理不尽冒険の始まり始まり!? 2
「なぁ、バトルスクールって所に行くのはいいけどさー、俺弱いよ?」
『まぁそう言うな。ここからバトルスクールまでは三キロある。道中モンスターがいるから、戦いながら進むのがいいかもな』
「だな。でさ、ゲームとかだと特殊能力とかさ、熟練度とかあるじゃんか? それとかもあるのか?」
『ある。剣士なら剣、魔法使いなら杖、と言った具合で、それぞれの職業で使える武器が限られる』
「それはそうだな。剣士が杖使って魔法使ってきたら泣くぞ」
『特殊能力、ここではアビリティと呼ばれている。誰もが生まれながら一つは持っている物だな。稀に二つ以上持つ者もいる。善弥で言うところの、不死の能力みたいなものだ』
「それは成長していう上で獲得できるのか?」
『できない。……が、お前はどうなるかはわからん。私も全部知っている訳では無い。あ、一つ言い忘れていたが、お前は武器は使えんぞ?』
「…………え?」
『こればかりはどうにもならなくてな、職業は生まれた時に決まる。この世界でな。つまり、この世界で産まれなかったお前に、武器を使う才能など、あっても周りより成長が格段に遅い。だか、一つだけある』
「武闘家だな?」
『そう、武闘家だ。だが、この世界で武闘家なんて者は皆無に等しい。なぜだかわかるか?』
「そんなの、こんな実力社会で、武器も持たず戦おうなんて考えるやつは頭がぶっ飛んだ奴しか考えない」
『そうだ。それに、生まれた時に職業が決まると言っただろ? 武闘家が適正で産まれてくる事がある』
「おい、まさかその産まれてきた子供は使えないから捨てるとか言わないよな?」
『…………』
「その考えも、俺がいつか必ずぶち壊す」
『頼む』
話が終わり、試験の内容の話をした後、時間まで鍛えながら進む事を決めたため、早速家を出る。
外はそれなりに活気づいていた。どこの店も、どこの家族も、皆笑顔だ。だが、所々で見つける。強者が弱者をいたぶるところを。そして、それを見て見ぬふりをする者を。善弥は、耐えた。
今の俺では、止めに入ったところでやられるのが落ち。なら、ここは我慢だ。頼む、そこでやられてるあんたも我慢してくれ……!
善弥は歯を食いしばり、町を出た。
門を出ると、そこは大草原が広がっていた。気持ちいい風邪が吹き、道がどこまでも進んでいる。
「モンスターって、こっちから攻撃を仕掛けない限り何もしないのか?」
『それは無い。人を見た瞬間に襲ってくる。だが、利口なやつは、自分より強いと思った者からは逃げて行く。だが、数で有利だと思ったら攻めてくる』
「そんな設定の外でレベル上げとは、これまた捗るねぇ〜」
『言っておくが、モンスターはかなり強いぞ? 武器のリーチがあるから勝てるわけで、それに、本来なら小さい頃から戦わされて、ある程度の経験は積まれているんだ。未経験のお前では、勝てるかわからんぞ?』
「はいはい。わかってますよーっと。殺られたところで、俺、死なないし?」
『だが何回も死んでもいいということには……』
「まぁそれもそうだな。だけど、死ぬ気で戦わないとこの先やってけない。なら、死んでもいいから今はやるしかない」
『……ふっ。頼もしい奴だ。期待してるぞ』
「任せろ!」
それから、バトルスクールまでの道のりは、出会ったモンスターとは全て戦った。何度も死にかけた。だが、不死の力なのか、治癒が早く、すぐに戦いに復帰できていた。
「なぁ、なんてこんなに回復速度が早いんだ? 不死の力なのか?」
『いや、それは無い。不死の力に、回復を早めるなんて力は無いからな』
「だとしたら、これは何でだ?」
『一度、自分のステータスを見てみろ』
「お、そうだな」
善弥は自分のステータスを確かめる。
「なになに? ステータス値は変わりない……あれ? アビリティ欄に、不死以外の能力が書かれてるぞ?」
『そんな馬鹿なことがあるか? それじゃチートじゃないか』
「えーっと? ……自然治癒力強化……いつ覚えた? 俺心当たり無いんだけど」
『そんなの私も知るかぁ! でもまぁ、不死の力に自然治癒力強化、この上ない組み合わせだろ? 戦ってるやつも嫌になるな。死なない上に回復が早い。なんて理不尽なんだろうな?』
「確かになぁ……でもま、理不尽な行いをしてきた奴を成敗できるならなんでもいいわ」
『ははっ、程々になぁ?』
「はいよっ!」