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第39話 「ワタル渾身の必殺技!爆熱猛怒ッ!」

 前回までのあらすじ! ついに始まったワタルとドラゴンの一騎打ち! 砂漠の真ん中で互角の戦いを見せる両雄であったが、ドラゴンが必殺技“ファイヤー・ブレス”を繰り出したことで状況は一変! 結果、ワタルはその炎に飲み込まれてしまった! さらばワタル! 君の熱き戦いは忘れない!











『クックック……楽しい一時であったぞ……』


 炎のブレスを吐き終えたドラゴンは、激しい砂埃に包まれながらほくそ笑んだッ!


 時刻は午後3時ッ! 灼熱の太陽が、砂漠をジリジリと照らしているッ!


『……それにしても、熱いな……久々に力を使い過ぎたか……?』


 ドラゴンはいぶかしんだ!! 太陽が出ているとはいえ、この空間は――“熱すぎる”ッ!


 そうッ!


 “熱すぎる”のだッッッ!!!!!


『おかしい……何かがおかしいぞ……』


 すると、周囲を包んでいた砂埃が徐々におさまって、視界が良好になっていくッ!


 その瞬間ッッ!!


 ドラゴンは、自分の目を疑ったッッ!!


『なん……だと……!?』


 驚くべきことにッ! ドラゴンの目の前にッッ!!






 ――深紅のオーラに包まれたワタルが、立っていたのだッッ!!






『な、なぜだ!?』


 驚愕を隠すことが出来ないドラゴンッ!


 すると仁王の形相で仁王立ちするワタルが、髪の毛を一斉に逆立たせながら叫んだッ!


「お前の炎のエネルギーを、利用させてもらったぞッッ!!」


『なにィ!?どういう意味だ!』


「ふん……戦闘中に技のネタばらしをべらべらしゃべる奴がいると思うかッ?」


『ふむ、たしかにな!』


 だがこのまま進まれては読者の皆様が困るので、ここで解説しよう! 第13話でも登場したワタルの必殺技“爆熱猛怒(ばくねつモード)”は、己の内に眠る熱血エネルギーを全て解放し、全身の肉体を極限まで強化するという技である!!


 しかしこの技には他にも、“周りの熱を吸収して更にパワーアップできる”という特徴も存在していたのだッ! 驚きであるッ!


 故に今、ワタルの半径10キロメートル以内の地域の平均気温は、なんと10度上昇しているッッッ!!!






 ウィンド大陸の温暖化、爆速で進行中ッッッッッ!!!!!






「さあ……決着を、つけようかッッ!!」


 言うが早いか、ワタルは時速200キロのスピードでドラゴンに向かって走り出したッ!


『来い!!』


 爆熱猛怒の特性を知らないドラゴンは、もう一度“ファイヤー・ブレス”を繰り出すッ! しかしそれは、言うまでもなく悪手ッッ!!


「うぉぉぉぉぉぉぉッッッッッ!!!!!」


 迫りくるドラゴンの炎を全て吸収しパワーアップしたワタルのスピードは、今や時速400キロを突破していたッッ!!


 うおぉぉんッッ!! さながら現在の彼は走る火力発電所だッッッッッ!!!!!


『は、はやい!!』


 ドラゴンが驚きのあまり目を見開くッ!


「武ッッッッッ!!!!!」


 空を切り裂きながらドラゴンの眼前に迫ったワタルは、その勢いを維持したまま秒速3000キロの正拳突きを繰り出したッッ!!!!!


 あの技こそ、“爆熱猛怒”状態の時しか使えない最強の技、“爆熱光速拳”であるッ!


(※爆熱光速拳……一子相伝の最強流派“爆熱流”に伝わる奥義の一つ。爆熱猛怒で熱血エネルギーを極限まで解放した状態で、光速の正拳突きを放つ。ちなみに、この攻撃の速さは熱血エネルギーの量に比例すると言われているが、詳しいことは定かではない)


『!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


 見事に振り抜かれたその拳が、ドラゴンの下あごを的確にとらえるッ!


『あ、ああ……!!』


 凄まじい衝撃ッ! 激しく揺さぶられる脳ッッ!! ドラゴンはもはや、痛みすらも感じることが出来なかったッッッ!!!


「あばよドラゴンッ!!! お前との戦い、楽しかったぜッッッ!!!」


『ああ……体が……熱い……!』


 ワタルの拳を通して全身に熱血エネルギーを注入されたドラゴンは、その圧倒的なまでの熱量に耐えることが出来ず悶え始める!!!


『……うぐあぁぁ……感謝するぞ……ワタルよ……良き、闘争であった……』


 弱々しく笑うドラゴン!


 そして、数秒後ッ!


 ドラゴンは……灰になったッッ!!


 その灰は風に運ばれ霧散し、砂漠の一部と化していくッッ!!


「……ッッ!!」


 その光景をただただ無言で見つめ続けるワタルッ!


 そして彼が無意識のうちにとっていたのは――“敬礼”の姿であった――ッッッ!!!


 跡形もなく消えていったドラゴンという“戦士”に対して、ワタルは最大限の敬意を払っていたのだッッッ!!!











 数分後ッ! ワタルは、アリアとリベリオンが待つ森へと帰還したッ!


「あっ、ワタルさん!」


 彼の姿に気付いたアリアは、満面の笑みを浮かべたッ!


「おお、帰ったか。大丈夫だったか?」


 地面に座り休んでいたリベリオンが、ゆっくりと立ち上がりながら聞いてくるッ!


「ああ、ドラゴンは俺が倒したッ! もう心配はいらないッ!」


「そうか。私も、アリアのおかげで傷は完治したよ」


「そいつは良かったッ!」


 ワタル、安堵ッ!


「……それで、お前はこれからどうするつもりだッ!?」


「そうだな。また、武者修行の旅に出るとするよ」


 するとアリアが悲しそうな顔で口をはさんできた!


「そうなんですか? せっかくなんですから、私達と一緒にスカイ王国に行きましょうよ!」


 しかしリベリオンは首を横に振るッ!


「今回、お前たちと一緒に冒険をしてよく分かった。私はまだまだワタルには及ばない。いつかワタルを超える最強の戦士になるという夢をかなえるためにも、しっかりと修行をしていかなくてはならないんだ」


「そうか! 挑戦ならいつでも受けてやるッ! またいつか会おうぜッ!」


「ああ!」


 リベリオンは頷きながら微笑む! 可愛い!


「それじゃあワタルさん、帰りましょうか! スカイ王国に!」


「そうだな!」


 ワタルは、この異世界に“帰るべき場所がある”という喜びを、しっかりと噛み締めるのであったッ!


 めでたしめでたしッ! 圧倒的めでたしッッッ!!!


 しかし、今の彼は知る由もなかったッ!


 まさかスカイ王国で、あのようなトラブルに陥ってしまうなどとはッ!


 次回、「弱肉強食の新章開幕!ワタル、アイドルデビューッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]火力発電所の仕組み……異世界転生出版


[2]謎多き流派、“爆熱流”の真相……異世界転生出版

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