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第48話 「神業!ワタルvsクラックッ!」

 前回までのあらすじ! ジンの強力な電気魔法に苦戦するワタルであったが、その中で画期的な作戦を思いつく! それは、“アリアの魔法で出した光をガーランドの頭部に当てることで、強烈なフラッシュを発生させる”というものであった! そして見事にその作戦は成功! ジンは一時的に失明状態に! この隙を逃さず、ワタルはとどめの一撃を繰り出した!











「行けッッッ!!!炎よッッッ!!!」


 ワタルの力で生み出された火の玉が、まるで意思を持っているかのようにジン目がけて飛んでいくッ!


「な、なんだ!? ちくしょう!!」


 前が見えないジンは、破れかぶれで電気のバリアーを発生させたッ!


 だが、それは完全に無意味な行動であるッ! 言うまでもなく、火の玉は電気のバリアーでは防げないッッッ!!!


 そして凄まじい速度で直進する炎の塊が、ジンに激突ッッッ!!!


「ぐわーーー!!!」


 丸焦げになりながら吹き飛ばされるジンッ! こうして、あえなく彼の敗北が決定したッ!


「よしッ! まずは一人、捕まえたぜッ!」


 ワタルはガッツポーズをしながらそう言ったッ!


 さて、ここで読者の皆様に解説しようッ! 今ワタルが出した火の玉の正体は、江戸時代に編み出された特殊な空手技の一種、“鬼火”に他ならないッ!


(※鬼火……地面に熱血エネルギーを放出し、その摩擦熱によって火の玉を生み出す空手技。熟練した達人であれば、その火の玉を自由自在にコントロールすることが出来る。その様はまさしく怪奇現象であり、昔はこれを幽霊の仕業だと信じる者も多かった。怪談話でよく"鬼火"が登場するのは、この勘違いが原因だという説が濃厚である)


 ちなみにワタルの火の玉の勢いが強すぎたせいで、先程まで緑豊かだったはずの草原が一面焼け野原と化してしまっているッ! が、それは些細な問題だッ!


「やったなワタル!」


「ああ! 協力してくれてありがとうな、ガーランドッ!」


 そう言ってガシリと握手をしあうワタルとガーランドッ! やはり、漢同士の友情と言うものはどんなダイアモンドよりも美しいッッッ!!!











 翌日ッ!


 残り2人の脱獄囚を捜索するワタルとアリアは、スラム街へと来ていたッ!


「どうですワタルさん! 脱獄囚ってスラム街に逃げがちなイメージありませんか!?」


「………………………………あるッ!」


 ワタルは仁王の形相で頷いたッ!


 そういうわけで、スラム街で脱獄囚を探すことにしたワタルとアリアッ! 安直であるッ!


 すると数分後、早速アリアが不審な人物を発見したッ!


「あっ、見てくださいよワタルさん! あの屋根の上!」


「武ッッ!?!?」


 アリアがそう言って指を指した場所は、家屋の屋根の上であった! なんと驚くべきことに、そこで一人の男性が瞑想をしているのだ!


 じっと目を閉じ、肩まで無造作に伸ばした髪を風になびかせるその姿は、実際怪しい!!!


「あんな場所で瞑想をしているなんて……どうせ脱獄囚に決まってますよ! ワタルさんもそう思いますよね!?」


「………………………………思うッ!」


 ワタルは閻魔の形相で頷いたッ!


「それじゃあ行きましょう!」


「いや、待てッ!」


 走りだそうとするアリアを、ワタルが止めるッ!


「見ろッ! 奴はもう、こちらに気付いているッ!」


「え!?」


 すると屋根の上の人物は、目を閉じたままゆっくりと立ち上がったッ! ワタルの言う通り、彼は既にワタルたちのことを察知しているッ!


「目を閉じた状態だというのにこちらに気付くということは……間違いない、奴はクラックだッ!」


 その瞬間ッ!


 屋根の上の男がバッと跳び上がったッ! そしてくるくると前宙を繰り返しながら、ワタルたちの前方にスタリと着地ッ! その軽やかな身のこなしは、まるでニンジャッッッ!!! 芸術点は文句なしの100点満点ッッッッッ!!!!!


「お前たち……なぜ私の名前を知っている……?」


 目の前の男――クラックは、ゆっくりと口を開いてそう問いかけたッ!


 それに対してワタルはッ! 胸を張り、腕を組みながらはっきりと答えるッッ!!


「俺の名前は伊藤ワタルッ! お前を牢獄に連れ戻しに来たッ!」


 その言葉を聞いたクラックが、ニヤリと笑った!!


「なるほど……だから私の名前を知っていたか……では、私の“能力”も……知っているということかな?」


「無論だッ!」


 ワタルはそう答えると同時に、勢いよく地面を蹴ったッ! そして猛スピードでクラックとの距離を詰めていくッ!


「ぬおぉぉぉッッッ!!!」


 その勢いを保ったままパンチを繰り出すワタルッ! しかしクラックは、顔色一つ変えることなくその拳を避けたッ!


「流石だ……盲目でありながら俺の拳をよけるとはなッ!」


「フッ……」


 ワタルはそのまま2発、3発と正拳突きを放つが、クラックは鮮やかにそれらの攻撃をかわすッッッ!!!


「お前の言う通り、私は生まれつき目が見えない……だが、“見る”方法は、決して一つではない……」


 後ろにジャンプしてワタルとの距離を離したクラックは、そのまま話を続けたッ!


「風を切る音、壁を反射する音波、肌に伝わる殺気……そういった“視覚に頼らない情報”を駆使すれば、目を使わずとも闘うことは容易だ……」


「なるほど、な……ッ! だが、それならばこちらにも考えがあるッ! アリアッ!」


「はい!」


 彼の合図を聞いたアリアは、どこからともなく黒いバッグを取り出したッ! 大人が余裕で一人は入れそうな大きさであるッ!


「……? それはなんだ?」


 バッグの音に反応を示したクラックが尋ねたッ!


「フフフ……俺が昨晩寝ずに考えた、お前の対策さッ!」


 そう! ワタルは、昨日何の策も考えずにジンと戦ったことを、反省していたのだッ! そのため今回の戦闘では、目が見えないクラックに対する作戦を、あらかじめ考えてきているッ!


「よいしょ……よいしょ……」


 するとアリアは黒いバッグのチャックを開け、中から何やら金属製のパーツを取り出したッ!


 ま、間違いないッ!


 あれはッッ!!











 ――“ドラムセット”であるッッッ!!!











 そして彼女は、慣れた手つきでドラムセットを組み立て始めたッ!


「……」


「……」


「……」


 カチャカチャ……カチャカチャ……






 一同、沈黙ッ! 昼下がりのスラム街に、ドラムセットを組み立てる音がむなしく響き渡るッ!


「……え、ドラムセットが組み終わるまで待った方が良いのか?」


 しびれを切らしたクラックが口を開くッ!


「あ、はい。もうちょっとでセッティング終わるので、待っていてください」


「そ、そうか……」


 果たしてワタルは、このドラムセットでどのようにしてクラックを倒すつもりなのだろうかッッッ!!!???


 次回、「爆音演奏!アリア、再びドラムを叩くッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]近代特殊空手入門~鬼火編~……異世界転生出版

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