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第44話 「絶叫!ワタル渾身の除霊パンチッ!」

 前回までのあらすじ! 暇を持て余したワタルとアリアは、スカイ王国郊外に位置する“呪われた洋館”へと肝試しに向かった! しかしその肝試しの最中、彼らは謎の力によって書斎に閉じ込められてしまう! さらに驚くべきことに、アリアの後ろに男性の幽霊が出現してしまったではないか! どうなるワタルたち!



「あれッッッ??? アリア、お前の後ろにいるの誰ッッッッ!?!?」


「はあ!?!?!?」


 ワタルに言われて、アリアが後ろを振り向くッ!


 するとそこには、青白い顔色をした半透明の男性が立っていたッッッ!!!


「んぎょえ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 アリアの悲鳴が呪われた洋館に響き渡るッッ!!!


「助けてください! お金ならいくらでもあげますから! 助けてください!」


 涙目になりながら幽霊に懇願を開始するアリアッ!


「よせアリアッ! 幽霊にお金をあげても使い道がないだろうッ!」


 確かにワタルの言う通りであるッ!


 すると突然その幽霊は、口をガバリと開けて声にならない呻きを上げ始めたッ!


「あ……ああ、あ……」


「うぎゃーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!


 キモイーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


 アリア、再び絶叫ッ!


「任せろッ!」


 ワタルはそう言うと腰を低く落とし、戦闘態勢に入ったッ!


「む、無駄ですよワタルさん! 幽霊に物理攻撃が効くはずありません!!」


 そう、一般常識であれば幽霊に物理攻撃など効かないッ!


 しかし、ワタルの辞書に“一般常識”の文字はないッッッ!!!


「喝ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは気合いを入れながら幽霊の胸に正拳突きッ!


 彼の拳が幽霊の体に触れた瞬間、なんとそこから青白い電流がほとばしったッッッ!!!


 そしてッ!


「うごあぁぁぁ……!」


 幽霊、悶絶ッ!


 驚くべきことに、ワタルの熱血の拳が幽霊にダメージを与えたッ!


「ど、どうして!?」


 驚愕を隠し切れないアリアッ!


 ここでもう何が起こっているのか考える気にもならないという読者の皆様のために、解説しようッ!


 今の技はイギリス発祥のエクソシズム拳法、その名も“除霊突き”であるッッ!!


(※除霊突き……1889年、イギリスの武闘派エクソシストであるベン・ミラーが考案した技。極限まで鍛え上げた熱血の拳を幽霊の心臓部に突きたてることで、その霊を天国まで吹き飛ばす。これ以降ベンは数々の対幽霊用武術を考案しており、まとめて“エクソシズム拳法”と呼ばれている)


 そして気が付けば、男性の幽霊は霧となって消滅していったッ!


「今のがたぶん、この屋敷に住んでいた資産家夫婦の夫の方だな……ッ!」


「そうですね……ということは、奥さんの霊もまだいるんでしょうか?」


 アリアが言い終えると同時に、部屋のドアがゆっくりと開いたッ!


 おそらくこの扉は、先ほどの霊が呪いの力で封印していたのであろうッ!


「よしッ! これで出られるなッ!」


「今すぐこの屋敷から脱出しましょう!」


 笑顔で言うアリアに対して、ワタルはぶんぶんと首を横に振るッ!


「いいや、まだだッ!」


 その言葉を聞いて顔をしかめるアリアッ!


「何故ですか!?」


「決まっているだろうッ! 奥さんの方も“除霊”するッ! アリアはここで待っていろッ!」


 言うが早いか、ワタルは書斎を飛び出して奥さんの霊の捜索を開始したッ!


 と、その瞬間ッ!


「武ッッ!?」


 なんと、廊下を爆走するワタルに向かって謎の飛来物体がッ!


 よく見るとそれは、花瓶であったッ!


「な、なにィッ!?」


 驚きながらも素早い身のこなしで花瓶を避けるワタルッ!


 しかし、まだ終わりではないッ!


 屋敷中のありとあらゆる小物が、ワタルに向かって飛来してきているッ!


 キッチンの皿やコップッ! 廊下の壁に飾られた絵画ッ! 地面に無造作に置かれたホウキまでッッッ!!!


 いまやそれらすべてが、ワタルに敵意を向けているのだッッッ!!!


「も、もしやこれは……ポルターガイストかッ!?」


 この時、ワタルは気付いたッ! おそらくこの攻撃は、奥さんの霊が仕向けてきているのだと!!!


「ならばとるべき行動は一つッ! “除霊”だぁッッッ!!!」


 叫びながら爆走を再開したワタルッ!


 当然屋敷中の物体がワタル目がけて飛んできたが、そんなことはお構いなしッ!


 ポルターガイストなど、鍛え上げられた彼の筋肉の前には無力なのだッ!


「フンッッッ!!!」


 時速200キロで飛来してきた茶碗を、爆走しつつ頭突きで粉砕するワタルッ!


「うぉぉぉぉッッッ!!!」


 そして数秒後ッ!


 彼は、屋敷最上階の廊下にポツンとたたずむ女性の幽霊を発見したッ!


 白いドレスに長い黒髪という怪しげな風貌ッ! さらにその顔色は、死人のように青ざめているッ! というかもう死んでいるッ!


「はッ!? お前が奥さんの霊かッ!?」


 急ブレーキをかけつつ問いかけるワタルッ!


「ぁ……ぁぁあ……」


 しかし女性の霊は、ただただ呻き声を上げるのみッ!


「……まさか……何か俺に伝えたいことがあるのかッ???」


「……ぅ、うぅう……!!!」


 すると彼女は、呻きながら唐突に自らの喉を掻きむしり始めたッッッ!!! 怖いッッッ!!!


「な、なんなんだ……」


 これには思わずワタルもドン引きッ!


「あ……あぁ……銀の……心臓……」


 女性の霊が、か細い声でボソボソと呟いているッ!


「えッ?? なにッ???」


 よく聞き取れなかったので聞き返すワタルッ!


「銀の……心臓には……触れる、な――――――――――」





















「もっとはっきりとしゃべりやがれッッッッッ!!!!!」





















 あまりの聞き取りにくい声に、ワタルはキレたッッッッッ!!!!!


 そしてその女性の霊に向かって、時速300キロで“除霊突き”を繰り出すッ!


「うぐあぁぁぁぁ!!!!」


 悶える幽霊ッ!


 ほとばしる青い電流ッ!


 こうして、ワタルは資産家夫婦の奥さんの霊を昇天させることに無事成功ッ!


 気付けば、ポルターガイスト現象もおさまっていたッ!


「よし、これで一件落着だッッッ!!!」


 そんなわけで、ワタルは書斎に待機させていたアリアと合流して、二人仲良く家に帰るのであったッッ!!


 しかし、我々にはまだ気がかりなことがあるッッッ!!!


 あの女性の霊が言っていた“銀の心臓”とは何か、ということだッ!


 果たしてこの謎が、今後解き明かされるときは来るのであろうかッッ!?


 こうご期待ッッッ!!!


 次回、「脱獄!ワタルvs3人の死刑囚ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]エクソシストに憧れる人必見!エクソシズム拳法の極意!……異世界転生出版


[2]ポルターガイスト現象とは……異世界転生出版

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