第92話 「ワタル!完全復活ッ!」
前回までのあらすじ! 最後の宝剣を賭けたワタルと邪々丸の闘いは極限レベルまでヒートアップ! そして最後の激突が起ころうとしたその瞬間、二人の間に執事のセバスチャンが乱入! 強制的に闘いを止めてしまった! これにより結果は引き分け! ワタルはなんとか4本目の宝剣をGETすることに成功するのであった!
そして数分後ッ! 先程手に入れた宝剣を背中に担いだワタルが意気揚々と邪道院家の館を出ると、そこでは邪々美が仁王立ちで待ち構えていたッ!
「おっ、邪々美ッ!」
「無事に最後の宝剣を手に入れたみたいね」
腕を組んで口を開く邪々美ッ!
「うむッ! 闘いの結果は残念ながら引き分けだったけどなッッ!!」
「正直、驚いているわ。まさかお父様と闘って五体満足でいられるなんて……」
彼女はショートカットの髪を風になびかせながらそう言ったッ!
「そうだな、かなりギリギリの闘いだったぜッッ!!」
邪々丸との激闘を思い出しながら語るワタルッ! すると邪々美はワタルをビシッと指差し、高らかに宣言したッッ!!
「覚えておきなさい、ワタル! 私はこれからもっともっと強くなって、アンタやお父様を超える暗殺者になって見せるわ!」
「おお、そうかッッ!! 挑戦ならいつでも相手になってやるぜッッッ!!!」
ワタル、笑顔でガッツポーズッ!
そして彼は、邪々美に見送られながらスカイ王国へと帰っていくのであったッッッ!!!
数秒後ッ! 超全速力で走ってきたワタルは、早速スカイ王国の“魔物研究所”へと戻ってきたッ!
「ただいまッッ!!」
扉を開けて入るのが面倒だったので、研究所の壁をぶち破りながら入室するワタルッ!
「お帰りワタル君! 次からは普通に入って来てくれ!」
そう言うのは白衣姿のラモンッ! そして彼の後ろには、アリアとリベリオンがいたッッ!!
「あ、早かったですねワタルさん!」
「心配したぞワタルよ。それで、肝心の宝剣は無事に手に入ったのか?」
「応ッッッッッ!!!!! ここにあるぜッッッッッ!!!!!」
ワタルはそう叫んで、背中の剣を取り出したッ!
「よし、これで全ての宝剣がそろったね。それじゃあ、そこに置いてくれ」
そう言いながら部屋の中央を指差すラモンッ! そこには真っ白なテーブルがあり、上に3本の剣が丁寧に置かれていたッ! これらの剣は勿論、今までに集めてきた3本の宝剣であるッ!
そしてワタルはラモンに言われた通り、テーブルの上に4本目の宝剣を置いたッ!
「……それで、これから何が起こるんです?」
首をかしげて尋ねるアリアッ!
「うむ、冷静に考えてみるとここから何をしたらいいのか全くわからんッッッッッ!!!!!」
ワタルは仁王の形相で叫んだッ!
――すると、その瞬間ッッ!!
テーブルの上の宝剣たちが、一斉にまばゆい光を放ち始めたッ!
「武ッッッッッ!!!!!?????」
「な、なんだ!?」
「きゃあっ!」
「うわぁっ!?」
驚きながら顔を覆うワタル一同ッッッ!!! 一体、ここから何が起こるのであろうかッ!?
「……ハッ! こ、ここはッッ!?!?」
ワタルが目を覚ますと、そこは殺風景な部屋であったッ!
「……お、そう言えばここは見覚えがあるぞッ!」
そうッ! この空間は、かつてワタルが死んだときにやってきた部屋であるッ!
すると彼の後方から声がしたッ!
「やあどうも、お久しぶりです!」
「武ッ!?」
ワタルが振り返るとそこには、ビジネススーツを身にまといパイプ椅子に座った赤鬼――その名もエンマの姿がッ!
「おう、久しぶりだなッ! エンマッ!」
「それにしても助かりましたよワタルさん、しっかりと期限内に宝剣を全て集めてくださいましたね!」
ニコニコと笑顔で話すエンマッ!
「……というわけで、約束通りワタルさんを完全に釈放――つまり、復活させます!」
「助かるぜッ!」
「あ、一応言っておきますけど、次はもうこんな特別な措置はできませんよ! 本来、人は死んだら復活なんて出来ないんですから! いいですね?」
「ああッ! 当分はここには戻ってこないと思うぜッッ!!」
ワタルはガッツポーズをしながら叫んだッ!
「それじゃあ、いきますよ!」
そう言ってエンマはパッと両手を前に突き出すッ! するとワタルの全身に、謎の浮遊感がッ!
「こ、これは……ッ!?」
そしてッッッ!!!
「うーーーん……ッッ!!」
ワタルが目を覚ますと、そこは研究所の一室であったッ! 彼の周りには心配そうな表情のラモンとアリアとリベリオンッ!
「お、目覚めたかいワタル君!」
「よかったー!」
「ワタルよ、体の具合はどうだ?」
3人は口々にそう語りかけてきたッ!
「うーむ、特に何の変化もないぞッ!」
ゆっくりと立ち上がりながら言うワタルッ!
「よく分からんが……どうやら、完全に復活することができたようだな」
リベリオンは安堵の表情で胸をなでおろしたッ!
「そう言えば、テーブルの上から剣がなくなっているなッ!」
部屋中央のテーブルに目を向けながら言うワタルッ! 彼の言う通り、そこには先ほどまで置かれていた4本の宝剣がきれいさっぱり消えているッ!
「ああ、そうなんだ。まばゆい発光があったかと思ったら、4本の宝剣は消滅してしまっていた……まったく、不思議な事もあるものだよ」
ラモンは白衣のポケットに手を突っ込んでそう言ったッ!
「なるほどな……まあ細かいことはよく分からんが、宝剣は無事に死後の世界に戻ったってことだろうなッッ!!」
「そうなんですね、良くわかりました! じゃあこれで一件落着ですね!」
朗らかな笑顔で言うアリアッ! ぶっちゃけ彼女は何もわかっていないッッ!!
とはいえこれによって、ワタルは完全に復活することに成功したッ! 一時はどうなることかと思ったが、彼は“4本の宝剣を全て集める”という偉業を見事にやり遂げたのであるッッ!!
めでたしめでたしッ! 圧倒的めでたしッッ!!
次回、「猪突猛進の新章開幕!リベリオン、漫画家になりたいッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]よく分かる!色んなお仕事!~閻魔大王編~……異世界転生出版




