言った。
先生は、はぁ……とため息をついた。
「おまえなぁ……授業ぐらいちゃんと聞いておけ。――よし、野々宮。お前が代わりに答えろ。瑞緒、しっかり聞いておけ」
ボクの代わりに、教授が名指しされる。
「……I will go to the zoo next sunnday.(私は次の日曜日に動物園に行くだろう)Is it good in this?(これでいいですか?)」
「完璧だ。おい、瑞緒。わかったか?」
……なんで、この先生はボクばっかりを目の敵にするんだろ?
あ〜あ、早く授業が終わらないかなぁ……
キーンコーンカーンコーン……
でも!なんとか!ようやく!授業が終わった!!!疲れた……
でも、そんなこといってられないんだよね……SHRが終わったら、女奇トンネルに行かないといけない。
まぁ、SHRくらいすぐだし、がんばろ。
SHRのあと、ボクは教授を追いかけた。教授は、準備をさっさと済ませてしまうから、帰るのが早い。
「教授、まってよ」
ボクが言っても、振り向かずに廊下を歩いていく教授。ねっ、教授って、可愛げがないでしょ。
ボクが追いついても、一切反応なし。――気まずい空気が場を支配する。
「……ねぇ、教授。少しくらい話しかけてくれてもいいんじゃない?」
「……」
……会話にならん!
「ねぇ、教授」
「……用件を言ってくれないと、こたえられない」
やっと口を開いてくれたよ……
ボクはひとつため息をつく。
「どうやってあそこまで行く?」
「……歩いてに決まっているでしょ」
あ、歩いてだとぉ……こいつ、正気か?(あっと、いかんいかん。思わず男みたいな言葉を使ってしまった)
「で、でも、教授。女奇トンネルまで大体10キロ弱あるよ?今はバスって言う便利なコーキョーコーツーキカンがあるんだからさ……」
言葉を見てもわかるとおり、ボクの顔は引きつっている。
「……一人暮らしの私は、そんな余裕はないの。……それに、あの辺りは最近工事中だから、バスはお休み」
バスがないだとぉ〜!
そんなボクをかまわず、さっさと歩いていく教授。
ちっくしょぉ〜!女奇トンネルなんて、大っ嫌いだぁ!!!!!!
1時間半後……
ボクは、少し息を切らしながらも、なんとか女奇トンネル前に到着した。教授は、涼しい顔をしている。もしかしたら、ボクより体力があるのかもしれない(いや、顔に出していないだけか……)。
これで、調査する前に倒れる心配はなくなったけど、トンネルに着いたことで、幽霊に呪い殺される心配が出てきた。
まぁ、教授が一緒だから、大丈夫だと思うけど……
「……なにをしているの。いくわよ」
教授がボクを呼ぶ。
そのときだった。
風なんか吹いていないのに、木がざわざわ動き出した。
「ちょっ、何これ?」
ボクは教授の服の襟首をつかみながら言った。
「……はなしてくれる?」
教授が殺気のこもった声で言ってきたので、ボクは手を離した。
「……これを調査するのが、私たちの仕事」
そりゃあ、そうなんだけどさぁ……
「……いくわよ」
さっさと中に入る教授。
まってよ、教授。
ボクは、教授についていく。それも、張り付くように。
――トンネル内は、気味が悪いくらい静か。耳鳴りがしてくるくらい。
ボクが怖がっているうちに、教授は水が半分くらいはいった500mlのペットボトルをかばんから取り出した。
ボクはわかった。水の振動の調査だ。
「……いい?絶対にしゃべらないで」
ボクはこっくりうなずいた。
ボクと教授は固唾を呑んでペットボトル(500ml)を見つめた。
1分くらいたつと、不思議なことに、水がペットボトル(500ml)の中で暴れ始めた。
「どうして……?」
「……わからない。次、いくわよ」
ボクは、そうだねと言って立ち上がろうとしたとき、背中を誰かからたたかれた気がした。
後ろを振り返ると、入り口が見えるだけで、何もない。
「ね、ねぇ、教授。い、今誰かに背中をたたかれた気がしたんだけど……」
ボクの言葉で、教授は振り向いた。
「……それ、ほんと?」
ボクはコックリうなずいた。
しばらくあごをつまみ、こう言った。
「……謎が、真実を語った」
……うそ、教授には、今回の事件の真相がわかったって言うの?
読者への挑戦
え……っと。
どうも。瑞緒昴です。
この事件、どうでしたか?
教授は、すでに今回の事件の謎を解きました。
あなたも、この事件の謎を解いてみてください。ヒントはすべて物語の中にあることを保証します。
それでは、回答編でお会いしましょう!
Good Luck!
神津光彦です。主にジュブナイルミステリを書きます。文章下手ですが、よろしくお願いします。