第41話 「画策!これが漢の熱血アイドル戦略ッ!」
前回までのあらすじ! スカイ王国で開催される“ウィンド大陸最強アイドル決定戦”に出場するために、ワタルと元黒バラ盗賊団の3人は手を組んだ! 遂に、ワタルのアイドルデビューが決定ッッッ!!! 果たして彼らは、大会で優勝することができるのか!?
そんなわけで、ワタルたちはスラム街の一角に位置する廃倉庫で作戦会議を開始したッ!
「それで、大会で優勝するためにはどうすればいいと思うッ??」
すると真っ先にブレイドが意見を出すッ!
「やはり、“イメージカラー”を作るべきだとおもうぞ!」
「イメージカラー?」
ジョニーは首をかしげたッ!
「色でメンバーの個性を表すんだ。例えば、年長者の俺は落ち着きのあるブルー。年少者のジョニーは元気なイエロー。熱血のワタルは言わずもがなレッド、という感じだ」
「いいなッ! それを採用しようッ!」
「ならそのイメージカラーを使って、全員分の衣装を作っておくわ。裁縫は得意だから任せて。時間は少しかかるけど、大会当日には完成させるから」
マリーは長い黒髪を揺らし、得意げな顔でそう言ったッ!
「じゃあ次に、グループ名だッ! 覚えてもらいやすい、最高のグループ名を決めようッ! ちなみに俺は“マジアツ☆レボリューションズ”って名前がいいと思うッッッ!!!」
「じゃあめんどくさいからそれでいいか」
こうしてグループ名は“マジアツ☆レボリューションズ”に決定ッッッ!!! 圧倒的決定ッッッッッ!!!!!
「……ちなみに、その“ウィンド大陸最強アイドル決定戦”はいつ開催なんだ?」
「3日後だ」
「エッッッッッッッ!!!!!!!」
ブレイドの返答に、ワタル、驚愕ッッッッッ!!!!!
というわけで、急ピッチで準備を進めるワタルたち“マジアツ☆レボリューションズ”ッ!
曲は既にマリーが制作していたが、ワタルはラップしか歌えないので急遽ラップパートを追加ッ!
それに合わせてダンスもしっかりと習得ッ!
ついでにライブ中にいつ乱闘に発展してもいいようにがっつりと筋トレッッッ!!!
こうしてワタルたちは、歌・踊り・殺戮という3つの要素を兼ね備えた最強の戦士、亜威怒流へと着実に進歩していったッッ!!
「ついに……この時がやってきたな……ッッッ!!!」
「ああ……」
「緊張するね……」
いよいよ迎えた大会当日ッ! ワタルとブレイドとジョニーとマリーの4人は、会場へとやってきたッ! ちなみに会場は、スカイ王国で最も大きな音楽アリーナであるッ!
「よし、2人ともッ! 今日のために俺が特性プロテインドリンクを作ってきたぞッ! 飲んでくれッ!」
そう言うワタルの手には、水筒が3本あったッ!
「おおそうか、ありがたくいただくぜ!」
ブレイドとジョニーはワタルから水筒を受け取るッ! そして3人で仲良くプロテインを一気飲みッッッッッ!!!!!
グビグビグビッッッッッ!!!!!
「プハーーーッッッッッ!!!!! 美味いッッッッッ!!!!!」
「おお、なかなかいけるなこれ!」
「そうだね! めちゃくちゃ美味しいよこれ!」
ブレイドたちはプロテインドリンクの味を絶賛ッ!
「そうだろうッ! まあアリアの家のものを適当に拝借してつくったから、何が入っているのかは俺も分かってないけどなッッ!!」
今明かされる衝撃の真実ッッッッッ!!!!!
「マリーもいるかッ? お前の分もちゃんと用意してきてるぞッッ!!」
「今の話聞いて飲みたがるやつなんているわけないでしょ」
マリーは普通にキレたッッ!!
「よし、それじゃあ早速会場に入って、着替えるとするか」
「応ッッッッッ!!!!!」
こうしてワタル一行は、音楽アリーナへと入場するのであったッッッッッ!!!!!
衣装への着替えを済ませ、待合室へと移動したワタルたちッ! そこにはすでに、多くの大会出場者が集っていたッ! 当然ではあるが、参加者は皆美男美女ばかりであるッッ!!
「おお……皆気合が入っているなッ!」
「ああ、だが俺達だって負けてねぇぜ!」
「だなッ!」
現在、ワタルたちはマリーお手製のコスチュームを身にまとっているッ!
ワタルは赤を基調としたジャケットスタイルの衣装で熱血さを演出ッ!
ブレイドは青を基調としたコートスタイルの衣装でクールさを演出ッ!
ジョニーは黄色の全身タイツで活発さを演出ッ!
「………………え、僕だけ衣装おかしくない?」
ジョニーは茫然とした表情で口を開いたッ! 言うまでもなく、彼はこの待合室の中で最も浮いた存在になっているッ!
「いや、似合ってるわよ」
マリーが真顔で返答ッ! ジョニー、不服ッッッッッ!!!!!
「おかしいよねこの衣装。確実にアイドルじゃなくて芸人用だよね」
「知らないのか? ジョニー。最近はアイドルでありながらあえて芸人のようなギャグスタイルを用いることで、親しみやすさを演出するアイドルもいるんだぞ」
ブレイドはドヤ顔で言ったッ!
「いやいやいやいや、だとしたら逆効果でしょ。確実に近付いたら行けない人のスタイルになっちゃってるでしょ」
「文句を言うなジョニーッッッ!!! マリーがせっかく作ってくれたのに、失礼だろッッッ!!!」
「これ絶対に衣装製作の時間が足りなくて僕だけ適当になったやつでしょ」
ジョニーが憤怒の表情で愚痴を言っていると、突然待合室のドアがガチャリと開いたッ! そしてそこから、緑色の作業着を着た用務員のおばちゃんが、大きなダンボール箱を持って入ってきたッ!
「みなさーん、大会の運営から、差し入れが届いていますよー!!」
彼女はそう言うと、ダンボール箱を開けて中からサンドイッチを取り出したッ!
「参加者一人につき一つです! どうぞ食べていってくださーい!」
それを聞いて、待合室の人々は差し入れへと群がっていくッ!
「異世界にもダンボール箱があったとは驚きだ……ッ!」
ワタルは驚愕したッ!
「うーん、差し入れは嬉しいけど、さっきプロテイン飲んだからお腹いっぱいだなー。僕はいいや」
全身黄色タイツのジョニーが言うッ!
「そうだな。ライブパフォーマンスは激しい運動になるから、ここでの食事は控えよう」
こうして、ワタルたち“マジアツ☆レボリューションズ”は差し入れのサンドイッチを食べずにスルーしたッッッ!!!
そして数分後ッ! 大会開始の時刻ッ!
「よし、そろそろだな。この待合室を出て、ステージ裏まで移動するぞ」
「応ッ!」
こうして大会参加者たちが一斉に待合室を出ようとした、その瞬間ッッ!!
バタバタバタッッッ!!!
「――ッッ!!」
ワタル、驚愕ッ! なんと、ワタルたち以外の全ての参加者が、突然意識を失い倒れてしまったのだッッッ!!!
「ど、どういう事だッッ!?」
今この待合室に立っているのは、ワタル、ブレイド、ジョニー、マリー、そしてさっき差し入れのサンドイッチを運んできた用務員のおばちゃんのみッッッ!!!
そうッッッ!!!
もう読者の皆様もお気付きだろうッッッッッ!!!!!
“サンドイッチを食べた”人全員が、意識を失ってしまったのだッッッッッ!!!!!
「そ、そうか……ッ!」
ワタルがハッとした顔で呟くッ!
「どうしたの? ワタル!」
マリーは焦りをあらわにしながら尋ねたッ!
「お、俺達は……はめられたんだ……ッ!」
「どういうこと!?」
全身黄色タイツのジョニーが会話に入ってくるッ!
するとッッッ!!!
「クックック……」
「ッッ!?」
部屋の隅にいた用務員のおばちゃんが、怪しく口をゆがめながら笑い出したッッッ!!!
「ずいぶんと察しが良いね……そうだよ……あんたたちは、罠にはまったのさ……!!」
「貴様……ただの用務員のおばちゃんではないなッッッッッ!?!?」
ワタルは仁王の形相で叫んだッッッ!!!
次回、「衝撃!用務員のおばちゃんの正体ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]ダンボール箱の発明の歴史……異世界転生出版




