第58話 「ついに開幕!漫才王者決定戦ッ!」
前回までのあらすじ! “スカイ王国最強漫才王者決定戦”、通称“S-1”に出場するため、早速漫才の練習を開始したワタルとボケル! しかしワタルの圧倒的パワーツッコミをくらったボケルは死にかけてしまった! 果たしてボケルは、ワタルのツッコミをくらっても死なない頑丈な体をつくりあげることが出来るのであろうか!?
そして、S-1の本番当日!! ワタルとボケルは、スカイ王国の繁華街西部に位置する大きな劇場、その名も“スカイ王国漫才ホール”へとやってきたッ!
「ついに……この時がやってきたなッ!」
「せやな! ワイらの実力、見せつけたるで!」
そこにはッ! いつもの調子で意気込むワタルと……ボディビルダーのように筋肉ムキムキのボディを手に入れた、ボケルの姿があったッ!
身長はなんと190センチッ! 1週間前までは170センチだったので、この短期間で20センチも背を伸ばしているッ! それに比例して肩幅も広くなり、腹筋は見事なシックスパック状態ッ!
そうッ!
彼はワタルのツッコミに耐えうるだけの肉体をつくるため、この一週間で血のにじむような努力をしてきたのだッ!
ワタルの指導の元腹筋・腕立て・背筋を一日につきそれぞれ3万回ずつ行いッ!
朝・昼・晩の食事は全てワタル特性のプロテインドリンクッ!
このようにして出来上がったボケルの鋼鉄の肉体は、ワタルの全力ツッコミを受けても破壊されないのだッッッ!!! これぞ筋肉の神の加護ッッッ!!!
彼のトレードマークである黄色いパーカーも、はち切れんばかりにパツンパツンになっているッッッ!!!
「よっしゃ、いったるで!」
「応ッッッ!!!」
そして身長200センチのワタルと190センチのボケルは、その巨体をズシンズシンと揺らしながら劇場へと入場していくのであった……ッッ!!
そして数分後ッ!
彼らは、劇場の待合室へとやってきたッ! そこは、数十人は余裕で入れるほどの広さを誇る部屋で、既に何組か先客がいるッ!
どよどよ……ッッッ!!!
ワタルとボケルが入室した瞬間、待合室内がどよめき立ったッ! しかしそれも当然であるッッ!!
圧倒的筋肉コンビッ!
圧倒的存在感ッッ!!
圧倒的威圧感ッッッ!!!
彼らの筋肉は、見る者すべてにプライスレスで驚きを提供していたッ!
と、その時ッ!
「武ッッッ!!!??? お、お前たちはッッッ!!!」
ワタルは、待合室で見知った2人を発見ッ!
「あっ、お前は!」
「……ん? おお、ワタルじゃないか!」
彼らは、ジョニーとブレイドッッ!!
皆様ご存知、元黒バラ盗賊団の2人であるッ!
「なんや? 知り合いか?」
ボケルは胸筋をぴくぴくと動かしながら尋ねたッ!
「そうだッ! こいつらとは腐れ縁でなッ!」
ワタルも胸筋をぴくぴくと動かしながら答えるッ! 二人は胸筋でモールス信号でも発信しているのだろうかッ!
「しかしまあ驚いたぞ。ワタルも漫才に興味があったとはな」
ブレイドが呆気にとられたような表情で言ったッ!
「いや、まあ話の流れでなッ! ところで、マリーはどうしたッ?」
マリーとは、黒バラ盗賊団の紅一点である女性のことだッ! いつもブレイドたちと一緒なのだが、今日は姿が見えないッ!
「ああ、あいつなら真面目に働いてるぜ! 俺とジョニーは働きたくないから、こうやって漫才で一発当てようと目論んでいるんだ!」
「そうだそうだ!」
そう言って胸を張るブレイドとジョニーッ! ただのクズであるッ!
「フンッ! まあ動機が何であれ、お互い頑張ろうッ!」
「ああ、そうだな!」
そしてワタルとブレイドは、ガシリと固い握手を交わしたッ! ちなみにこの瞬間、500kgを誇るワタルの握力によってブレイドの手はボッキボキに骨折してしまったのだが、それは本編とは関係のない話なので割愛させていただくッッ!!
1時間後ッ! 会場であるスカイ王国漫才ホールは満員御礼ッ! 1000人もの客が、S-1を観戦するためにホールに駆けつけていたッ!
そして劇場のステージに、一人の初老の男性が現れるッ!
黒いスーツに身を包み、髪をきっちりと七三に分けた身綺麗な男性だッ!
「レディースアンドジェントルメーン! 皆さんようこそ、スカイ王国最強漫才王者決定戦へ! 私は今大会の司会・進行を務めます、ジョセフ横澤というものです! どうぞよろしく!」
彼が右手に持ったマイクで爽やかに言うと、会場が一斉に沸いたッ!
「「「イエーーーーイ!!」」」
「「「ワーワーーー!!」」」
「「「パチパチパチパチーーー!!!」」」
会場のボルテージは最高潮の絶好調!!! 拍手喝さいの雨あられ!!!!!
「それでは、今大会について説明を行いましょう! この決定戦は、総勢20組の漫才コンビがネタを披露しあい、一番面白いコンビを決めるというもの! まずは予選を行い、そこで勝ち上がった5組が決勝に進むことができます! そしてもう一度ネタをやってもらって、優勝コンビを決定させるのです!」
ちなみに、どのコンビが面白かったかを決めるのは予選・決勝ともに会場に集まった観客である!!
「それでは説明はこれぐらいにして、早速予選を開始していきましょう! ご紹介いたします! 記念すべき1組目は、ワタルさんとボケルさんによる筋肉マシマシの熱血武闘派漫才コンビ! その名も“プロテインズ”です!」
「「「イエーーーーイ!!」」」
「「「ワーワーーー!!」」」
「「「パチパチパチパチーーー!!!」」」
万雷の拍手に迎えられながら舞台裏から躍り出るワタルとボケルッッ!!
こうして、“プロテインズ”による武闘派漫才が幕を開けたッ!
次回「爆誕!熱血武闘派漫才ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]正しい筋肉の鍛え方……異世界転生




