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第91話 「逆転の一手!起死回生の爆熱猛怒ッ!」

 前回までのあらすじ! 最後の宝剣を賭けたワタルと邪々丸の闘いは極限までヒートアップ! 軟体スライム拳でトリッキーに立ち回るワタルに対して、洗練された暗殺術を用いて豪快かつ繊細に闘う邪々丸! 果たしてこの勝負、勝つのはどちらだ!?











 後方にジャンプして距離を取ろうとしたワタルの学ランの裾を掴み、グッと引き寄せる邪々丸ッ!


 そして大きく振りかぶり、勢いよく殴りかかったッ!


「ッッッ!?!?」


 ワタル、危うしッ!


「くらえ!!!!!」


 邪々丸の巨大隕石が如き拳がぶつかる直前ッッ!! ワタルは全身に力を込め、叫んだッッッ!!!


「武ッッッッッ!!!!!」


 そして彼の身体から深紅のオーラが発生ッッッ!!! それにより邪々丸は吹き飛ばされたッッッ!!!


「むう!? こ、これは……!」


「“爆熱猛怒(ばくねつモード)”だッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」


 髪を一斉に逆立たせながら力強く言うワタルッ! 部屋の温度も気付けば20度ほど上昇ッッ!! もはやサウナであるッッッ!!!


「なるほど、これがうわさに聞く“爆熱猛怒(ばくねつモード)”か!!!!! 面白い!!!!!」


 邪々丸はニヤリと笑うと、腰を低く落として右腕を前に突き出したッッッ!!!


「ならば……私も“これ”を使おう……」


 その瞬間、邪々丸を包んでいた“殺気”のオーラが急激に増加するッッッ!!!


「いくぞ……ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは仁王の形相でそう言ったッ!


「……」


「……ッッ!!」


 沈黙ッ! 圧倒的沈黙ッッ!!


 ワタルと邪々丸は睨みあいながら、攻撃する隙を探し合うッ!


「……ふん!!!!!」


 先に動いたのは邪々丸ッ!


 前に突き出した右手に紫の光が集まったかと思うと、目にも止まらぬスピードでビームが飛び出したッ!


「覇ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは冷静に両腕を前に構え、ビームをガードッッ!!


「ほう、この“魔閃光(ませんこう)”を素手で防ぐか……!!!!!」


(※魔閃光(ませんこう)……邪道院家に伝わる100の暗殺術の内の1つ。魔力を手に集中させ、ビームを放つ。まっすぐ飛ばすためには血のにじむような修行が必要とされているが、邪々丸は生後3秒でこの技を完璧に扱っていたと言われている。ちなみに娘の邪々美はまだ上手く使えない)


「……もう終わりかッッッ?????」


 そしてワタルは勢いよく走りだし、邪々丸との距離を一気に詰めていくッ! この時の最高瞬間時速、圧巻の500キロッッッッッ!!!!!


 あまり早く走りすぎると体が耐えられないので、これでもスピードをセーブしている方であるッ!


「奮ッッッッッ!!!!!」


 右腕に熱血エネルギーを集中させたワタルは、その拳を邪々丸の腹筋にぶち当てたッッッ!!!


「!?」


 腹筋を通して全身に熱血エネルギーを注入された邪々丸は、その膨大な熱量に驚愕ッ!


「ほお、流石に身長4メートルともなると頑丈だな……ッ! 魔王はこの一撃で灰になったんだが……ッッ!!」


 ワタルは焦ることなく後方へジャンプし、相手との距離を取ったッ!


「なあ邪々丸さん、ひとつ言わせてくれ……ッ!」


「……なんだね?」


「……アンタ、まだ本気(ガチ)じゃないだろ……ッッ!!」


 すると邪々丸はその悪鬼が如き顔面をグニャリと歪ませ、静かに笑うッ!


「フフフ……何故そう思う?」


「拳は嘘を付けないぜ、邪々丸さん……ッ! アンタの拳はまだ“寝てる”……ッッ!!」


「ほう、なかなか言ってくれるじゃないか」


「なあ邪々丸さん、闘いを仕掛けてきたのはアンタなんだッ! だったら、全力で来るのが“筋”ってもんだろッッ!!」


「フフ、良いのかい? 今度死んだらもう生き返れないかもしれないぞ?」


 彼はそう言って、ゆっくりとファイティングポーズを取ったッ!


「――やってみろッッッッッ!!!!!」


 力強く叫ぶワタルッ! そしてこれまた力強く床を蹴り、一気に走り出したッ!


 それを迎え撃つ邪々丸は深く息を吸い、右腕を振りかぶるッッッ!!!


「うおおぉぉぉおッッッッッ!!!!!」


「ぬぁぁぁあああ!!!!!!!!!!」


 ワタルの右こぶしと邪々丸の右こぶしが激突しそうになった、まさにその瞬間ッッッ!!!


 二人の間に、突如乱入者がッッッ!!!


「ッ!?」


 それは――なんと、セバスチャンであったッ!


 彼は右手でワタルの右こぶしを、左手で邪々丸の右こぶしを掴み、強制的に闘いをストップさせたのだッッ!!


「そこまでです、お二人とも」


 顔色一つ変えずに言うセバスチャンッ!


「何を言っているんだッッッ!!!」


 頭に血がのぼっているワタルは、無理矢理セバスチャンの手を振り払おうとしたッ!


 ――が、しかしッ!


 不可能ッ! 圧倒的不可能ッ!


 セバスチャンは万力めいたパワーでワタルの拳を握りしめているため、振り払えないッ! 50歳は超えているであろう初老の男性が、ここまでのパワーを発揮できるものなのであろうかッ!?


 これには読者の皆様も驚きを隠せないッッ!!


「旦那様も、あまりはしゃぎすぎないでください。このままではお二人とも、本当に死んでしまわれますよ」


 セバスチャンは邪々丸をギロリと睨みながらそう言ったッ!


「……ふ、それもそうだな」


 邪々丸は全身にまとわせていた“殺気”を消すと、ファイティングポーズを解くッ!


「すまなかったね、ワタル君。今回の闘いは、悪いが引き分けだ。勿論宝剣は君にちゃんと譲る」


「は、はあ……ッ!」


 不完全燃焼といった様子のワタルは、呆けた声を上げたッ!


「さあワタル様、これをどうぞ」


 ワタルの拳から手を離したセバスチャンは、懐からさび付いた宝剣を取り出すッ!


「ど、どうも……ッ!」


 呆気にとられながらも剣を受け取るワタルッ! これで、宝剣は全て揃ったッ!


「今日はありがとう、ワタル君。久しぶりに楽しい闘いをすることができた。もしも暗殺したい人物が現れたら私達邪道院家に依頼すると良い。割引価格で仕事を引き受けよう」


 物騒なことを口にしながら微笑む邪々丸ッ! やはり邪道院家は謎が多いッ!


 次回、「ワタル! 完全復活ッ!」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1] 邪道院家暗殺術100選……異世界転生出版

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