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第86話 「掟破りの地元走り!ジョニー、勝つッ!」

・第86話 「掟破りの地元走り!ジョニー、勝つッ!」

 前回までのあらすじ! “スカイ王国早押しクイズ大会”の予選であるマラソン大会に出場したワタル! 余裕でぶっちぎって走るワタルであったが、彼の後ろにぴったりとくっついて走る人影が! 振り返るとそこにいたのは、元黒バラ盗賊団のジョニーであった! 果たしてこのマラソン大会、勝つのはどっちだ!?











「うおぉぉぉッッッ!!!」


「おりゃあああ!!!」


 スカイ王国の街中を時速150キロで駆け抜けていく2つの影ッッ!!


 そう! ワタルとジョニーであるッッ!!


「負けるかぁぁぁッッッ!!!」


「俺だって負けねぇぇぇ!!!」


 決勝であるクイズ大会の会場を目指して、ヒートアップしながら爆走する2人ッッ!!


 そんな中、ワタルは思った!


(この先……俺の記憶が正しければ、建物の配置の関係でヘアピンカーブになっている箇所が2つあるッッ!! 狙うならそこ……ッ! そこで、一気に突き放してやるッッ!!)


 ヘアピンカーブとは、その名の通り長いU字形のヘアピンのように鋭く折れ曲がったカーブのことであるッ!


 そのカーブに最大速度で突っ込むことなど、通常であれば自殺行為に等しいッ! なぜなら、曲がり切れないからだッ!


 しかし――肉体を極限まで鍛え上げたワタルであれば、可能ッ! 最大速度のままヘアピンカーブに突っ込み、そこから力技で無理矢理曲がりきることが出来るッ!


(……見えたッ! まずは1か所目のヘアピンカーブッ!)


 ワタルは時速150キロのペースを維持したまま1つ目のヘアピンカーブへと突入ッ! そして体に襲い掛かる急激な慣性を感じながら、カーブを曲がったッ!


(少しアウトに膨らんでしまったが……問題はないッ! 一気に突き放したッッッ!!!)


 1つ目のヘアピンカーブを無事に抜けたワタルが振り向くと、後方6メートルの位置にジョニーがいたッ!


(これだけ振り切れば勝ちは固い……だがッッ!!)


 読者の皆様であれば重々お分かりのことだと思うが、ワタルは決して油断などしないッ!


 時速150キロの速度を落とすことなく、そのまま走り続けるワタルッ!


(この先60メートル前方に、2か所目のヘアピンカーブがある……あれだッ!)


 すると彼の目の前に、2つ目のヘアピンカーブが現れたッッ!!


「このまま……勝たせてもらうぜッッッ!!! 武ッッッ!!!」


 時速150……いや、160キロでヘアピンカーブの入り口に突入したワタルッ!


 その時、彼は“風”になったッ! それはまさしく、どんなカーブも恐れぬ勇敢な風ッ!


 ――が、しかしッッ!!


「~~~ッ!?」


 なんとッ!


 ワタルがヘアピンカーブを曲がろうとするその直前に、ジョニーがインから追い抜いてきたッ!


(ど、どうやってッ!?)


 焦りながらジョニーを見つめるワタルッ!


 そこには驚くべきことに、地面を蹴って走るのではなく、“滑るようにして”走るジョニーの姿があったッ!


 形容するならばそれは、スピードスケート選手のような走りであるッ!


 しかし――言うまでもなく、スカイ王国の地面は石畳ッ! このようなグリップの効きやすい地面で滑るなど、どうあがいても不可能なはずッ!


 と、思いきやッ!


「アッッッッッ!!!!!」


 ワタル、発見ッ!


 なんとジョニーは、一瞬の隙に靴にオイルを塗りたくっていたッ!


「へへ、この時のためにオイルの瓶を隠し持っていたのさ!」


 そう言って笑うジョニーの手には、黄金色のガラス瓶が握られているッ!


(な、なんということだ……ッ! つまりジョニーは、俺ですらも気づけないスピードで靴に油を塗り、それを利用して地面を滑るように走っているということか……ッッ!!)


 驚愕するワタルッ!


 だが当然ながら、靴にオイルを塗ったところで簡単にスピードスケートよろしく滑ることは難しいッ! この地面の石畳の、微妙な凹凸まで熟知していなければ出来ない芸当ッ!


 すなわちこれは――ずっとスカイ王国に住んできたジョニーだからこそできる、“掟破りの地元走り”ということだッッ!!


 そのままジョニーは巧みに地面を滑りッ! 全身を思い切り斜めに傾けることで、ヘアピンカーブも華麗に曲がったッ!


「これがオイラの……“オイルドリフト”さ!!!」


「な、何ィ~~~ッ!?」


 負けじとジョニーの後ろを走るワタルッ!


 しかしッ! ジョニーが地面にまき散らしたオイルを誤って踏んでしまい、ワタルは勢いよく地面に転んだッッ!!


「武ッッッ!?!?」






 ドゴオォォォォォンッッッッッ!!!!!






 転んだ衝撃によって、地面が爆発ッッ!! 巨大なクレーターが出来上がったッッ!!


「悪いなワタル! これがオイラの走りだ!!」


 そして数秒後ッ! ジョニーは見事に、クイズ大会の会場へと1位でゴールッ! ちなみにその会場とは、スカイ王国で最も大きな音楽アリーナであるッ!


「くそぅ、ジョニーめ……ッ! やるなッ! だがクイズでは負けないぜッ!」


 ワタルの素晴らしいところは、負けても相手のことを称賛できるということだッ! このスポーツマンシップには、読者の皆様も感動せずにはいられないッ!


 というわけで、ワタルは無念の2位という結果に終わったッ!











 そして1時間後ッッ!!


 音楽アリーナの特設ステージに、決勝進出チーム2組が集まったッ!


 まず1組目は、予選1位通過のブレイド・マリー・ジョニーチームッ! 2組目は、予選2位通過のワタル・アリア・リベリオンチームであるッッ!!


 2組の前にはそれぞれ1つずつテーブルが設置されており、その上には赤い早押しボタンがあったッッ!!


「緊張しますね、ワタルさん……」


「大丈夫だアリアッ! 万が一クイズ大会に負けても、後でお金を払ってブレイドたちから宝剣を買い取ればいいからなッ!」


 唐突に身も蓋もないことを言い出すワタルッ! 確かにワタルは大金持ちなので、やろうと思えばお金の力でどうとでもできるッッ!!


 一方その頃ブレイドたちはッ!


「よし、よくやったなジョニー! これで久しぶりに、俺達の活躍シーンが生まれるぞ!」


「このクイズ大会、私達の力で華々しく優勝を飾りましょう!」


「そうだね、ブレイドの兄貴! マリーの姉貴!」


 久々の登場シーンにはしゃいでいたッッッ!!!


 するとその時、きらびやかなステージの上に一人の初老の男性が登場ッ!


 黒いスーツに身を包み、髪を七三にきっちりと分けた身綺麗な男性だッッ!!


 彼はおもむろにマイクを持つと、にこやかな笑みを浮かべながら口を開くッ!


「レディースアンドジェントルメーン! さあ始まりました、“スカイ王国早押しクイズ大会”! 決勝戦の司会進行は、皆さんご存知! 私、ジョセフ横澤でございます!」






「「「イエーーーイ!!!」」」






「「「ワーワーワー!!!」」」






「「「パチパチパチーーー!!!」」」






 観客席からは、大量の拍手が沸き上がったッ! ちなみにこの観客は、予選のマラソン大会を惜しくも通過することができなかった参加者たちであるッッ!!


 さあ、ついに始まったクイズ大会ッ! 果たしてワタルたちはこの大会に勝ち、3本目の宝剣を手に入れることが出来るのであろうかッッ!? そもそも、まともな問題が出題されるのであろうかッッッ!?!?


 次回、「珍問!困惑必死のクイズ大会ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]小説でレース描写をするのは正直難しい……異世界転生出版


[2]よく分かるスピードスケート……異世界転生出版

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