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第55話 「やけくそ!ワタル、料理に毒を投入ッ!」

 前回までのあらすじ! ポイズン食堂の店主が、まさかのぎっくり腰になってしまった! これを見過ごせなかったワタルは、その日一日、店主の代わりに食堂を営業することを決意! 困惑するリベリオンを無理やり誘い込み、早速クッキングを開始した! 果たして彼らとポイズン食堂の運命や如何に!











 というわけで厨房にやってきたワタルとリベリオンッ!


「おい見ろリベリオンッ! ここにノートがあるぞッ!これで“ヌードリャレ・リブル・モテューテュ~シェフの気まぐれパーツを添えて~”がつくれるッッ!!」]


「骨はどうするんだ」


「心配するなッ! 冷蔵庫におっちゃんのスペアの骨があったぞッ!」


「なんであるんだ」


 するとその瞬間、カウンター席に座っていた客が口を開いたッ!


「すいませーん、“ヌードリャレ・リブル・モテューテュ~シェフの気まぐれパーツを添えて~”を一つお願いしまーす」


「はい喜んでーッッッ!!!」


 威勢よく返事をしながら、ノートをパラリと開くワタルッ!


「……読めないッッッ!!!」


 そうッ! ワタルはいまだにこの世界の文字が読めないッ!


「よし、それでは代わりに私が音読してやる」


「頼んだッ!」


「じゃあまずは……お湯を沸かすところからだ!」


「わかったッ!」


 そして彼は巨大な鍋をコンロにセットッ! 中に水を投入ッ! 普通に火をつけて加熱開始ッ!


「その間に私は野菜を切ろう!」


 彼女はそう言うと、包丁を手にとりジャガイモ・ニンジン・玉ねぎを乱切りにするッ!


 それが終わったら、良い感じに沸騰してきた熱湯に野菜を投入したッ!


「よし、次は味付けだ」


「何を入れるんだッ??」


「まずは塩、大さじ1」


「応ッ!」


 そしてワタルは、鍋に塩を加えるッ!


「次は胡椒、大さじ2」


「応ッッ!!」


 そしてワタルは、鍋に胡椒を加えるッッ!!


「次はトリカブト、丸々一つ」


「応ッッッ!!!」


 そしてワタルは、鍋にトリカブトを時速300キロで投げ入れるッッッ!!!


「……おいちょっと待て!」


 リベリオンは声を荒げた!!


「どうしたリベリオンッ! 流石に時速300キロはまずかったかッッ!?」


「いやそれ以前の問題だ! なんでトリカブトがレシピに書いてあるんだ!?」


「……アッッッ!!!!! 言われてみれば確かにッッッッッ!!!!!」


 ワタル、絶叫ッ! そして困惑ッッ!!


 言うまでもなく、トリカブトとは強い毒性を持つ植物のことであるッ!


「……いやでもこのノートには、確かに“トリカブトを入れる”と書いてあるぞ!」


「そうなのかッッ!?」


 慌ててノートを確認するワタル!! まあ読めないので、この動作に大した意味などないのだがッ!!!


「武ッ? 待てよ、ということは……俺はいつも、この食堂で毒を食わされていたのかッッ!?」


 今明かされる衝撃の真実ッッッ!!!


「いや、それに関してはもう店の名前で分かれよ」


 リベリオンの冷静なツッコミッ! 一理あるッ!


 するとその時、彼女はあることに気が付いたッ!


「……ん? おい、ノートの端に何か注釈が書いてあるぞ!」


「なんて書いてあるんだッッ!?」


「“ウィンド大陸原産のトリカブトは、ちゃんと加熱すれば毒が消える”……だそうだ! つまり、このままじっくりことこと煮込めば、トリカブトの毒はなくなるというわけだな!」


「そういうことだなッ!」


 ワタルはホッと胸をなでおろしたッ!


「よし、ではこのまま数分待ってみるか」


「応ッ!」











 そして5分後ッ!


「……おいワタル、味見してみろ」


 リベリオンは唐突に言ったッ! 場合によっては殺害予告と捉えられてもおかしくはないッ!


「よしわかったッ!」


 言うが早いか、鍋の中身をスプーンですくって口に運ぶワタルッ!


「どうだワタル、生きてるか?」


 果たしてワタルの命運はッッ!?































「うんッ! このヌードリャレ凄くおいしオロロロロロロロロロロロロロロロッッッッッ!!!!!!!!!!」


 なんという事だ!


 ワタルが突然白い泡を吹いて倒れてしまったではないかッ!


「くそ、加熱が足りなかったか」


「ああ、どうやらそのようだなッ!」


 ワタルは超速消化術(※第6話参照)を使って超速復活したッ!


「任せろッ! 俺の“熱血バイブレーション”で熱を加えてやるッ!」


 ワタルはそう叫ぶと、両手を超高速で振動させながら、鍋の側面に触れるッ! 皆さまご存知、“熱血バイブレーション”だッ!(※第7話参照)


「うおおぉぉッッッ!!!」


 速いッ! 音速(はや)いッッ!! 光速(はや)いッッッ!!!


 彼の両手の振動を鍋に伝えることによって、中身を摩擦熱で一気に温めるッッッ!!!


「よし、これでもういいはずだッ!」


 そしてワタルは、大皿に鍋の中身を移したッ!


 そこには、マグマのように煮立った紫色のスープがッ! これはどこからどう見ても、立派なヌードリャレであるッッ!!


「あとはこれで、フィニッシュだッッッ!!!」


 最後のシメは、もちろんスケルトン店主のスペアの骨ッ! ワタルは冷蔵庫から取り出したこの骨を、ヌードリャレの中に入れたッ!


 ちなみにこの骨の部位はあばらッ! 英語で言うと“リブ”ッ!


 つまり――これがほんとの、“スペアリブ”ッッッッッ!!!!!











 なんちゃってッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!











「よし、出来たッ!」


 ワタルは達成感に満ちた顔で叫びながら、カウンター席の客に差し出したッ!


 そしてそれを食す客ッ! 果たしてそのお味はッッ!?


「……うん、美味しい!」


 笑顔で言う客ッ! それを聞いたワタル、渾身のガッツポーズッッ!!


「やったぜリベリオンッ! この調子で作り続けるぞッ!」


「ああ、そうだな!」


 その瞬間、今度はテーブル席の団体客が声を上げたッ!


「すいませーん、“ヌードリャレ・リブル・モテューテュ~シェフの気まぐれパーツを添えて~”を5人分くださーい」


「かしこまりましたぁッッッッッ!!!!!」


 威勢よく返事をしたワタルは、厨房の棚から一番大きな寸胴鍋を取り出すッ!


「おいおい、そんな大きいものをどうする気だ? ま、まさか……」


「そのまさかだッ! 5人前、一気に作ってやるぜッ!」


 彼はそう言うと、先程の5倍の量のヌードリャレを作り始めたッ! 鍋に大量の水を入れ、大量の野菜を入れ、大量のトリカブトを入れるッ!


 その後加熱ッ!


「うおおぉぉッッッ!!! 気合いだああぁぁぁッッッ!!!」


 ワタルは叫び、熱血バイブレーションを開始ッ! そして具材が入れられた寸胴鍋の側面に触れたッ!


 圧倒的スピードッ! 圧倒的摩擦熱ッ! しかし鍋の中には先程の5倍の量の具材が入っているので、中々沸騰しないッッ!!


「お、おい、大丈夫なのか……?」


 心配になったリベリオンが声をかけるッ!


「平気だッ! これぐらいなんてことねぇッ!」


 白目をむきながら答えるワタルッ! 恐らく平気ではないッッ!!


 おぞましい速度で振動する彼の両手は、もはや“あまりにも早すぎて逆にゆっくりに見える”というレベルにまで到達していたッ!


 しかしその時、事件が起こるッッッ!!!


 次回、「鍋が爆発!ワタル、逃げるッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]世界の毒一覧……異世界転生出版

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