表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/138

第62話 「神絵師!ワタル、イラストを貰うッ!(後編ッッ!!)」

 前回までのあらすじ! 絵心を一切持たないワタルは、アリアのすすめでプロのイラストレーターに自画像を描いてもらうことにした! そして“神絵師矢馬蔵(かみえしやばぞう)”という老人男性の元を訪ねる二人! だがしかし、不運にも彼は赤のインクを切らしていたため、イラストを描くことができなかった! そこでワタルとアリアは、赤のインクの原料である“紅薬草(べにやくそう)”を採るために、スカイ王国を出て南にある森へと向かうのであった!











 ワタルとアリアが森にやって来て数分後ッ!


 彼らの前方の草むらが、突然ガサゴソと激しくうごめき始めたッッ!!


「武ッッ!?!?」


 素早く身構えるワタルッ!


「もしや……こいつがこの森の(ぬし)かッ!?」


 するとその瞬間、草むらから巨大な影がバッと飛び出してきたッ!


「「!!!」」


 ワタルとアリアは同時に驚愕ッッ!!


 なぜならッ!


 草むらから出てきたのは、茶色い毛皮で全身が覆われた、なんとも恐ろし気な風貌のクマだったからだッッ!!


 しかもッッ!!


 その全長はおよそ3メートルッッッ!!!


 “デカい”ッッッ!!! もはや説明不要の恐ろしさだッッッ!!!


「グルルアァァーーー!!!」


 口を大きく開け、鋭い牙をのぞかせながら雄たけびをあげる巨大グマ!!


「やばいですよワタルさん! 間違いなくこのクマちゃんは森の(ぬし)です!!」


 アリアが顔をこわばらせながら言うッ!


「アリア、お前は下がっていろッ!!」


 ワタルは仁王の形相でそう叫ぶと、戦闘態勢のまま一歩前に出たッ!


「こいつは……俺がやるッッ!!」


 そして彼は、巨大グマの眼をじっと睨みつけるッ!


 するとクマも、負けじとワタルの眼を睨み返してきたッッ!!


「……ッ!」


「……グルル……」


 そこから30秒間ッ! ワタルとクマは、お互いに睨みあったまま一切動かなかったッ!


 張りつめる緊張感に顔をしかめるワタルッ! “そう言えば家の鍵ちゃんと閉めてきたっけ?”と心配になってきたアリアッッッ!!!


 そんな緊迫感を打ち破るかのように、クマが先に動いたッ!


「グルアァ!!」


 血に飢えた獣は右腕を振り上げ、そのするどい爪をワタル目がけて振り下ろすッ!


「フンッ!」


 それに対してワタルは、反復横跳びの要領で右へ跳び、攻撃を避けたッ!


「なるほど、デカい図体に似合わず動きが速いなッ!」


「グルアァ!!」


 その後もクマは2発、3発とひっかき攻撃を繰り出してきたが、ワタルは顔色一つ変えることなく紙一重で避け続ける!!!


「ど、どうして反撃をしないんですか!?」


「慌てるなアリアッ! このクマをよく見てみろッ!!」


「?」


 ワタルの言葉を聞いて、首をかしげるアリアッ!


「……もしかしてこのクマ、奥二重ですか?」











「…………………………違うッ! こいつはな……腹を空かせているだけだッ!」


「なるほど! 純粋に空腹で気が立っているから、襲ってきただけということですね!」


 アリア、納得ッ!


「そうだッ! だから俺は、闘うつもりはないッッ!!」


「でもそれじゃあ、いつかやられてしまいますよ!」


「心配するなッ! こうすればいいんだッッ!!」


 ワタルはそう叫ぶと、腰を低く落とし、右腕に熱血エネルギーを集中させていくッ!


 そしてッ!


「武ッッッッッ!!!!!」


 身構えていたクマの顔面目がけ、時速220キロの正拳突きを繰り出したッ!


 が、しかしッ!


 ……止めたッ!


 クマの顔面に当たる直前でッ!


 ワタルは拳を止めたッ!


 これはすなわち……“寸止め”ッッッ!!!


「攻撃を当てる必要はない……俺の方が上だと、こいつに分からせればいいんだッ!」


「グルルゥ……」


 するとクマは突然こうべを垂れ、地面にゆっくりと伏せ始めたッ!


 このうつぶせの大勢は間違いなくッ! “土下座”であるッッッ!!!


「そうだ……それでいいッ!」


 弱肉強食の世界において、土下座は敗北宣言を意味するッ!


 そしてこのクマは、今のワタルの寸止めで悟ったのだッ!


 “こいつは自分よりも強い”とッッッ!!! だから土下座をしているのだッッッ!!!


 これによって、ワタルとクマの闘いは終わったッ!


「さすがですワタルさん! 拳を当てない寸止めで実力の差をはっきり見せつけ、争うことなくクマを戦闘不能にしましたね!」


 アリアはすかさずワタルを褒めたッ!











 数時間後ッ!


 ワタルとアリアは、無事に採取した紅薬草を持って再び矢馬蔵の家にやってきたッ!


「ほら、持ってきてやったぞッ!」


 ワタルはそう言って、手に持った赤色の野草を矢馬蔵に手渡すッ!


「おお、よくぞ持ってきた! これで赤色のインクがつくれるわい!」


「じゃあ早速俺のイラストを描いてくれッッッッッ!!!!!」


 ワタル、閻魔の形相で懇願ッ!


「よし、任せておけ! じゃあまずはデザインから考えるか!」


「武っ??? 自画像を描くんだから、今の俺の姿をそのまま描けばいいだろうッ!」


 しかし、ワタルのその考えは甘かったッ!


「そうはいかんのじゃ若造よ! 今のお前の恰好は、デザイン的に引っかかりがないからな!」


「“引っかかり”……?」


「ようするに、トレードマークじゃ! ほら、麦わら帽子とか、銀色の天然パーマ頭とか、そういう分かりやすい特徴があった方が、良いイラストになるじゃろ!」


「そ、そういうものなのか……ッ!」


 渋い顔で頷くワタル!!


「確かにワタルさんのビジュアルって、シルエットにしてみるとあまり特徴がありませんね!」


「確かになッ! アッ!! じゃあハチマキはどうだッ???」


 ワタルはそう言うと、学ランの内ポケットから深紅の鉢巻を取り出したッ!


 これは、以前脱獄囚のガウラと闘った時に身に着けた“爆熱乃破血魔鬼(ばくねつのはちまき)”であるッ!


「なるほど、ハチマキか! これなら分かりやすいトレードマークになるわい!」


「そうだろう、そうだろうッッ!!」


 そして彼は、慣れた手つきで額にハチマキを巻き付けたッ!


 実際のところこのハチマキを付けた回数はガウラ戦の時の1回しかなく、登場話数も第51話と52話の2話のみッッ!! これをトレードマークと言い張ってしまうワタルの圧倒的パワープレーに、読者の皆様も驚きを隠せないッッ!!


「じゃあこれで描いてくれッ!!!」


「分かった!」











 そして数時間後ッッ!!


「出来たぞ!」


 矢馬蔵はそう言って、jpg形式で作られたイラストをワタルに見せてきたッッ!!











挿絵(By みてみん)











 そのイラストを目にしたワタルとアリアは、あまりの素晴らしさに圧倒的感動ッッッッッ!!!!!


「す、すごいクオリティじゃないですか! やっぱりプロって違いますね!」


「そうだなッ! 俺は今、猛烈に感動しているぞッッッッッ!!!!! いつでも格闘ゲームに参戦できそうなビジュアルだッ!」


「格闘ゲームって何ですか?」


「いや、何でもないッ!」


 こうしてワタルは、プロのイラストレーターにイラストを描いてもらうことに成功したのであったッ!


 めでたしめでたしッッ!! 圧倒的めでたしッッッ!!!


 次回、「暗黒!呪われし遺物の謎ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]毎月応援イラストプレゼント企画!……http://www.cg-con.com/novel/6_novelcon/rendou.html

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ