妹がいれば幸せかと思ったけど…
それは、突然だった。
いつもと同じ一人でさみしい夕暮れの道。妹属性の女の子のことが大好きな俺は、いつもこの場所で叫んでいる。
「妹が欲しいっ!美少女降ってきて!」
これで何度目だろう?!
降ってきてと言って美少女が降ってくるそんな都合いい話はない。わかってる・・・
「妹さいいればいい、幸せだ」そう言って妄想のスイッチを入れた途端__
「ねえ!お兄ちゃん!おにーちゃんってばー」
なんだよ気のせいだよ。そんな冷やかしにはのらない!
「うわーっ!!」
急に背中によじ登られて、耳に生暖かい息を吹きかけられる。
「もうっ!なんでこっち向いてくれなかったの?」
「そんなの・・・こんなところに普通女の子がいるわけないからだよ・・・」
「自分で毎日私のこと呼んでるくせにナニヨソレ」
「呼んでる?・・・」
過去の言動を振り返る
「さっきだっていもーとがほしーって叫んでたじゃん?ま・さ・か心当たりないとか言うんじゃないよね?」
「もうこれで323回目よ」
「うそやろ?・・・毎日聞いてたってこと?」
「ずっと見てたよ・・・お兄ちゃんのこと・・・」
「私が住む世界では11歳になったら、下界にご主人様(お兄ちゃん)を見つけて幸せにしないといけないんだよね・・・んで毎日お兄ちゃんを見てたわけなの。」
「幸せにするって?見ていたって?君は知ってるの?」
そう、俺は中学に入って途端担任の教師からいじめられるようになったんだ。理由もわからない、理不尽に教科書を投げつけられたり、私物を奪われている。実は・・・その影響で学校も最近あんまり行っていないのだ。良くないことはわかってるんだけど・・・この妹属性の女の子が好きってことが知られた途端この仕打ち。だから毎日叫んでいたんだ。妹が欲しいって。ありえないけどね・・・
「お兄ちゃんはせんせーにいじめられている、大人に不信感を持ってしまった。だから学校にもあまり行けなくなっている。そうでしょ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあいいよね?これから毎日杏幸と一緒で」
「あこ?君の名前なの?」
なんか意外と普通の名前だな・・・
まあいっかビジュアル的に杏幸にかなう子なんていないし・・・
「そうだよ!うーんとお兄ちゃんのなまえはっと・・・幸村塊くんだよね?」
「うん、そうだが?なぜ知ってるんだ?」
「それはないしょだよっ!!ご、ごめんお兄ちゃん強く言いすぎっちゃった・・・」
「まあこっちの世界にも守らないといけないことがあるんだ・・・ごめんね・・・・・・」
「杏幸が謝ることじゃないよ。ごめんね何も考えずに・・・」
よしっ!お兄ちゃんっぽいセリフだったぜ!!!
「突然だけど、お兄ちゃんこの世界から出てみない?」
「そうすれば私と二人きり、もっと綺麗な世界で遊んで暮らせる。怖い先生もいない・・・ね?いっしょに行かない?」
なんだこれは・・・?
いきなりすぎて何がどうなってるかわからない・・・そもそもこの世界から出るって?異世界か?それはいいな!けど本当にそんな話があるのだろうか?
「なあ、杏幸この世界から出るってどういうことだ?」
「うーんとね~・・・まあいわゆる異世界ってとこかな・・」
写真のようなものを見せてきた。そこに写っているのは大自然と人がいない大きな都市のようなものが写っている。
「ここはね少し前まではみんなが住んでた世界なんだ・・・けどつい最近急に謎の光とともに人が消えてしまったんだ・・・そこで原因を突き止め、またみんなが幸せに暮らせるようにしてほしいと私の世界で頼まれていたんだ・・・無理にとは言わないけど・・・」
すごく暗い顔をしている、それは何が大事なものを失った顔にも見えた。
杏幸を傷つける訳にもいかないので・・・これ以上聞くのはやめよう。
「杏幸、ここは安全なのか?」
「保証はできません。でも大きな泡で囲まれた中央部は安全だと聞いています」
「よしっ!決めた!!」「一緒にその世界に行こう!!」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
退屈だった、人にいじめられて、学校にも行けずに・・・人も信用出来なくて・・・
そんな自分を変えるためにきっと杏幸がチャンスをくれたんだろう。本当に大好きな妹に出会えた、そしてその妹のために、これから生きるんだ!
希望に溢れた瞬間だった。ありがとう杏幸。
そんな俺はこれから待ち構える困難に気が付きもしていなかった。
つづく
初めまして、塊下です
初登校です至らぬ所足りますがよろしくお願いします。
追々色々書いていきます不定期な投稿ですが、暖かく見守ってほしいです。
最後にコメント等とても嬉しいです!