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第74話 「ワタルvsクラック!ワタル、圧勝ッ!」

 前回までのあらすじ! クラックの必殺技をくらって絶命してしまったワタル! 死後の世界で彼を待ち受けていたのは、エンマという赤鬼であった! エンマから天国行きを言い渡されるワタルであったが、「元の世界に戻せ」とエンマに攻撃を開始! その結果、「半年以内に4本の宝剣を取り戻す」という条件付きで生き返ることに成功! こうして、ワタルvsクラック戦の第2ラウンドがスタートした!











「奮ッッッ!!!」


 死後の世界から舞い戻ってきたワタルは、早速クラックの顔面目がけて鋭い右フックを放ったッ!


 全盛期のモハメド・アリを彷彿とさせるその右フックを、間一髪のところでよけるクラックッ! その動きは非常に機敏であったッ!


「やるな、クラックッ!」


「今度はこちらから行くぞ!」


 するとクラックは大地を強く蹴り、フワリと宙に浮いたッ! そしてその体勢から右足を突き出し、跳び蹴りを繰り出すッ!


 だがッ!


「武ッッッッッ!!!!!」


 ワタルはかわそうとせず、むしろその蹴りを凄まじい動体視力を駆使して受け止めてしまったッ!


「何ィ!?」


 クラック、唖然ッ!


 そしてワタルは一気に相手の懐へと跳びこみ、まだ宙に浮いているクラックのわき腹に左アッパーを叩き込んだッ!


「うぐぅ!」


 地面に足がついていないため踏ん張ることの出来ないクラックは、無情にもそのまま吹き飛ばされていったッ!


「まだだ! まだ終わっていない!」


「いいやッ! これで終わりだッッッッッ!!!!!」


 ワタルはそう叫ぶと、石畳で舗装された地面に向かって正拳突きを放つッ!


 一体彼は何をやっているのだッッ!? 読者の皆様がそう言って驚きに目を丸くしてしまうのも無理のないことだッ!


 するとワタルは“畳返し”の要領で地面から2メートル四方の石畳を抉り出し、その塊をクラックに投げつけたッッ!!


 さあ、ここで説明せねばなるまい! この技はアフリカの秘境に暮らす謎の部族・ヤバイ族に古くから伝わる伝説の奥義“地盤返し”であるッッッ!!!


(※地盤返し……アフリカ大陸に位置する「ザンビア共和国」の秘境に住む謎の部族、ヤバイ族が編み出した武術。大地に手を突っ込んで地盤をはがし、それを丸ごと相手に投げつけるという豪快な技。ヤバイ族では代々、「この技が使えれば成人の証」とまで言われていた。しかし高度なIT文明が築き上げられていく中でこの伝統は徐々に衰退していき、今ではこの技を使えるものは部族の中でも数人程まで減ってしまった。数年前に取材班が調査のためヤバイ族の村まで赴いた際、族長であるミィ・ジャラ氏(当時87歳)は快くこの技を見せてくださったが、その迫力は非常に凄まじいものであった)


「くっ、よけきれない!?」


 超高速で接近する岩の塊に驚愕するクラックッ! 両腕を前に突き出して必死に“受け”の構えをとるが、しかしッッ!!






 ドゴンッッ!!






「グワーーー!」


 クラックは無残にも、時速220キロの岩の塊にもろに激突してしまったッッ!! まるで隕石が激突したのかと錯覚してしまうほどの衝撃が、あたり一帯に響き渡るッ!


「む、無念……!」


 彼は心底悔しそうに呟くと、バタリと地面に倒れて気絶ッ!


 こうして、惜しくもワタルに敗北してしまった死刑囚クラックは、再び城の地下牢獄にとらわれることとなるのであったッ!


 めでたしめでたしッ! 圧倒的めでたしッッ!!











 そして翌日ッ! ワタルは国王に呼ばれたので、いつものように謁見室へとやってきたッ!


「ワタル君。クラックを無事に捕まえてくれて、本当にありがとう」


 鋭い目つきの国王が、もっさりと生やしたあごひげを撫でながら感謝の言葉を口にしたッ!


「いえいえッ! 当然のことをしたまでですッ!」


 ワタルは熱血硬派な日本男児だッ! 故に、決して極悪人を野放しにしたりしないのであるッ!


「今回の報酬金も、また君の口座に振り込んでおくぞ」


「ありがとうございますッ!」


 すると国王は腕を組み、眼をギラリと光らせながら口を開いたッ!


「ところでワタル君。実は他にも、君にも解決してもらいたい事件があるのだが……」


「武ッッ!? 一体なんでしょうッ!?」


 首をかしげて尋ねるワタルッ!


「うむ、まあ詳しいことは私の口からではなく、専門の人間から言わせることにしよう。大至急、城下町の東にある“魔物研究所”へと向かってくれ」


「魔物研究所……ッ???」


 ワタルは、唐突に登場した新たなワードに混乱してしまうのであったッ!











 そんなわけで早速ワタルは、特に役に立つわけでもないが一応メインヒロインなので出さざるを得ないアリアを引き連れ、国王に言われた通り“魔物研究所”へと向かうことにした!


「ありましたよワタルさん! ここが例の“魔物研究所”です!」


 そう言ってアリアが指さした先には、スカイ王国には似つかわしくないほど近代的な外観をした建造物があったッ! 外壁は全て真っ白に塗装されており、まさに“研究所”といった雰囲気にあふれているッ!


「よし、入るかッ!」


「そうですね!」


 早速彼らは期待に胸を膨らませて、ガラス製の自動ドアを抜けて中に入ったッ!


 冷静に考えてみると異世界にガラス製の自動ドアがあるのはおかしい気もするが……まあそういうこともあるのだろうッ!


 二人が研究所内に入ると、待ち構えていたように一人の男性が出迎えてきたッ! 黒のスーツの上から白衣を羽織った恰好をしており、いかにも研究者といった風貌であるッ!


「やあいらっしゃい、君がワタル君だね? 国王から話は聞いているよ! 僕の名前はラモン、ここの所長をやっている!」


 ラモンは気さくにそう言うと、ワタルに手を差し伸べてきた! その顔は少し童顔で、歳はおよそ30歳に見えるッ!


「どうも初めましてッ! 伊藤ワタルですッッッッッ!!!!!」


 ワタルはそう言って、ラモンの手をギュッと握ったッ!






 バキバキバキッッッッッ!!!!!






 この瞬間、ラモンの右手がバッキバキに複雑骨折ッ!


「うぐああーーー!!!」


 苦しみ悶えながら床にうずくまるラモンッ!


「しまったッ! 大丈夫ですかッ!?」


 ついつい500キロの握力で握手をしてしまったおっちょこちょいボーイのワタルッ! これには思わず読者の皆様も苦笑いッ! するとアリアがすかさずラモンに駆け寄り、魔法を使って彼の手を治したッ!


「あ、ありがとう……」


「いえいえ、大丈夫ですよ!」


 なんという事だ! これではまるで、アリアがメインヒロインのようであるッ!


 次回、「スカイ王国の危機!怪獣出現ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]アフリカの謎の部族・ヤバイ族に迫る!……異世界転生出版

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