第75話 「スカイ王国の危機!怪獣出現ッ!」
前回までのあらすじ! 死後の世界から復活したワタルは、見事にクラックを撃破することに成功した! そしてその翌日、彼はスカイ王国の国王から“魔物研究所”へと行くよう命令される! そんなわけでアリアと一緒にそこへ向かったワタルを待っていたのは、ラモンと言う男性であった! 果たして彼の目的や如何に!
ワタルとアリアの二人が研究所内に入ると、待ち構えていたように一人の男性が出迎えてきたッ! 服装は黒のスーツの上から白衣を羽織っており、いかにも研究者といった風貌をしているッ!
「やあいらっしゃい、君がワタル君だね? 国王から話は聞いているよ! 僕の名前はラモン、ここの所長をやっている!」
ラモンは気さくにそう言うと、ワタルに手を差し伸べてきた! その顔は少し童顔で、歳はおよそ30歳に見えるッ!
「どうも初めましてッ! 伊藤ワタルですッッッッッ!!!!!」
ワタルはそう言って、ラモンの手をギュッと握ったッ!
バキバキバキッッッッッ!!!!!
この瞬間、ラモンの右手がバッキバキに複雑骨折ッ!
「うぐああーーー!!!」
苦しみ悶えながら床にうずくまるラモンッ!
「し、しまったッ! 大丈夫ですかッ!?」
ついつい500キロの握力で握手をしてしまったおっちょこちょいボーイのワタルッ! するとアリアがすかさずラモンに駆け寄り、魔法で彼の手を治したッ!
「あ、ありがとう……」
「いえいえ、大丈夫ですよ!」
なんという事だ! これではまるでアリアがメインヒロインのようであるッ!
「それで、俺をここに呼んだのは何故なんですかッ???」
ワタルが尋ねると、ラモンは一転して神妙な面持ちになり、口を開いたッ!
「OK、それじゃあことの経緯を一から説明するよ。まずここ“魔物研究所”は、その名の通り魔物の生態を研究することが目的の場所なんだ。僕はこのラボの責任者として働いている。そして先日、部下から恐ろしい研究報告が上がった」
「恐ろしい研究報告、ですか?」
「これを見てくれ」
彼はそう言うと、懐からタブレットPCを取り出し、画面に映し出された映像をワタル達に見せつけるッ!
「こ……これはッ!」
ワタル、驚愕ッッ!!
そのタブレットの画面には、ゼリー状の体をした青いスライムが、森を移動する映像が映し出されていたッ! ――しかし、スライムと言っても一般的な1メートルほどの大きさの個体ではないッ!
なんとその大きさは“6メートル”ッッ!!
通常とは比べ物にならない規格外の大きさを誇るスライムが、木々をなぎ倒しながら森を移動していたのであるッ!
「恐らくこれは、染色体異常個体だろう。そのせいで超巨大に成長してしまったスライムが、ここスカイ王国から程遠くない場所にある森で発見された」
「そ、そんな……」
目を見張るようにして映像を見つめながら、驚きのあまり口に手を当てるアリアッ!
「こんなに大きなスライムを見たのは初めてです……」
「ああ、僕も長いこと魔物の研究をしてきたけど、こういうパターンは初めて見た。そこで国王に頼んで、君を呼んでもらったんだ」
ラモンはそう言って、ワタルの方を向いたッ!
「お願いだ、ワタル君! たぶんこのスライムは数日以内にスカイ王国へとやって来てしまうだろう! だからそうなる前に、君にスライムの討伐をお願いしたいんだ!」
「……よし、任せろッ!」
ワタルは熱血武闘派の高校生ッ! 故に、人からの頼みごとを断ることは出来ないッ!
というわけでワタルとアリアは、早速ラモンの指示を受けてスカイ王国から数キロ南に位置する森へとやってきたッ!
「どうですかワタルさん?」
「今のところ、怪しい気配はないな……ッ!」
周囲を十分警戒しつつ森の探索を行う2人!! いつ巨大スライムが現れてもおかしくないので、警戒を怠るわけにはいかないッッ!!
するとその時、ワタルがあるものに気付くッ!
「武ッ! おいアリア、あれを見ろッ!」
彼がそう言って指差した先には、森の木々が大量になぎ倒された形跡があったッ! 本来であればまっすぐ上に向かって生えているはずの樹木が、何かに押しつぶされたかのように倒れてしまっているッ!
「こ、これは……」
その異様な光景に目を見張るアリアッ!
間違いない、これは巨大スライムの仕業だッ!
「気を付けろアリアッ! 恐らく近くにスライムがいるぞッ!」
「そ、そうですね!」
そう言ってしきりに辺りを見回すワタルとアリアッ! 通常であればここは多くの野生動物が生息する豊かな森なのだが、周囲には一匹の生物も見当たらないッ!
恐らく、巨大スライムに押しつぶされないために逃げたのであろうッ!
――そして数分後ッ!
ついに、“その時”は訪れたッッ!!
ズシン……ズシン……ッッッ!!!
突如大地が震動を始めるッ!
「武ッッ!?」
その微かな揺れを検知したワタルが、とっさに戦闘態勢に入ったッ!
「アリア……俺から離れていろ……ッッッ!!!」
「は、はい!」
ズシン……ズシンッッッ!!!
徐々に大きくなっていく大地の震動ッッ!!
それはすなわち、巨大スライムがワタルの方に近付いてきているということだッ!
ズシン……ズシンッッッッッ!!!!!
「――来たかッッ!!」
そう言ってワタルが後ろを振り返るとそこにはッッッ!!!
太陽の光をふさぐようにして立ちはだかる、巨大スライムの姿があったッッッ!!!
グオォォォオ……ッ!
半透明な青いゼリー状の体をプルンと揺らし、不気味な唸り声を上げるスライムッ!
「~~~ッ!」
デカァァァァァいッ説明不要!!
全長6メートルというその巨体は、いざ目の前で相対してみると言葉には出来ないほどの迫力があるッ!
実際の所、ワタルはこれまでに何度も自分より大きな敵と闘ってきたッ! だが今回のような、一切意思疎通を行うことが出来ない巨大生物と闘うのは初めてであるッ!
「気を付けてくださいワタルさーん!」
遠くの木陰から応援の言葉を投げかけてくるアリアッ!
「ああ、任せろッ!」
彼はそう答えるとグッと全身に力を込め、目の前の巨大スライムを仁王の形相で睨み付けるッ!
「さて……やるかッッッ!!!」
こうして、身長2メートルのワタルvs全長6メートルの巨大スライムの闘いが始まったッ!
次回、「ワタル、ピンチ!最後の希望は巨大ロボッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]ファンタジー小説におけるスライムの特徴……異世界転生出版




