第76話 「ワタル、ピンチ！最後の希望は巨大ロボッ！」
前回までのあらすじ！ 遺伝子異常によって超巨大になってしまったスライムを討伐するため、ワタルとアリアは森へと向かった！ そして２人の前に立ちはだかる巨大スライム！ 今ここに、ワタルvs巨大スライムの闘いの幕が開ける！
「さて……やるかッッッ！！！」
全身にグッと力を込め、目の前の巨大スライムを仁王の形相で睨み付けるワタルッ！
対するスライムは、半透明の青いゼリー状の体をプルンと揺らし、奇妙な唸り声を上げているッ！
グオォォォオ……ッ！
腹の底に響く不気味な重低音ッ！ しかしワタルは一切臆することなく、勇敢に立ち向かうッ！
「覇ッッッッッ！！！！！」
鋭く叫び、地面を強く蹴るワタルッ！ その勢いで一気に空中へと跳び上がった彼は、巨大スライムに肉薄していくッッ！！
「うおぉぉぉッッッッッ！！！！！」
そしてワタルは、巨大スライムのどてっぱらに超強力な正拳突きを放ったッ！
ズドンッッッッッ！！！！！
ワタルの拳とスライムの体が激しくぶつかり合い、鈍い打撃音が辺りに響き渡るッ！
だがしかしッッ！！
「き、効いてない……ッ！」
ワタル、唖然ッ！ 渾身の正拳突きを打ち込んだというのに、目の前に巨大スライムは平然としていたッ！
ゼリー状の肉体を持ったモンスター相手に拳をぶつけても、全くと言っていいほど手ごたえがないのだッッ！！
「ワタルさん、気を付けてください！ スライムは体の90％が水分でできています！ 普通の物理攻撃では相性が悪いです！」
遠くの木陰から声をかけてくるアリアッ！
「成程……そうだったのかッ！」
確かに、このままでは埒が明かないッ！ スタリと地面に着地したワタルは、早速戦い方を変えてみることにしたッ！
「それじゃあ……これならどうだッ！」
そう叫ぶと彼は左手に熱血エネルギーを溜め、もう一度天高く跳び上がったッ！ そして腰をひねりながら、その左拳を巨大スライムにペチンとぶつけるッ！
「武ッッッッッッッッッッ！！！！！！！！！！」
拳を通じて、スライムの体の内側へと直接熱血エネルギーを送り込むワタルッ！
「なるほど！ 体のほとんどが水でできているスライムの体内に直接熱を送り込むことで、蒸発させるつもりですね！ とっさにそんな戦法を思いつくなんて、流石はワタルさんです！」
めちゃくちゃ早口で解説をしつつワタルのことを褒めるアリアッ！ 忙しいッ！
「これでどうだッ！」
彼はそう言って、ニヤリと笑いながら地面に着地したッ！
……だがッ！
グオォォォオッ！！
巨大スライムは、全く効いていないといった様子で唸り声を上げるッ！
「だ、駄目か……ッ！」
「いくらワタルさんの“熱”を使っても、あれだけの巨体のスライムを蒸発させるのはきついみたいですね……」
絶体絶命の状況ッ！ ワタルは一瞬考えを巡らせた後、仁王の形相で口を開いたッ！
「よしッ！ 逃げようッ！」
「ですね！」
というわけで、スカイ王国を目指して一気に走り出すワタルとアリアッッ！！
すると巨大スライムが、二人を追いかけるようにズリズリと動き出したッ！
「ど、どうしましょう！ あのスライム追ってきますよ！」
「ちくしょうッ！ どうやら怒らせちまったみたいだなッ！」
ワタルはそう言うととっさにアリアを掴み、肩に担いだッ！
「こうなったら全速力だッッ！！」
そして彼女を担いだまま、時速140キロでガチダッシュするワタルッ！
「うげぇぇぇぇぇえ！！！」
アリアはその凄まじいスピードに困惑し、グルグルと目を回すのであった……ッ！
そして数分後ッ！ なんとかスライムを振り切ったワタルとアリアは、ラモンが待つ研究所の一室に戻ってきたッ！
「おっ、早速戻ってきたかワタル！ それで、スライムはどうなった？」
ウキウキとした表情で尋ねてくるラモン！
「すまんッ！ 倒せなかったッ！」
ワタルは、スピードに耐え切れず気絶してしまったアリアを床に優しくおろしながら報告したッ！
「なに？ そうなのか……それじゃあ、本格的に巨大スライムの対策を講じる必要がありそうだな……」
ラモンが神妙な面持ちでそう言っていると、一人の研究員が息を切らしながらやってきたッ！
「ラモンさーん！ た、大変ですー！」
「ん？ どうしたんだ？」
「それが……き、巨大スライムが……スカイ王国に、向かってきています！」
「な、なんだってー！？」
驚愕するラモンッ！ すると研究員は懐からタブレットPCを取り出し、その画面に映し出された映像をラモンに見せつけたッ！
「スカイ王国付近に設置していた監視カメラに映った映像です！ 巨大スライムは木々をなぎ倒しながら、まっすぐにこちらへと向かっています！」
「ちくしょう……そのスライムは、俺を追ってここまで来たんだ……ッ！」
巨大スライムの執念深さに冷や汗が止まらないワタルッ！
このままでは、スカイ王国が巨大スライムによって潰されてしまうッッ！！
ヤバイッッッ！！！
「どうしますか所長！？ こうなったらもう“アレ”を出すしか……」
研究員がそう言うと、ラモンは首をブンブンと横に振ったッ！
「だ、駄目だ！ “アレ”はまだ調整が終わっていない！ 無理矢理動かしたらどんな事故が起こるか分からないぞ！」
「しかし事態は急を要します！ 悩んでいる時間はありませんよ！」
「それはそうだが……！」
眉間にしわを寄せながら考え込むラモン！ ……というか“アレ”ってなんだッ！
そして数秒後！
「……よし！」
ラモンは顔を上げ、覚悟を決めたような表情で口を開いたッ！
「出そう！ “アレ”を……“熱血機兵グレートガイ”を！」
「“熱血機兵グレートガイ”……ッッ？？？ なんだそれはッッッ！！！」
ラモンの口から発せられた男心をくすぐる単語に、ワタルは目を輝かせるのであったッ！
次回、「参上！熱血機兵グレートガイッ！」に続くッッッ！！！
・参考文献
[1]巨大ロボットにありがちなネーミング一覧……異世界転生出版
