第88話 「白熱!ワタル、渾身の解答ッ!」
前回までのあらすじ! クイズ大会の第1問、“パンはパンでも、食べられないパンはなーーんだ?”に対し、ブレイドは「フライパン」と答えることで見事に正解! ……したかに思われたが、アリアが体を張ってフライパンを食べることで「フライパンは食べられる」ことが判明! これにより、第1問は引き分けとなった! 果たしてこの勝負、勝つのはどちらのチームだ!?
というわけでクイズバトルは第2問に突入! ワタルチームの前には、スタッフが用意した新品の早押しボタンが置かれている!
司会進行のジョセフ横澤はマイクを握りしめて、快活な笑顔で口を開いたッ!
「問題です! “私、ジョセフ横澤が一番好きなおにぎりの具はなーーんだ?”」
「「「「「「??????」」」」」」
……一同、困惑ッッ!!
しかしそれもそのはずだッ! こんなおっさんが好きなおにぎりの具など、知っているはずがないッ!
(ど、どうする!? もうあてずっぽうでいくしかないか!?)
ワタル、逡巡ッ! 圧倒的逡巡ッッ!!
するとその時、ブレイドがボタンを押した!
「はい、ブレイドチーム早かった! それでは解答をどうぞ!」
「から揚げ!」
大声で解答するブレイド! 果たして判定や如何に!?
「――不正解です! 私はもう歳なので、から揚げのような脂っこいものは食べられません!」
「分かるかそんなもん!」
ブレイドは思わず激昂したッ!
「チャンスだぞアリア!」
とっさに声を上げるリベリオン! それに合わせてアリアは素早くボタンを押した!
「はい、それではワタルチームのアリアさん! 答えをどうぞ!」
「答えは……梅干しです!」
彼女は真剣な表情でそう言った! その凛とした表情は、ついさっきフライパンを平らげた女性と同一人物だとはとても思えないッ!
するとジョセフ横澤はにこやかに笑いながら口を開き、
「正解です!」
と叫んだッッッ!!!
「「「イエーーーイ!!!」」」
「「「ワーワーワー!!!」」」
「「「パチパチパチーーー!!!」」」
会場は拍手喝采に包まれたッ!
「よく分かったな、アリアッ!」
「はい! 前にSNSのプロフィールで“梅干しおにぎりが好き”って書いていたのを思い出しました!」
「なるほど、今風だなッ!」
衝撃の真実! なんと、ジョセフ横澤はSNSをやっていたッ! “異世界にSNSなどあるはずがない”と思われる読者の方もいらっしゃるかも知れないが、よーーーく考えてみてほしいッ! それは偏見であるッッ!!
「それでは次が最後の問題です!」
「な、何ィ~~ッ!? もうラストかッッ!!」
するとジョセフ横澤はスーツの内ポケットから一冊の本を取り出したッ! タイトルも絵も何もない、真っ黒な表紙のノートであるッ!
「武ッッ!? あれはなんだッ???」
突如現れた謎の本に首をかしげるワタルッ!
だが彼の隣のリベリオンはビクリと固まり、冷や汗を流し始めたッ!
「最後の問題は、“小説の作者当て”です! 今から私がこの小説の中身を読みますので、これを書いた作者を当ててください!」
「うーん、これは難しそうね……」
眉をひそめながら腕を組むマリーッ!
そしてジョセフ横澤は笑顔でノートを開き、その中身の音読を開始したッ!
「「この世界は、暗黒の霧 ―ダークネス・ミスト― に覆われている。そんな過酷な世界を生きる運命の元に生まれてしまった俺の名前は「THE☆ジャスティス」。“正義”という意味の名前とは裏腹に、俺の左腕 ―レフト・アーム― には、生まれつき忌むべき闇の力 ―ダークネス・フォース― が宿っていた」」
「おい!!! やめろ!!! もうやめてくれ!!!!!」
早押しボタンを連打しながら懇願するリベリオンッ! しかし音が鳴らないッ! どうやらこの問題は、小説が一通り音読され終わるまでは解答が出来ないルールらしいッ!
そんなわけでリベリオンを無視して音読を続けるジョセフ横澤ッッ!!
「「普通に住む一般人共は知らない。この世界は、奴ら“組織”の連中によって管理されているということに。俺の使命は、その組織と戦い、世界に自由と平和 ―フリーダム&ピース― を取り戻すことだ。さあ、今日も戦いの時間だ。相棒である白銀の大剣 ―シルバー・ビッグソード― を闇夜の月に照らし、俺は闇の中に消える(暗黒微笑)――」」
「もうやめろ!!!!!!!!!!」
泣きながらボタンを押すリベリオンッ!
「はいリベリオンさん早かった! それでは答えをどうぞ!」
「私だ!!!!! それ書いたの私だ!!!!!」
「エッッッッッ!?!?!?!?!? あれ書いたのお前ッッッッッ!?!?!?!?!? ヤバイなッッッッッッッッッッ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
ワタルは仁王の形相で驚愕したッ!
「ンフフ」
「フフッ」
それを聞いて吹き出すブレイドとジョニーッッ!!
そしてジョセフ横澤は爽やかな笑みを顔に貼り付けたまま、叫んだッッッ!!!
「正解でーーーす!!!」
「「「イエーーーイ!!!」」」
「「「ワーワーワー!!!」」」
「「「パチパチパチーーー!!!」」」
「というかなんで私が14歳の時に書いた小説のノートをお前が持っているんだよ!?」
リベリオン、激昂ッ! だがこの際、そんな些細なことはどうでもいいのであるッ!
「というわけでクイズ大会はこれにて終了です! 結果は、2対0でワタルチームの勝利! おめでとうございまーす!」
こうして見事にワタルチームはクイズ大会に勝利ッ! 無事に3本目の宝剣を手に入れることに成功したのであったッ!
めでたしめでたしッ! 圧倒的めでたしッッ!!
そして数分後ッ! ワタルとアリアとリベリオンの3人がアリーナの外に出ると、そこでは一人の人物が待っていたッ!
「武ッッ!?!? お、お前はッッッ!!!」
整った可愛らしい顔立ちに、髪はフワリとした茶色いショートカットッ! 歳は20ぐらいと若く、しかしとにかく目を引くのはその背に背負った全長2メートルはあろうかという大斧ッ!
もうお分りだろうッ! 彼女の名は――
「邪道院 邪々美ッッッ!!!」
「久しぶりね、ワタル!」
果たして彼女は、一体なぜワタルの前に姿を現したのだろうか!? 謎が深まるッ!
次回、「緊張!ワタル、お茶会に誘われるッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]小説書いてると久しぶりに登場するキャラの口調とか普通に忘れちゃうんですけど、どうすればいいですか?……異世界転生知恵袋
[2]メモしとけばよくないですか?……異世界転生ベストアンサー




