理不尽冒険の始まり始まり!? 6
「それで、カネモーチは俺に何のよう?」
「あぁ、言ってなかったね。君、特別棟ではなく、我々が使ってる場所を使うのだろ? なら、歓迎したくてね?」
「歓迎? そんなのいらねぇよ。俺はただ強くなれれそれでいい」
「君、まだ授業内容とか知らないだろ? 今の内に言っとくけど、基本外へ出て、モンスターと戦う以外の授業は極わずか。それに、一人で戦うのもいいが、チームを組んだ方が楽だぞ?」
「う〜ん。それはその時になったらなんとかなるするよ。声掛けてくれてありがとな!」
「いやいや。皆君に会いたがってるんだ。ぜひ来てくれよ?」
「あんがと! じゃな〜!」
「君を皆いじめたがってるんだよ……下民風情が、我らと共にいようなどと……」
その場から立ち去る善弥に、その言葉は届かない。そして次の日、善弥は、孤立する。
合格した翌日、善弥は少し緊張しながら登校する。その途中、少しでも強くなれるよう、モンスターを倒しながら進んで行く。
緊張するなぁ……でもなんかありそうなんだよなぁ……。
そして学校へ到着し、教室へ入ると、想像とは全くかけ離れた光景が目の前にあった。
天井は高くシャンデリアが教室を照らし、黒板ではなくモニターがある。床は大理石、男女同じくらいいるが、皆かっこよかったり可愛かったり……。
「は、初めまして……」
「あ、来たね。では、早速で悪いんだけど……僕と決闘をしよう。ほら、早く着替えて?」
「…………断れないからな。でも、急すぎね?」
「何を言ってるんだ。急ではないよ。それに、皆も君と決闘をしたがっている。ほら、早く準備をして?」
はぁ。こりゃ俺みたいな下民がここに入学しないわけだわ。絶対一人で力つけた方が強くなれる。
それから、善弥は決闘の準備を済ませ、試験で使ったドームへと移動する。中へ入ると、そこには一年だけでなく、全校生徒が集まっていた。
「はぁ? まさかこれ全部戦うとか言わねぇよなぁ?」
「何を言ってるんだい? そんな当たり前のこと、聞かなくてもわかるだろう?」
「あー。まじかー。これ全部相手はキツいなぁ……」
そう嘆いていると、ヘルメンドが壇上に上がり、高らかな笑い声をあげ始める。
「あはははははは!! すまんなぁ。やはり、貴様みたいな下民はいらん。だから、ここで生徒と戦ってもらう。全員となぁ?」
「これだから理不尽ってのは嫌いなんだよ……」
フツフツと滾る怒り。爆発寸前まできている怒りを抑え、ヘルメンドに話しかける。
「これ、全員倒したら、お前も俺と戦ってくれるのか?」
「私とだと? 仮にも私はここを統括するリーダーだぞ? 実力は貴様の何倍もあると思うが?」
「ゴタゴタうるせぇんだよ。ここの全員倒したら、俺と決闘しろヘルメンド」
「よかろう。全員倒したらな?」
「わかった。……よし、じゃあまずは肩慣らしに俺の相手になる奴はいないか?」
「この私、カネモーチがお相手致しましょう」
「ああ。観客で見てるお前らー! 邪魔したらぶっ殺すからな?」
善弥とカネモーチは、一定の距離を取り、向かい合う。
『おい、さすがにこの数相手だとお前でも厳しいぞ?』
「いや、なんかさ。俺やれる気がしてきたわ。こいつらと戦っても強くなれるんだろ?」
『なれるが……』
「なら、話は早い。コイツらと戦って強くなってここを俺が制圧してやるよ」
両者戦闘態勢に入り、合図を待つ。
「始めぇー!」
その合図と共にカネモーチは、装備していた長剣を突き出して、突進してくる。
入試の奴らとは段違いに早い! だが……!
服を剣が掠めるが、なんとか避ける善弥。すぐさま地面を蹴って向かってくるカネモーチの目は、人を殺そうとする目をしていた。
さすがこの学校の合格者。強い。だけど、そのおかげで俺も強くなる。なら、死ぬ覚悟でやりきるしかねぇ!!
最初は逃げることしか出来ず、手も足も出せなかった善弥。
周りからは「逃げるなー!」や「早く死ねー!」などの罵声が飛んできたが、全てを無視した。
それは暫く続いた。だが、段々と動きに余裕ができ、先程までギリギリだった攻撃も、今ではすんなり避けられまで成長する。
「な、なんだ貴様!? 避けてばかりで何もしないなんて、恥だと思え!」
「いや、もう避けねぇ。次は俺から攻撃を仕掛けさせて貰うぞ?」
「ほざけぇーーー!!」
今までで一番鋭く早い突進は、善弥に向かって一直線だ。だが、それをいとも簡単に躱し、剣をへし折り、ついでにカネモーチの肋と心を折るつもりで、全力で腹を蹴る。
「お前の負けだ、カネモーチ」
その言葉通り、カネモーチは戦闘不能になり、担架で運ばれていった。