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第95話 「海の家!ワタル、バイトをするッ!」

 それは、リベリオンが出版社に漫画を持ち込む3日前のことであったッ!


「このキュウリ味のプロテインとはちみつ味のプロテインを混ぜて飲むと……おおッ! メロンの味がするッッッッッ!!!!!」


 ワタルがいつものように部屋でプロテインのフレーバーの調合をやっていると、突然ドアを叩く音が響いたッ!






 ドンドンドンッ!






「武ッ!? はい、どうぞッ!」


 ワタルがそう言うと、ドアがガチャリと開くッ! そこにいたのは、ぼさぼさの黒い髪を無造作に伸ばした、筋骨隆々の男性であったッ!


 そう、ブレイドであるッッ!!


「おッ、ブレイドじゃないかッ! 今日はどうしたんだッ?」


 ワタルが尋ねると、彼は神妙な面持ちで口を開いたッ!


「ワタル……俺と一緒に、バイトしないか……?」


「ば、バイト……ッッ!?」


 ブレイドの口から発せられた予想外の言葉に面食らうワタルッ!


「実は俺、今度“海の家”でバイトをすることになってるんだが、聞いた話だと人手がかなり足りてないらしくてな……それで、もし暇ならお前もどうかと思って誘いに来た」


「なるほどな……だがそれなら、ジョニーやマリーを誘った方が良いんじゃないのかッ?」


 ワタルは時速200キロのスピードでスクワットをしながら、当然の疑問を口にしたッ! しかしブレイドは首を横に振るッッ!!


「勿論誘ってみたんだが……ジョニーは“夏は遊びたいから嫌だ”、マリーは“日焼けしたくないから嫌だ”と言われてしまったのでな……」


「そうか、皆色々な事情があるんだな……」


「というわけで、もうお前しか誘える奴がいないんだ。どうだ、アリアちゃんやリベリオンさんとかも一緒でいいから、バイトしないか?」


「おう、俺は基本毎日暇だからなッ! いいぞ、バイトやろうッッ!!」


 ワタルはガッツポーズをしながら言ったッ!











 そして3日後ッッッ!!! 時刻は午前9時ッッッ!!!


 スカイ王国から南東へ数キロ歩いたところにあるビーチ、その名も“ピーチビーチ”にワタル、アリア、ブレイドの3人がやってきたッ!


 ワタルとブレイドは黒のタンクトップ、アリアは水色のワンピースという涼しげな格好であるッッ!!


「いやー、すごくきれいなところですね!」


 アリアは透き通る青い海を見つめながら、満面の笑みで言ったッ!


「うむ、たしかに素晴らしいビーチだなッッ!!」


 ワタルが元いた世界でも、ここまで美しいビーチはなかったであろうッ!


 するとブレイドが怪訝な顔で口を開いたッ!


「なあ、リベリオンさんはいないのか?」


「リベリオンさんなら、“出版社に漫画の持ち込みに行くから付き合えない”って言ってましたよ!」


「漫画の持ち込み……ッ? リベリオンは漫画家になりたいのかッッ???」


 首をかしげるワタルッ!


「……まあ、夢を持つのは良いことだッ! とりあえず、海の家に向かうかッ!」


「そうですね!」


「ああ!」


 そして3人は意気揚々と、砂浜の中央にポツンと居を構える海の家へと向かったッ! その海の家は木製の大きな屋台で、中では一人のおじいさんがうちわを仰ぎながら椅子に座っているッ! 白のタンクトップに茶色の半ズボンと、非常にラフだッ!


「おはようございまーーーすッッッ!!!」


 ワタルが大声で挨拶をすると、おじいさんは椅子からゆっくりと立ち上がったッ!


「あー、いらっしゃい。君たちがバイトの子だね?」


「はい、そうです!」


 首を縦に振って返事をするブレイド! するとおじいさんはにこりと愛嬌のある笑顔で


「来てくれてありがとう! お客さんが来るのは数時間ほど先だろうから、それまでは海で遊んできていいよ」


と言ったッ! 優しいおじいさんであるッ!


「本当ですか!? 嬉しいです! ありがとうございます!」


 アリアは興奮気味にお礼を言うと、脱兎の如きスピードで海へと走り出したッ!


「おいアリア、どうする気だッ!? そのまま海に入ると服が濡れるぞッッ!!」


「大丈夫です! このワンピース、水着としても使えるやつなんで!」


 彼女はそう言いながらピョンと跳躍し、イルカのような美しいフォームで海の水面へと飛び込んだッッ!!


「ほう、なかなかいいフォームだなッッ!!」


 感心するワタルッ!


 そしてアリアは見事なクロールで水をかきわけながら、すいすいと海を泳いでいくッ!


「おーい、あまり遠くまで泳ぐんじゃないぞー!」


 おじいさんは大きな声を上げてアリアに注意した!


「まったく、子どもっていうのは無邪気なもんだぜ」


 腕を組み、微笑みながら呟くブレイドッ!


 ――と、その時ッッ!!


 両目の視力5.0を誇るワタルが、海の中に“あるもの”を見つけたッ!


「……んッ!? アリアが泳いでいる先に、何か三角形のものが浮かんでいるぞッ!?」


「な、なんだって!?」


 おじいさんは慌てながら手に持っていたうちわを投げ捨て、懐から双眼鏡を取り出すッ!


「ほら、あそこッ!」


 ワタルが指さした方向を双眼鏡で確認するおじいさんッ!


「い、いかん……あれは、“ヤバンザメ”のヒレじゃ!!!!!」


「ヤバンザメッッ???」


 ヤバンザメとはなんだッッ!!


「ヤバンザメというのは、ウィンド大陸周辺の海に生息する巨大なサメの魔物のことじゃ! 他の種類のサメに比べて非常に凶暴な性格をしておる!」


 圧倒的説明セリフッ! 説明ありがとうおじいちゃんッ!


「くそ! 急いでアリアちゃんを助けないと!」


 いつになく真剣な表情で言うブレイドッ! しかし時すでに遅しッッ!!


 水面からぬっと顔を出したヤバンザメは、ガバッと豪快に口を開けたッ! そしてクロールで泳いでいたアリアの頭にかじりつくッッッ!!!






「ウギャアアーーー!!!!!」






 頭から滝のように血をまき散らしながら悲鳴を上げるアリアッ!


「あ、アリアーーーッッッ!!!」


 衝撃的な光景を目の当たりにしたワタルは、思わず叫んだッ!


 だがあきらめてはいけないッ! 彼女は回復魔法が使えるので、今のうちに助け出せばまだ何とかなるッッ!!


「うおぉぉおーーーッッ!! 今助けるぞアリアーーーッッッ!!!」


 言うが早いか、ワタルは時速400キロのスピードで海に向かって走り出したッッッ!!!


 次回、「ビーチの死闘!ワタルvsヤバンザメッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]キュウリにはちみつをつけたらメロンの味になるって本当ですか?……異世界転生知恵袋


[2]日本人の平均視力……異世界転生出版


[3]ウィンド大陸観光地ガイド……異世界転生出版


[4]ファンタジー小説にありがちな海の生物一覧……異世界転生出版

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