晴天の霹靂
前々から考えてた没ストーリーを小説として再利用した話です。
チート要素はありません、ハーレム要素は今後の展開によるかも?
ぶっちゃけ、こんな文章を書くのは苦手でこういうのも初めての作品なのでどう転ぶか未知数です。
つたない文章でもそれでも気に入った、応援してくれるという方がいてくれれば今後の創作意欲の糧になるのでお願いします。
西暦2018年
常に物語の始まりは突然だ。
それは崩れ行く日常か、それは新たな謳歌の讃美歌か…どちらにせよ自分の知る世界が一瞬にして過去の歴史に消える。事の始まりはそんな経験から始まる。
摩訶不思議…そんな言葉で片付けられるなら今起こっている不可解な事態の表現は簡単だ。
しかし事は常に些細ながら複雑に始まる。
ーーー
少し記憶を整理すると、そう…俺は何処にでも居る高校生17歳、一部の優秀な出世コースまっしぐらな人間と違いその他と同じく大学に進学し就職し余生を消費して死ぬ、そんな当たり前の生活を送るものだと思っているただの一般人に過ぎない。
未成年の身でこれといった特技はない、決して友達も多いとは言えないし勉強も得意というものでもない。そもそも学校に興味が無かった。そんな俺だが趣味といえば本を読み映画やアニメを見ること、強いて言うなら自分の知らない事を調べ記憶力は決して悪くないと自負している。好きなジャンルに関しては…。その程度の事に過ぎない。
この日もまた興味の湧かない授業の合間を縫って家から持ってきた本を読み、指を折って数えられる程度の友達とアニメとか漫画とかそんな軽い雑談で何気ない一日を過ごしてなんだかんだと気が付けばもう夜を迎える。
決して退屈な日々ということではなかった、観たい映画もアニメも読みたい本もあった。単にそれら以外の興味が薄かったというべきか。
そんな日常の最後は毎度の事ながら無の意識に落ちる、目を覚ませばまたいつもと変わらない明日が来る
そう思っていた。今日までは…
夢の中、いつも意識の中は落ちるような感覚、もちろん肉体的実感では無い頭の中で起きる精神的な感覚だ。しかし、今回は眠りは早く深い何者かに魂を捕まれ強引に漆黒の奈落へと引きずり込まれるような感覚で吸い込まれていく。気持ち悪い。
しかしそれは思っていたよりも短く終わる。
ーーー
目を瞑ってからの時間、数分…?
不意打ちで拭きつける風。…風?急に現実に戻される。
おかしい、俺はちゃんと戸締りした筈だ。それでなくともこの全身を軽く拭う様な雰囲気は違和感を覚える。まるで野宿しているようなリアルな感覚に陥る。少なくともあの闇にもどるよりかはマシだが。
そこから否応なく目を覚ます。
そして今に至る
これは正に晴天の霹靂、その視界は毎日見る馴染みの天井ではない、あるのは見るにまぶしい晴天。
あまりに突然の出来事に思考が混濁する。
数秒前まで夢の中に浸っていた処から急に現実なのかも分からない意識はやけにハッキリと冴え渡っている。にも関わらず頭の中はこの状況を受け入れられずにいる。
理解を拒む。鼓動は早い、やけに吸いなれていない新鮮な酸素が肺に流れ込む感覚は初体験。否、今の全てが初体験。
体は一時的な全身麻痺しているが痛むところは無い、怪我が無いだけまだマシと安堵するべきなのだろう。
「光あれ……か」
目を覚まして発した初めての一言、平静を装っても限りなく多い混乱と少ない情報の中で辛うじて絞り出した答えだ。
我ながら洒落た答え…大して上手くもないがそう自画自賛できる楽観視もまだ思っているほど余裕があるからだな。とも思う。
で、ここは一体…?慌てふためくよりも多くのしかかる疑問。日本ではないのは空気感で理解できる。アメリカ?違う、イギリス?違う、フランスか!いや違う…。海外には滅多に行ける身分でも無い者に一晩で海外に飛ばされるドッキリなど万が一にもあり得るはずがない。
真っ青な空を眺め熟考に浸っていてもブルーになるだけで埒は明かない。のんびりと日光浴を楽しんでいる余裕があれば良いが…。重い体をゆっくり起こす。
視界は青から緑へ変わりそこが名も知れぬ草原の何処かなのが第一印象。
とりあえず人間らしく自前の二本足で立ち上がると意識が切り替わる、改めて冴え渡る風景、目覚めてから十分も経ってないだろうが自分にそれほどの危機的状況でないのもあってか少しずつ思考は落ち着きを取り戻してこういう時はひとまず心機一転。
そして気づく、自分の服装が寝巻ではない事に。
確かに寝るときに着替えたはずだ、しかし、今着ているのはどう見ても学校の制服。また記憶の時間軸がズレ始める。
だがこれは幸いというべきか…半袖短パンとはいえ寝巻のままでうろつくの流石に自分が恥ずかしい。
それよりも気にすべきことは山ほどある。
まず、ここが何処でこれからどうするべきか情報収集から始めるが先決だな。
せめてもの冷静にいることが一番リスクが小さい、自分にそう言い聞かせる。
次に何処に行こうか。まずは人…最低、人でなくていい、とりあえず意思疎通が出来る相手が欲しい。聞きたいことが沢山ある。
勿論、今の状況では自分以外の全てが敵になる、周囲を警戒しながら周囲を探索する。
見知らぬ場所は壁のない迷路のようだ。
この状況に明確な打開策を見つけられずに歩き続けて少しずつだが理解が増えてくる。
まず、多少の見慣れない花や草があるがおおかたの草木は自分が見たことのあるものも多い。気候的にもやはりここは日本以外の地球のどこかなのだろうか?
上を向けば太陽らしき恒星、腕時計があればおおよその方角は理解できる。ここが地球である前提での話ではあるが…。方向音痴でないのがこれほどまでにうれしく感じたことはない。
根拠はなかったが方角さえ分かれば北に向かった。今はそれくらいの事にも縋らずにはいられない。一先ず川か道路に出ればまだやりようはある。そう思いながらひたすらに道なき道を直進するしかない。
時計の針が一周、二周と終えるころ、努力はいつか報われる。希望は確信に変わる。俺の賭けは運命に勝った。そう叫ばずにはいられない。やっと補装されたされた道にたどり着いたのだ。
良かった、道がある、そして何者かに手が加えられているということはそこが頻繁に交通があり物流の先に何かしらの文明が有るということだ。
簡単な考察ではあるが多少の希望が芽生える。しかし、まだこの世界に体が慣れていないのか単に俺の体力が無いだけか、ここに辿り着く間にも足は棒のように固く限界を迎えていた。ここで待っていればいずれ誰かに会うだろ。おとなしく待っていよう。
今分かっているのは何処にいるのか俺が見知らぬ場所に一人っきり、彷徨っているということだけだ。