第42話 「衝撃!用務員のおばちゃんの正体ッ!」
前回までのあらすじ! ついに訪れた“ウィンド大陸最強アイドル決定戦”の開催日! ワタルとブレイドとジョニーの3人は“マジアツ☆レボリューションズ”として参戦! しかし大会の開始直前、差し入れのサンドイッチを食べた他の参加者たちが、一斉に倒れてしまった! この騒動の首謀者だと思われる用務員のおばちゃんに、ワタルが真相を問いただす!
「貴様……ただの用務員のおばちゃんではないなッッッッッ!?!?」
ワタルは仁王の形相で叫んだッッッ!!!
「クックック……その通りさ……私は用務員のおばちゃんなんかじゃないんだよ……」
彼女はそう言って、怪しく口をゆがめながら笑い出したッッッ!!!
「正体をあらわせッッッ!!!」
「フフ、いいだろう!」
すると突然ッッ!!
用務員のおばちゃんの全身が、まばゆい光に包まれ始めたッッッ!!!
「な、なんだ!?」
ブレイドは驚愕しながら顔を覆うッ!
「何を隠そう、私は用務員のおばちゃんではなく……“ピクシー”だ!!!」
光がおさまると、そこにいたのは身長120センチほどの小柄な妖精であったッ! 可愛らしい顔立ちに、背中に生えた大きな半透明の羽根ッ! その姿は、かつてワタルが戦った四天王のひとり、“ハーピィー”と非常に似通っていたッ!
「貴様……魔物だったのか! なぜこんなことを!」
ブレイドが聞くと、ピクシーはニヤリと笑いながら話し始めるッ!
「私は昔から、このスカイ王国から人間たちを追い出し、妖精の国を作るのが夢だった。しかし、そのためには妖精の弱点である“歌を歌える人間”を排除する必要があったのよ!」
そう、ピクシーやハーピィーのような妖精の種族たちは、“歌”に弱いのだッ! 詳しくは第5話を参照してくれッ!
「そこで私が考えたのは、アイドル大会を開くということ! この大会で素敵な歌を歌える人間を1か所に集め、差し入れとして毒を入れたサンドイッチを渡し毒殺! こうすれば、妖精によるスカイ王国乗っ取り計画が現実のものになる!」
「なるほどな……そういうことだったかッ!」
ぶっちゃけよく理解できていないが、とりあえずワタルは納得してみたッ!
「とにかく、そんなことはオイラたちがさせない! 覚悟しろ、ピクシー!」
全身黄色タイツのジョニーが叫んだッ!
「フン、捕まえられるもんなら捕まえてごらんなさい!」
そう言うとピクシーはフワリと宙に浮き、凄まじいスピードで待合室を飛び出していったッ!
「追うぞッッッ!!!」
ワタルたちはピクシーを捕まえるためにすぐさま追跡を開始ッ!
「ピクシーはステージの方に逃げたよ!」
「よしッッッ!!!」
足の速いワタルとジョニーは、競うように走りながらステージへと直行ッ! そのままスポットライトの当たる舞台の上へと躍り出たッ!
「……だ、誰もいない……!」
ジョニーは審査員席を見つめながら呟いたッ! 無論、この大会はピクシーがでっち上げたものなので、審査員や観客は存在しないッ! 会場には、閑散とした空間が広がるのみッッッ!!!
「くそう……今日のために一生懸命ライブの練習をしてきたのに……まさかこんなことになるなんて……!」
全身黄色タイツのジョニーは涙ぐんだ!
「……アッ! おい、あれを見ろッ!」
そう言ってワタルが指をさした先は、観客席のド真ん中ッ!
そこには、足を組んで余裕の笑みを浮かべたピクシーが座っていたッ!
「ちくしょうッ! 余裕ぶりやがってッ!」
すると遅れてブレイドがステージへとやってきたッ!
「マリーはどうしたッ!」
「あいつには、待合室で倒れたやつらの看病を任せた!」
「そうかッ!」
ワタルは安心したッッッ!!!
「ところでワタル……あのピクシー、一体どうやって倒すつもりだ? 妖精に物理攻撃は効かないぞ」
ブレイドが尋ねると、ワタルはニヤリと笑って答えるッ!
「決まっているだろう……“ライブ”をするんだッッッ!!!」
「「!?!?!?」」
ブレイドとジョニーは驚愕したッ!
「おやおや、もしかしてあなた達、私を歌の力で倒そうとしているの? でも無駄よ、いくら妖精が歌の力に弱いとはいえ、たった3人で倒せる程私は弱くない!」
「ふッ、それはどうかなッッ???」
どうやらあのピクシーは、ワタルが一人でハーピィーを倒したということを知らないらしいッ!
やはり、無知は罪であるッ!
「よし、ブレイドッ! ジョニーッ! 用意はいいかッッッ!!!」
ワタルが聞くと、青いコートに身を包んだブレイドと黄色い全身タイツに身を包んだジョニーが同時にうなずいたッ!
「よし、そんじゃあ行くぜッッッ!!!」
そんなわけで、ワタル・ブレイド・ジョニーの3人が手を組んだアイドルグループ、その名も“ゲキアツ☆レボリューションズ”による最初で最後のライブが開始ッ!
ちなみにバックミュージックやバックコーラスとかはないので、ぜーーーーーんぶアカペラであるッッッッッ!!!!!
だが、思いさえあればそれでいいッッッッッ!!!!!
さあッ! 下に歌詞カードを載せるので、読者の皆様も一緒に歌おうッッッッッ!!!!!
「熱血のミラクル☆スター」
作詞:マリー 作曲:マリー
赤く燃える熱血のスター
鼓動DOKI☆DOKIわくわくしちゃう
みんなで築くレインボーロード
さあ目指せレジェンド
(ここで一斉にコール)
おいッ!おいッ!おいッ!おいッ!
あーーーーーよっしゃ行くぞーーーッッッ!!!
ワタルッ!ブレイドッ!ジョニーッ!
我ら揃ってッ!ゲキアツ☆レボリューションズッッッ!!!
(間奏10秒)
(ジョニーパート)
どうも、オイラはジョニーです! このグループでは最年少!
若さ全開! フレッシュ満開! 皆に笑顔を届けたい!
(間奏10秒)
(ブレイドパート)
よろしく俺様はブレイドだぜ チームのクールな最年長!
渋さ全開! ハンサム満開! リーダーとして頑張るぜ!
(間奏10秒)
(ワタルのラップパート)
Yo Yo 俺様は伊藤ワタルッ! トラック受け止め異世界渡るッ!
今日も元気に世界を変えるッ! このグループでは熱血担当ッ!
マジでヤバイかもこのバイブスッ! ガチでアガるかもこのライブッ!
一夜限りだぜこれ全部ッ! 楽しむしかねぇこの成分ッ!
(サビ)
赤く燃える熱血のスター
鼓動DOKI☆DOKIわくわくしちゃう
みんなで築くレインボーロード
さあ目指せレジェンド
これからだぜほら僕ら
筋肉MUKI☆MUKIぴくぴくしちゃう
みんなで築くレインボーブリッジ
さあ目指せ完全制覇
「どうだッッッ!!!」
この日のために用意してきた曲“熱血のミラクル☆スター”を満身創痍で歌い切ったワタルたちッ!!
要所要所で入るダンスのキレも完璧であったッ!
果たして、彼らの運命や如何にッ!
次回、「恐怖!ワタル、肝試しに行くッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]よく分かるアイドルソングの作り方……異世界転生出版
[2]アイドルソングで使われがちな単語全集……異世界転生出版
[3]妖精大百科……異世界転生出版




