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第45話 「脱獄!ワタルvs3人の死刑囚ッ!」

 それは、ある晴れた昼間のことであったッ!


 ワタルとアリアはまたしても国王に呼ばれたので、王宮へと来ていたッ!


 豪華な装飾の施された長い廊下を、近衛兵に案内されながらひたすら歩き続ける2人ッッ!!


 そして数分後、いつもの謁見室に到着ッ!


 巨大な扉を開けてワタルたちが中に入ると、そこでは既に国王が椅子に座って待っていたッ!


「うむ、来たか……」


 もっさりと生やしたあごひげを撫でながら、国王が言うッ!


「こんにちはッ! 今日は一体どのようなご用件でしょうかッ!」


 仁王の形相で尋ねるワタルッ! すると国王は、深刻な表情で口を開いたッ!


「うむ。今回もまた、君にとある事件の解決を頼みたいのだ……」


 彼はその鋭い目をギラリと光らせながら、話を続けるッッ!!


「まだ世間には公表していないが、実は昨晩、王宮の地下牢獄で囚人たちによる暴動が起こった」


「な、なんですとッッ!?」


 ワタルとアリアは驚愕に身を震わせたッ!


「暴動自体はすぐに収まったが……大変なことに、その混乱の最中に凶悪な死刑囚たちが3人、脱獄してしまったのだ……」


「ッッッ!!!」


「そこで、ワタル君。君には、速やかにこの脱獄囚たちを捕えてもらいたい。場合によっては、生死も問わん。どのみち、死刑囚だからな」


 地下牢から脱獄した極悪非道な死刑囚たちとの戦いッ! 今までになく危険な任務ッ! しかし漢であるワタルに、“拒否”などという府抜けた選択肢はない!!!


「分かりましたッ! では、その3人の死刑囚たちの情報を教えてくださいッ!」


「よかろう」


 国王は頷くと、彼らについての情報を静かに語り始めた……ッッッ!!!











 一方その頃ッ!


 スカイ王国郊外の、とある草原にて!


 黄色いロングコートを身にまとった優しげな顔の青年が、地面に腰を下ろしてくつろいでいたッ!


「久しぶりの外だな……うん、すごくいい」


 彼は晴れ渡る青空を仰ぎながら呟くッ!


 と、そのときッ!


「……ん?」


 数メートル先から、一匹の野良犬が彼の方へと歩み寄ってきたッ!


「おお、可愛いわんちゃんだ。さあ、こっちへおいで」


 青年はにっこりと微笑みながら手招きをするッ!


 すると犬は尻尾を振り、青年の元まで駆け寄ってきたッ!


「君……飼い主はいないのかい? じゃあ、僕と一緒だね」


 青年はそう言いながら、犬の頭に手を伸ばすッ!


「……腹が減ってるのかい? そうだね、なら何か食べ物を買ってきてあげようか?」


 そして彼が犬の頭に触れ、優しく一撫でした瞬間ッッッ!!!






 ……パチパチッ!






「――あ……」


 静電気が発生したような音が鳴ったかと思うと、犬は気を失い、その場に倒れてしまった!!


「あー……またやっちゃったか……久々の外だから、力が上手く制御できてないな……」


 青年が悲しそうな顔で言うッ!


 彼の名はジンッ! その優し気な顔立ちとは裏腹に、これまで数々の殺人を起こしてきた凶悪な犯罪者であるッッッ!!!











 同時刻、スカイ王国のスラム街にて!


 一人の男が、家屋の屋根の上に座り、瞑想をしていたッ!!


「……」


 目を閉じ、胡坐をかいたまま微動だにしないその様は、まさに石像であるッッ!!


 肩まで無造作に伸ばした黒髪が、風に吹かれてなびいていたッッッ!!!


「……騒がしいな……」


 彼は瞑想しつつポツリとそう呟く! しかし奇妙なことに、そこは周りに人などいない、とても静かな空間であった!!


「……3m……2m……1m……」


 穏やかな声で“何か”との距離を測る男性!!


 そしてッ!


「……!」


 突然彼は右手を振り上げ、宙を飛んでいたその“何か”を掴んだ!


「……お前か……この“喧騒”の正体は……」


 目を閉じたままそう言う男の手の中にあったのは、息絶えたコバエの死骸であったッ!


 彼の名はクラックッ! 盲目にも関わらず、ありとあらゆる武術を駆使して各地の武闘家たちを血祭りにあげてきた、凶悪な犯罪者であるッッッ!!!











 同時刻、スカイ王国繁華街のとある路地裏にて!


 3人のチンピラが、ゲラゲラと笑いながらくだらない話を繰り広げていたッ!


「――そんで、俺が一発そいつの腹を殴ってやったの。そしたらそいつ、血相変えてギャーギャー泣き出しやがった!」


「おいおい、それはウケるな!」


「んで、あとは上段回し蹴りを顔にぶち込んでおしまいってわけ! そいつはすぐに気絶して、地面に倒れちまった!」


「すげえな、じゃあお前の連勝記録はこれで29勝目か!」


「そう! あと一人ぶちのめせば30連勝! 俺がスカイ王国で一番喧嘩が強い男になれるってこと! ぶっちゃけ余裕だろ、こんなもん!」


 彼らが楽しそうに話していた、その時ッッッッッ!!!!!


「俺も……混ぜてくれよ……」


「「「!!」」」


 なんとッッッッッ!!!!!


 音もなく、気配もなくッ! チンピラたちのすぐそばに、一人の男性が立っていたッ!


 筋骨隆々の肢体に、鋭い眼光ッ! 逆立った黒髪に、尖った爪ッ!


 さらに驚くべきことに、彼の身長はなんと2.1mッ! 圧倒的巨体ッッ!!


「お、お前……いつからそこに……」


 チンピラの一人が、おどおどしながら尋ねるッ!


「いつからって……最初から……かな……」


 突如現れた男は、あくまでも穏やかかつ冷静に返答するッ!


「なんだったら……お前の連勝記録……俺が止めてもいいけど……」


 彼がチンピラをギロリと睨み付けながら言うと、相手は怒りに身を震わせながら前に出てきた!!


「へっ、おもしれぇ! 体がでかいからって、調子に乗ってんじゃねぇぞ! てめえなんざ、俺が本気になれば一瞬で――」


 相手が言葉を言い終える前に、男性は恐るべきスピードでパンチを繰り出すッ!


「――がはっ!」


 彼のその拳は、チンピラの腹にクリーンヒットッッ!! あまりの衝撃に、チンピラは息をすることができなくなったッッッ!!!


「最初は腹に一発……そんで次は……なんだっけ……ああ、そうそう……」


 そう言うと彼は巨体を器用に動かし、その場でクルリと一回転ッ!


 その勢いを利用して、悶えるチンピラの顔面目がけて蹴りを放ったッッッ!!!






 パァァァンッ!!!






「~~~っ!!!」


 その衝撃音は、もはやただの“蹴り”の音ではなくッッ!!


 形容するならば、爆竹を数十個まとめて爆発させたときのような破裂音ッッッ!!!


 そうッ! 彼は蹴りの衝撃で、“爆発”を起こしたのであるッッ!!


「――あ、が……!」


 衝撃によって前歯を全て折ったチンピラは、気を失いつつその場にドサリと倒れた!!!!!


「……上段回し蹴りでとどめ……ってね……」


 にやりと微笑む男! その一部始終を目の当たりにし、恐怖で言葉を失う残り二人のチンピラたちッッ!!


「……それで……お前たちは……どうする?」


 男はそう言うと、ゆっくりとチンピラたちに歩み寄る!


「! い、いや、俺達は、闘う気なんて全然!」


「す、すいませんでした! 見逃してください! お願いします!」


 涙に目をにじませながら懇願するチンピラたちッ!


 しかし、数秒後ッッ!!






 パァンッッ!! パァンッッッ!!!






 小気味の良い破裂音が路地裏に響いたかと思うと、チンピラたちは無残な姿で地面に倒れてしまったッッ!!


「……これで……3連勝……フフ……」


 男は気味の悪い笑みを浮かべたまま、そう呟くのであった……ッッッ!!!


 次回、「雷鳴!ワタルvsジンッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]凶悪犯にありがちな特徴一覧……異世界転生出版

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