第5話 「ワタルvs四天王の二人目!起死回生のラップバトルッ!」
前回までのあらすじ!四天王の一人目であるリベリオンを倒した!そしたら四天王の二人目のハーピィーという妖精が現れた!ワタルとハーピィーの熱い戦いが今、幕を開けるッッッ!!!
「クソッッッ!!!いくら妖精とは言え、女の子には攻撃できないッッッ!!!」
この物語の主人公である伊藤ワタルは、熱血硬派な日本男児であるッ!故に、女性に手は出せないッ!
「待ってください、ワタルさん!そもそも妖精に物理攻撃は効きません!」
「何だと!?」
衝撃の真実ッ!妖精には物理攻撃は効かないッ!
「ど、どうすればいいんだッッ!!」
「そらそら、こっちから行くよー!!」
するとハーピィーが、魔法を使って火の玉を飛ばしてきた!
「フンッッッッッ!!!!!」
ワタルが飛んできた火の玉を素手で打ち返すッッッ!!!どうしてそんなことが出来るんだッッッ!!!
「凄いわワタルさん!」
すかさずアリアがワタルを褒めた!
「へえ、やるじゃない……でも、どうやらあなたは物理攻撃しか出来ないようね?」
ハーピィーの指摘ッ!図星であるッ!
「クゥ……アリア!そう言えば君は以前俺の傷を魔法で治してくれたよな!?魔法で攻撃は出来ないのか!?」
「すみません!私は簡単な回復魔法しか出来ないんです!」
なんという事だ!八方塞がりではないか!このままでは、ワタルはこのハーピィーに倒されてしまうッ!
「ちょっと待ってくださいワタルさん!妖精には素敵な歌を聴かせれば倒せると以前聞いた事があります!」
「なにぃ!?それは一体どういう事だッッッ!!!」
ここでハーピィーが口をはさんだッッ!!
「私達妖精は、歌で感動したら死んでしまうのよ!」
「そうだったのかッッ!!」
なぜ自分から弱点を晒すのかッ!
「アリア!君は、歌は歌えるか!?」
「すみません!音痴なんです!ワタルさんは?」
「普通の歌はまったく歌えない!俺はラップしか出来ないぞッッッ!!!」
“ラップ”という聞き慣れない言葉にアリアは首を傾げた!!!
「“ラップ”とはなんですか?」
「なに!?この世界にはラップと言うものがないのか!なら、試してみる価値はあるな!!!!!」
「そうですね!では、私がマイクを準備します!」
そう言うとアリアは魔法を使って、地面からマイクを創造り出したッ!ワタルはその魔法のマイクを受け取るッッ!!
「行くぞハーピィーッ!俺の歌を聴けェェェ!!!」
「フン!ラップだかなんだか知らないけど、やれるもんならやってみな!」
そしてワタルは深く息を吸い込み、ラップを歌い始めたッ!
さあッ!読者の皆様も一緒に歌おうッッッッッ!!!!!
「YO!YO!俺様は伊藤ワタルッッッ!!!
トラック受け止め異世界渡るッッッ!!!
犬も歩けばスティック当たるッッッ!!!
俺を中心に世界が回るッッッ!!!
熱血硬派なイケメン系ッッッ!!!
強敵相手も勝つ前提ッッッ!!!
ハードな展開マジ勘弁ッッッ!!!
エンジン全開でも安全ッッッ!!!
Yeah!!!」
ワタル、鬼の形相で熱唱ッッッ!!!ハーピィー、悶絶ッッッ!!!
「な、なんだこの歌は!!よく分からんが聞いていると胸がむずむずして恥ずかしくなってくるぞ!!」
ここがチャンスと言わんばかりに、ワタルのラップテクニックが加速するッ!
「HEY!HEY!カモン!
異世界ロードを爆走中ッッッッッ!!!!!
女の子皆俺様に夢中ッッッッッ!!!!!
好きな食べ物は栗饅頭ッッッッッ!!!!!
ネタが見つからず五里霧中ッッッッッ!!!!!
とりあえず言うぜアイウォンチューッッッッッ!!!!!
でもお前はもうアウトオブ眼中ッッッッッ!!!!!
Yeah!!!!!」
ワタル、仁王の形相で絶唱ッッッッッ!!!!!
「ウグァァァ!!!体が消えていくーーー!!!」
彼の激熱バイブスなラップに感動したハーピィーが消滅していくッ!
「凄いわワタルさん!ラップの意味は全然分からなかったけど!」
アリアも思わずワタルを褒めたッ!
さて、ここで熱血ではない読者の皆様に解説しよう!今の技はれっきとした武術の一種で、熱血硬派ラップ拳というものである!!!
(※熱血硬派ラップ拳……2000年の初頭にカリスマラッパーとして有名なDJヒートが編み出した、音楽の力を利用した武術。熱い思いをラップに込めて歌うことで相手を感動させ、戦意を喪失させることが出来る。彼はこの技を考案したことが評価され、ノーベル平和賞を受賞した)
そんなわけでワタル、四天王の二人目も見事突破ッ!
「ぐずぐずしている暇はないッ!行くぞアリアッ!」
「はいッ!」
ワタルとアリアは今日も異世界ロードを爆走中ッッッッッ!!!!!
そして道を進むこと数時間後!!二人は森林地帯を抜けて、荒野に出た!!遠くにはまがまがしい魔王の城が見えるッ!
すると突然、アリアが突然声をあげたッ!
「見てくださいワタルさん!前方にレストランがありますよ!」
「アッ!!!!!!!!!!本当だッ!!!!!!!!!!」
アリアが言う通り、そこには大きなレストランがあった!情緒あふれる木造建築の、シャレオツな雰囲気のレストランだッッ!!
「ずっと歩いていたので疲れました。少しあそこで休んでいきませんか?」
「そうだな!!!」
そう言えばワタルは、異世界に転生してからまだ何も口に入れていなかったッ!
「アッ!!!!!!!!!!でもお金持ってないッ!!!!!!!!!!」
そう!ワタルは現在無一文!!そもそもこの世界で日本の通貨は通用しないッ!
「大丈夫ですよ、今回は私のおごりです。ここまで一緒に戦ってくれたお礼です!」
「ありがとうッ!」
ワタル、感謝ッ!圧倒的感謝ッッ!!
その感謝の気持ちを伝えるためにコサックダンスを踊りながら学ランを脱いで頭の上で振り回すワタルッ!
アリア、無情にもこれをスルー!!!!!
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………よし!では早速お店に入ろう!」
「はい、そうですね!」
かくしてワタルとアリアの二人は、そのレストランに足を踏み入れた!
しかしこの時の二人は知る由もなかった!!
まさか、このレストランにあんな恐ろしい罠が仕掛けられていたとはッ!
次回「衝撃の罠!実はレストランの店主は四天王の三人目だったッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]熱血硬派ラップ拳の歌い方~音痴な君でも簡単激アゲバイブス~……異世界転生出版
[2]ノーベル平和賞受賞者一覧……異世界転生出版