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第8話 「ワタルvs四天王の四人目!狼男に気を付けろッ!」

「ワタルさん、今日はここでキャンプしませんか?」


「うむ、そうだなッ!」


 時刻は午後7時ッ!魔王の城を目指すワタルとアリアは、荒野の大岩の陰でキャンプをすることになったッ!


「火なら任せろッ!」


 そう言うとワタルは、道中で集めていた木の枝を無造作に地面に置き、雄たけびをあげたッッ!!


「破ッッッッッ!!!!!」


 鋭い気合いとともに、枝の塊に向けて勢いよく正拳突きを放つッ!


 するとッ!






 チリチリ……ッッッ!!!






 なんと、枝の塊からかすかに煙が上がってきたではないかッ!


 次第に火が燃え広がっていき、あっという間にたき火が出来上がったッッッ!!!スゴイッッッ!!!


「どうだッ!高速の正拳突きで空気を加熱させることによって、小枝に火をつけてやったぞッ!」


「凄いですワタルさん!」


 アリア、すかさずワタルを褒めるッ!ちなみに彼が言っていることの意味は半分も理解していないッ!


 するとその瞬間、ワタルは何かに気付いたッ!


「ん?あれはなんだ?」


 彼の視線の先には、暗くなり始めた荒野を孤独に歩く老人の姿がッ!ボロボロの服に身をまとった、とても貧弱そうなおじいさんであるッ!


「ふむ……もしかしたら道に迷ったのかもしれんな……アリア、あのおじいさんを助けてあげようッ!」


 ワタルは熱血硬派であるッ!


 故にッッ!!


 困っている人は見捨てないッッッ!!!


「そうですね!お~い、そこの貧相でみすぼらしい恰好をしたおじいさ~ん!」


 アリアが大声で老人を呼ぶと、そのシンプルな罵倒に気付いた彼がよろよろとした足取りでこちらにやって来たッ!


「おじいさん、もしかしたらお困りなのではないですかッ?よければ、今夜は私たちと一緒にここで休んでいきませんかッ?」


 ワタルがそう申し出ると、老人は嬉しそうに微笑むッ!


「おお、本当ですか?ありがとうございます。実は道に迷っていたところでして……」


「なぁに、困った時はお互いさまですッ!」


 ワタルは爽やかにスクワットをしながら言ったッ!











 そんなこんなで、たき火を囲んで座るワタルとアリアと老人の3人!!!


「そういえば、おじいさんはなぜここに?」


 ワタルは老人に尋ねたッ!


「ああ、私は陶芸家でしてね。このあたりの良質な粘土を取りに来たのですが……情けないことに帰り道が分からなくなってしまって。いやはや、歳には勝てませんなぁ」


 照れくさそうに頭を掻く老人ッ!


「いえいえ、そんなことはありませんよッ!私の師匠は今年で120歳になりますが、まだまだ元気ですッ!きっとあなたも長生きできますよッ!」


「ひ、120歳ですか……それは頼もしいですな……」


 老人は軽く引いたッ!











 それから数十分後ッッッ!!!


「ふう……そろそろ眠くなってきたなぁ……俺はもう寝るよッッッ……」


 目をとろんとさせたワタルが、学ランのまま地面に横になったッ!そう言えばワタルは、異世界に転移してから一度もまともな休息をとっていないッ!急速に睡魔に襲われてしまうのも、無理のないことであるッ!


「あ、そうですかワタルさん。それじゃあ私もそろそろ寝ようかな……」


 アリアも目をこすりながら、けだるげな声で言ったッ!


「おや、アリアさんも?では、私も寝るとしましょうかねぇ……」


 老人も彼女に同意するッ!


「ええ、それじゃあたき火の火を消しましょうか」


 アリアがそう言って腰を上げた、その瞬間ッッッ!!!


「……グフフフフ、ワタルめ、まんまと騙されおって……」


「え……?」


 突如口調を一変させた老人ッ!その変貌ぶりにアリアも耳を疑ったッッ!!


「……あ、あなたは一体……」


 恐る恐る聞くアリアッ!すると老人はムクリと立ち上がり、全身に力を込め始めるッ!


「……私か?ふふ、もはや隠す必要もあるまい!」


 老人がニヤリと笑ったッ!


「私は!四天王の最後の一人!ウルフマン様だー!」


 大声で叫ぶ老人ッ!すると彼の身体が見る見るうちに茶色い毛におおわれ、同時に全身の筋肉が肥大化していくッ!


「ま、まさかその姿は……狼男!?」


 開いた口が塞がらないと言った様子のアリアッ!


 それもそのはずッ!


 先程まで貧相な老人であった男の姿は、今や筋骨隆々の狼男のものへと変貌を遂げているッ!身長もおよそ3メートル程まで巨大化ッ!明らかに物理法則を無視した圧倒的な肉体変化ッ!


「ふはははは!老人のふりをしてワタルに近づき、隙を見て攻撃するッ!まさかこんなにも単純な作戦に引っかかるとは、馬鹿な奴だッ!」


 高らかに笑うウルフマンッ!しかしワタルは爆睡中ッッ!!起きる素振りすら見せないッッッ!!!


「ワタルさん!起きてください!」


「うーん……むにゃむにゃ……」


 やっぱりワタルは爆睡中ッッッッッ!!!!!


「隙あり!」


 するとウルフマンは、寝ているワタルを一掴み!!!


「このまま喰ってやる!」


 大口を開けるウルフマンッ!そして右手に掴んだ爆睡中のワタルを口の中へと放り込み、そのままごくりと飲み込んでしまったッッ!!


「そ、そんな!ワタルさん!」


 絶望して地面に膝から崩れ落ちるアリアッ!


 なんという事だ!ワタルが食べられてしまった!魔王を倒すという志半ばでの、衝撃の展開である!


 この怒涛の最終回には読者の皆様も熱い涙を流さずにはいられないッッッ!しかし、主人公が食べられてしまった以上、もうこの小説を連載するわけにはいかない!これが最終回だ!!!!!


 さらばワタルッ!君の熱き戦いは読者の心に永遠に刻まれるであろうッ!!!!!


 次回「食べられたからどうした!ワタル、奇跡の復活ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]正しい火の起こし方~これで君も火起こしマスター~……異世界転生出版

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