第78話 「激突!怪獣vsグレートガイッ!」
前回までのあらすじ! スカイ王国へと急接近する巨大スライムに対抗するため、ラモンはワタルとアリアをガレージに連れて行く! そこにはなんと全長8メートルの巨大な鋼鉄の騎士――“熱血機兵グレートガイ”があった! 早速ワタルはグレートガイに乗り込み、スカイ王国を救うために巨大スライムへと闘うことになった!
時刻は午後3時! おやつの時間!
全長8メートルの巨大スライムは、そのゼリー状の巨体をプルプルと不規則に揺らしながら、徐々にスカイ王国へと接近していたッ!
その距離、およそ1キロ!
おそらくこのままいけば、10分後には街に到達してしまうだろうッ! スカイ王国、未曽有のピンチであるッ!
グオォォォオッッッ!!!
巨大スライムの腹から、重低音の奇妙な唸り声がこだましたッ!
――と、その時ッ!
空から1つの飛翔物体が、スライム目がけてやって来るッ!
「うおぉぉぉッ! 待たせたなぁッッ!!」
それは言うまでもなく、ワタルが駆る鋼鉄の騎士、“熱血機兵グレートガイ”であったッッッ!!!
ズシンッッッ!!!
砂埃をまき散らしながら、スライムの目の前に豪快に着地するグレートガイッ! そしてスムーズな動作で腕を組み、仁王立ちしたッ!
「行くぜ、スライムッ! リベンジマッチだッッ!!」
コックピット内のワタルの声が、スピーカーを通して周囲に響くッ!
するとスライムは体を揺らしながら、有無を言わさずに襲い掛かってきたッ!
グオォォォオッッッッッ!!!!!
巨大スライムの殺人的な危険タックルッ! もしあれを生身でくらったなら、鍛え上げたアメフト選手でも即刻重症を負い、選手生命を絶たれるだろうッ!
しかし、ワタルとグレートガイが力を合わせれば問題ないッッ!!
「武ッッッッッ!!!!!」
コックピット内の彼は焦ることなく腰を落とし、シャドーボクシングのように数発ジャブを繰り出したッ! そしてグレートガイはその動きを完全にトレースし、突進してくる巨大スライムにパンチの連打を浴びせるッ!
グニンッ! グニンッッ!!
パンチをくらっていびつにへこむ巨大スライムッ! しかし手ごたえはないッ!
「くっ、流石に強いな……ッ!」
軽快な足運びとパンチを駆使して、なんとか巨大スライムの突進をいなすグレートガイッ!
するとここで、コックピットの天井からラモンの声が流れてきたッ!
「ワタル君! 背中だ!」
「せ、背中ッ!?」
「そうだ! 背中に武器が収納されている!」
それを聞いたワタルが、すかさず背中に手を伸ばす動作を行うッ!
その動きをトレースしたグレートガイは、背中から長大な剣を取り出したッ!
全長は約6メートルッ! 圧倒的リーチッッ!!
「おお、これならいけそうだぜッッ!!」
シャキィイーーーンッッッ!!!
なんかかっこいいサウンドエフェクトを鳴らしながら、剣を構えてポーズを決めるグレートガイッ!
グオォォォオーーーッッッ!!!
対する巨大スライムは、低い唸り声を上げながら再び突進してきたッ!
「うおぉぉぉぉぉッッッ!!! くらえッッッッッ!!!!!」
剣を天高く振り上げ、剣道の要領で敵の脳天目がけて斬撃を繰り出すグレートガイッ! あの動きは……間違いない、“天空抜刀流・熱血の型”だッッッ!!!
(※天空抜刀流・熱血の型……江戸時代に、山口県で編み出された剣術。手に持った剣に熱血エネルギーを注ぎ、それを相手の脳天へと振り下ろすという技。この剣術はその余りの強さから“天下無双の剣”とまで言われ、徳川家からも注目されていた。そのため、江戸幕府第8代将軍である徳川吉宗は、この剣術の達人であったそうだ)
そしてグレートガイの剣がスライムにクリティカルヒットッッッ!!!
グニンッッッ!!!
スライムは柔らかいクッションのようにぐにゃりと変形したッ!
……が、しかしッ!
グオォ……ッ!
グレートガイの剣をはじき返すように、凄まじい勢いで元の形状へと戻るスライムッ! 中々しぶといッッ!!
「やるなッッ!!」
グレートガイはパッと剣を投げ捨てると、今度は全身でスライムにぶつかっていったッ! ワタルは剣術も一通り心得てはいるが、やはり素手での戦いが一番だッ!
「うおぉぉッッ!!」
ビターーーンッッッ!!!
激しくぶつかり合うスライムとグレートガイッ! これはいわば、水分の塊と鋼鉄の塊が真正面から激突している状態ッ!
一体どちらが勝つのか、読者の皆様もまったく予想できないッ!
一方その頃、研究所ではッ!
ラモンとアリアが巨大モニターの前に立ち、グレートガイのモノアイカメラから送られてくる映像を真剣に見つめていたッ!
「こ、このままでは埒があきませんね……!」
苦戦するワタルの映像を目の当たりにし、冷や汗が止まらないアリアッ!
「たしかに、このままいくとグレートガイの燃料が尽きてしまうぞ……!」
ラモンは深刻な表情でそう言うと、素早い手つきで手元のリモコンを操作したッ!
「何をやっているんですか?」
「これは最後の手段だ! 開発が終わっていない、調整段階の危険な武器だが……ぶっつけ本番で発動させる!」
「ええ!? ぶっつけ本番で!?」
「そうだ! 彼なら……ワタル君なら、きっと使いこなしてくれるだろう!」
彼はそう叫び、目の前の巨大モニターをグッと睨み付けるッ! 今、スカイ王国の命運はワタルとグレートガイに託されたッッ!!
果たしてこの闘いの結末やいかにッッッ!!!
次回、「決着!グレートガイ、魂の一撃ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]山口県に伝わる剣術一覧……異世界転生出版




