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第7話 「ワタルvs四天王の三人目!激闘必至の料理対決ッ!」

 前回までのあらすじ!ワタルとアリアが入ったお店のコックは、実は四天王の三人目のサイクロプス太郎であった!こうして、ワタルとプス太郎の熾烈な料理バトルが始まった!






 そんなこんなでお店のキッチンに移動したワタルとアリアとプス太郎!


「いいか?ルールは特にない!キッチンに置いてある食材を使って、好きな料理を作れ!」


「分かったッッッ!!!」


「頑張ってくださいワタルさん!」


「では!スタートだ!」


 プス太郎の一声で、料理対決の幕が開けたッ!


「アリア!俺はこの世界の食材についての知識が全くない!この大きくて青い球体はなんだ?」


「ドラゴンの卵です!」


「……この肉の塊は?」


「オークの腕の丸焼きですね!」


「……じゃあこの茶色くて細長い筒みたいな果物は?」


「この地方の名産品、ウィンドレモンです!」


「……全部まずそうだッッッ!!!」


 ワタルは頭を抱えたッ!


 恐るべきことに、今ワタルの目の前にある食材はどれも未知の姿かたちをしているッ!どんな味なのかなど想像もつかないッ!


「ワタルさん、一体何を作るつもりなんです?」


「うむ、チャーハンというものを作るつもりだ!!」


 ワタルの口から飛び出した聞き慣れない単語に首をかしげるアリアッ!


「チャーハンとは、一体どんな食べ物何ですか?」


「まあ、楽しみにしていてくれッ!」


 もうどうにでもなれッ!と言った勢いで、ワタルは青いドラゴンの卵を力任せに割ってボウルにぶちまけるッ!


 良かったッ!黄身はちゃんと黄色だッ!


「うおおおおおおッッッッッ!!!!!」


 気合一閃ッッッ!!!


 油を引いた鉄のフライパンを火にかけ、ご飯を投入ッ!ジュワリと香ばしい香りが漂ったッ!


「いいぞッ!この調子だッ!」


 フライパンを器用に動かしながらご飯に均等に熱を加えたら、すかさずドラゴンのとき卵を投入ッ!ここまでは至って順調であるッ!


 しかし!!!ここで大きな壁がワタルの前に立ちはだかったッ!!!!!


「アッ!!!!!!!!!!どうしようッ!!!!!!!!!!」


 ワタル、絶叫ッッッッッ!!!!!


「どうしたんですか?ワタルさん」


 調理中に突然大声を出すワタルにドン引きしながら、アリアは尋ねたッ!


「クッ!!!!!!!!!!熱が足りないッ!!!!!!!!!!」


 そうッ!熱が足りないッ!


 ここで、普段あまり料理をしないという読者の皆様のために説明をしようッ!チャーハンとは、食材に一気に熱を通すことが重要な料理であるッ!しかし、このキッチンの設備はお世辞にも整っているとは言えなかったッ!コンロの火力が、足りていないのだッッッ!!!


 このままでは卵がべちゃべちゃになり、出来上がったチャーハンに“パラパラ感”というものが生まれないッッッ!!!


 ワタル、危うしッッッ!!!


「うぉぉぉぉッ!こうなったらッ!」


 ワタルは魔法など使えないッ!故に炎の魔法で火力を強めるといったことも不可能ッ!


 だがッ!


 “熱”を出すことはッッ!!


 決して魔法使いの専売特許ではないッッッ!!!


 ここにいるッ!どんな炎の魔法よりも熱い“熱”を出す男がッッッッッ!!!!!


「破ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは叫びながら、左手をフライパンの縁に添えたッ!


「わ、ワタルさん!?」


 アリア、驚愕ッッッ!!!


 アツアツのフライパンに素手で触るなど、もはや常人の所業ではないッッ!!良い子は真似してはいけないッッ!!


「“熱”がないなら……“熱”を生み出すッッッッッ!!!!!」


 見よ!!!一見しただけでは分からないが、よく見てみるとワタルの左手が超速で振動しているではないかッ!


 あの技は、ロシア流空手の“熱血バイブレーション”に他ならないッッッ!!!


(※熱血バイブレーション……手のひらを超高速で振動させ、触れた対象に凄まじい摩擦熱を与えるというロシア流空手の技の一つ。極寒の地であるロシアの空手家たちは、かつてこの技で自分の身体を温めて冬をしのいでいたとも言われている。そのため、現在においてもロシアで空手を習う際に最初に教わる技がこの“熱血バイブレーション”であることは、もはや言うまでもない)


「よしッッッ!!!チャーハン完成ッ!」


 ワタルがチャーハンを作り終えるのと同時に、プス太郎も声を上げたッ!


「ほう、調理は終わったかワタル!私もたった今完成したところだッ!それでは実食といこうか!」






 そんなわけでリベリオンが待つテーブルへと料理を持ってきたワタルたち!今、運命の実食タイムが始める!!!


「よし、ではまず私からだ」


 言うが早いか、プス太郎はリベリオンの前に料理を置いたッ!ホカホカの湯気とかぐわしいバターの香りが辺りに広がっていくッ!


「ほう、これはおいしそうだ……」


 リベリオンも思わず生唾を飲み込んだッッ!!


「これは最高級A5ランクのケルベロスの霜降り肉を使ったステーキだ。素材の味を殺さないように、味付けはバターと少しの岩塩のみ!」


 リベリオンはナイフとフォークで、肉厚のステーキを丁寧に切り分けたッ!切り口からどろどろとあふれ出る肉汁ッ!あれを目の当たりにして、「あの肉汁が詰まったプールで泳ぎたい」と思わないものはいないだろうッッ!!


「では、いただこう……」


 そう言うと、リベリオンはフォークに挿した一口大のステーキを口に運んだッ!


「――――――!」


 そのステーキをほおばった瞬間、リベリオン、まさかの絶句ッッ!!


 そしてッッッ!!!





















 ビリビリビリビリッッッッッ!!!!!






















 な、なんという事だッ!あまりのおいしさに感動して、リベリオンの服がはじけ飛んでしまったではないかッッッ!!!


 だがしかしッ!


「ん?なあアリア、今何か布が破けるような音がしなかったか?」


「え、そうですか?特に異変は無いですけど」


 そう!リベリオンは全身に甲冑をまとっているので、その下の服が破けても周りにはばれないのだッ!


「こ、このステーキ……美味い!噛む度に口の中に肉汁が稲妻のようにほとばしる!シンプルな味付けのおかげで、霜降り肉本来の濃厚な味わいがダイレクトに味覚を刺激してくる!」


 リベリオン、感嘆ッ!


 これにはプス太郎も余裕の笑みを浮かべる!!!


「ククク……どうやら勝負は決まったようだな……」


 だがワタルは諦めないッ!


「まだだッ!リベリオンッ!俺のチャーハンを食べてくれッ!」


 そう言ってワタルは、モクモクと湯気が立ち上るチャーハンの皿を彼女の前に置いたッ!


「うむ、分かった。このチャーハンというものを食すのは初めてだが……どれどれ、それではいただくとしよう」


 今度はスプーンを手に取ったリベリオンが、ワタルお手製のチャーハンを一口ほおばったッ!


 果たしてその感想はッッッ!!!





















「……うん、普通だな」






















「えぇッッッッッ!?!?!?!?!?」


 これにはワタルもびっくり仰天ッ!この流れでまさかの主人公敗北ッ!読者の皆様も驚きを隠せないッッッ!!!


「いや、美味しいには美味しいんだが、プロの料理人であるプス太郎程ではないな」


 無情にも当たり前のことを告げるリベリオンッ!


「ふはははは!決まったなワタル!私の勝ちだ!」


 プス太郎はそう言って高らかに笑ったッ!


「……えいッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」


 ワタル、おもむろに右手に隠し持っていたレモンの皮をプス太郎の眼前で勢いよく絞ったッ!


 ビシャアアアッッッッッ!!!!!


 異世界特産、ウィンドレモンの濃厚な果汁がプス太郎の単眼にしみるッッ!!


「グギャアアア!目が!目がー!」


 プス太郎はたまらず顔を覆ったッ!


「隙ありッ!」


 ワタル、この隙にプス太郎の腹に普通の正拳突きッ!


「グエ!」


 気絶したプス太郎が地面に突っ伏したッ!


「ふう……なんとか勝つことができたなッ!」


「流石ですワタルさん!」


 アリア、すかさずワタルを褒めるッ!


 一見すると卑怯な行動にも思えるが、そもそもこのプス太郎は最初に“サンドイッチに毒を仕込む”という料理人にあるまじき悪事を働いているため、何も問題はないッッッ!!!


「ほう、見事だワタル。まさか四天王の三人目も倒すとはな」


 感心するリベリオンッ!


「ああ!熱血武闘派だからなッ!これぐらい余裕だッ!」


 ワタルはニンマリと笑いながらガッツポーズをした!!!


 こうしてなんとか四天王の三人目を倒すことに成功したワタル!!だが彼はまだ知らない!!この先に待ち受ける、四人目の四天王の恐ろしさをッ!!!


 次回「ワタルvs四天王の四人目!狼男に気を付けろッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]異世界流チャーハンの作り方……異世界クックパ○ド


[2]ロシア流空手の技一覧……異世界転生出版


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