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第60話 「ワタルとボケル!見事決勝進出ッ!」

 前回までのあらすじ! 予選が終わった! ワタルとボケルのコンビ“プロテインズ”はウケた! ブレイドとジョニーのコンビ“黒バラーズ”はスベった! 以上!











 そして、予選が終了してから1時間後!


 観客たちの投票によって、決勝に進める5組が決定した!!


 その結果ッッ!!


 ワタルとボケルによる前代未聞の武闘派漫才コンビ、“プロテインズ”は無事に決勝進出が決定ッッ!!


 ブレイドとジョニーによるコンビ、“黒バラーズ”は言うまでもなく予選敗退!


「やったでワタルさん! 決勝進出や!」


「ああッ! やったなッッ!!!」


 ガシリと、きつく抱きしめ合うワタルとボケルッッ!! 漫才に情熱を注ぐ漢達の熱き友情(たましい)ッッッ!!!


 一方その頃、予選敗退となったブレイドとジョニーはッ!


「ちくしょう! ダメだったか!」


「残念だったね兄貴……もうオイラたちも、真面目に働くしかないのかなぁ……」


「諦めるなジョニー! まだ希望はある!」


「!? 一体どうするんだい!?」


「こうなったら……次は、ラッパーになってやる! 行くぞジョニー!」


「わかったよ兄貴!」


 こうしてブレイドとジョニーは一目散に走りだしていくのであった……!!!











 そして数時間後ッッ!!


 劇場のステージに、再び司会進行のジョセフ横澤が現れたッ!


「レディースアンドジェントルメーン! 皆さんお待たせいたしました! いよいよ決勝戦のスタートです!」






「「「イエーーーーイ!!」」」


「「「ワーワーーー!!」」」


「「「パチパチパチパチーーー!!!」」」






 ついに始まる決勝戦ッ! 劇場のボルテージは最高潮だッッ!!


 一方舞台裏では、ワタルとボケルが鬼気迫る表情で話し合っているッ!


「……いよいよ決勝戦だッ! ボケルよ、体の具合はどうだッ!?」


「平気や! このネタをやりきるまでは、根性でツッコミに耐えて見せるで!」


「そうか……それじゃあ、決勝戦も全力でツッコむぞッッッッッ!!!!!」


 ワタルは全力でツッコむことにしたッッッッッ!!!!!


 そして舞台上のジョセフ横澤が、アナウンスを開始ッ!


「それではご紹介します! 決勝戦最初のコンビは、予選にて前代未聞の武闘派漫才を披露し、会場を混乱の渦に巻き込んだこの二人! “プロテインズ”です!!」






「「「イエーーーーイ!!」」」


「「「ワーワーーー!!」」」


「「「パチパチパチパチーーー!!!」」」






「……いくで、ワタルさん! これで最後や! 全力を出し切ったるで!」


「よっしゃあッッッ!!!」


 そして舞台裏から躍り出るワタルとボケルッッ!!


 こうして、“プロテインズ”による最後の武闘派漫才が幕を開けたッ!











「はいどうもープロテインズですー」


「よろしくお願いしますッ!!」


 舞台中央に置かれたスタンドマイクの前に立ち、挨拶をするボケルとワタルッ!


「ワタルさん、ついに決勝の舞台にやって来たわけやけど、ワイはこの日のために話のテーマを2つ用意してきたんや! どっちがええやろか!」


「ほうッ! 一体どんな話なんだッ???」


「1つ目は“本当にあった怖い話”!」


「おッ、いいなッ! 定番じゃないかッ!」


「2つ目は“適当に作った長い話”!」


「いやそんな話聞きたくねぇよッッッッッ!!!!!」


 ワタルはそう叫び、凄まじい裏拳によるツッコミをボケルの胸板に繰り出したッ!


「ぐわぁーーー!!!」


 時速130キロで吹き飛び、壁に激突するボケルッ! 彼は強烈な痛みに耐えつつ立上り、スタンドマイクの位置へと真顔で戻ってきたッ!


「……まあそういうわけで早速、適当に作った長い話を聞いていただきたいと思うんですけど」


「いや結局そっちやるのかよッ!」


「時間はだいたい4分ぐらい」


「いや長いのか短いのか微妙な長さだなッ!」


「僕この間全裸でバク宙をしながら街を散歩してたんですけどね」


「いや早速適当感凄いなッ!」


 短いスパンでボケを連発するという現代派の漫才スタイルッ! ワタルの強烈なツッコミだけに頼らない、正統派のやり方をネタに組み込んでいるッ!


 そんなこんなで漫才を続けること2分ッ!


 その時、事件が起こったッ!


「……そんで僕言うたったんすわ!“おばあちゃん、いい加減かぼちゃを煮込みながらちゃぶ台の上でコサックダンスをするのはかぼちゃ農家の人に失礼だからやめなはれや”って!」


「なんでやねんッッッッッ!!!!!」


 そう言ってワタルが恒例の殺人的ツッコミを繰り出し、吹き飛んだボケルが壁に激突したその瞬間ッ!






 ズシンッッッッッ!!!!!






「!?」


 今までとは違う衝撃音が会場に響き渡ったッ!


(な、なんや今の音は……!?)


 ボケルが不審な顔で辺りを見回しているとッ!


 なんと、舞台のセットがガラガラと音を立てて崩壊を始めたッッ!! おそらく、セットの壁に何度もボケルが激突したことが原因であろうッ!


 ワタルのツッコミに耐えることが出来なかったのは、ボケルではなく舞台セットの方だったという何とも皮肉的な結末であるッ


「うわーーー!!!」


 叫ぶボケルッ! このままでは、彼は瓦礫に巻き込まれて怪我を負ってしまうッ! 無論、ワタルがこの状況を、指をくわえて見ているはずがなかったッ!


「大丈夫かッ!」


 ワタルはそう言うと、チーターのような俊敏な動きでボケルの方に走り寄りッ!


 見事に、彼を助け出すことに成功ッ!


 あと1秒でも行動が遅ければ、ボケルは瓦礫の下敷きになっていたに違いないッッッ!!!


 この惨状を目の当たりにした観客たちも、悲鳴を上げながら我先にと会場から逃げ出していくッ!


 こうして、“スカイ王国最強漫才王者決定戦”、通称“S-1”は大混乱の内に幕を閉じたのであったッッッ!!!











 そして翌日ッ!


 ワタルとボケルは、近所の空き地へとやってきたッ! 今までたくさん漫才の練習をしてきた、思い出の場所であるッ!


「ボケル……体の方は大丈夫かッ?」


「大丈夫やで!」


「そうか……それにしても残念だったな、まさかS-1が中止になってしまうとはッ!」


 そうッ! 結局、ワタルとボケルによる武闘派漫才の衝撃に耐えられなかった劇場は半壊状態になってしまい、大会も中止という形で終わってしまったのだッ!


 奇跡的にも怪我人は一人も出なかったが、悲しい結末であるッ!


「ええんや! ワタルさん! 確かに大会が中止になったんは悲しいけど、今回アンタと一緒に漫才ができてええ経験になった!」


「ボケル……こちらこそ、ありがとうッ!」


 そしてワタルとボケルは、互いに熱い涙を流しながら握手をしたッッ!!


「来週、急性胃腸炎になっていた相方が退院するんや! そしたら、その相方と一緒に、また一から漫才をやり直したる!」


「いいぞ、その調子だッ! これからも頑張れよッ!」


 こうして、前代未聞の武闘派漫才コンビ“プロテインズ”は解散したッッ!!


 めでたしめでたしッ! 圧倒的めでたしッッッ!!!


 次回、「神絵師!ワタル、イラストを貰うッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]現代漫才入門……異世界転生出版

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