第38話 「ついに開幕!ワタルvsドラゴンッ!」
前回までのあらすじ! リベリオンに憑りついた“ゴースト”を倒したことで、無事にオーブを5つ集めることに成功したワタル! するとその瞬間、彼の前にドラゴンが現れた! こうしてついに、ワタルとドラゴンの戦いが幕を開ける……!!
ワタルは今、高度900メートルを高速で飛行するドラゴンの上に立っていたッ! 険しい顔で腕を組み、凄まじい風圧にも負けず直立不動ッッ!!
あの姿はまさしく、“金剛仁王像”だッッッッッ!!!!!
『見えたぞ……あそこが決戦の場だ……』
(ああ……ッ!)
険しい山岳地帯を抜けた先に広がっていたのは、広大な砂漠地帯であったッ!
『ここならば邪魔が入ることはない……思う存分、戦うことができる……』
(では……早速、やるかッ!)
言うが早いか、ワタルはドラゴンの背中からジャンプッ! 高度900メートルの上空から自由落下ッ!
ボフンッッッッッ!!!!!
激しい勢いで砂をまき散らしながら、ワタルは砂漠の地面に着地したッッ!!
「覚悟はいいか、ドラゴンよッ!」
彼は憤怒の形相で叫んだッ!
『無論だ!!』
ドラゴンはそう答えながら、ワタル目がけて急降下してきたッ!
「喝ッッッッッ!!!!!」
ワタルは素早くジャンプし、ドラゴンの鼻っ面に正拳突きを繰り出すッッ!!
ワタルの身長、約2メートルッ!ドラゴンの全長、約40メートルッ!
体格は言うまでもなくワタルが不利であるッ! しかし、そんなことはもはや問題ではないッ!
凄まじい衝撃と共に激突するワタルの拳とドラゴンの顔面ッ!
その激突で勝利をおさめたのは…………………………………………………………………………………………………………ワタルであったッッッッッ!!!!!
『!?!?』
ワタルの拳に弾かれ、上空へと吹き飛んでいくドラゴンッ! 表情こそ変化はないが、その心は確実に揺らいでいたッ!
『こ、この感覚は……“痛み”か……!?』
「そうだッッッ!!!」
ワタルが熱く答えるッ!
『ククク……何百年振りだ……この感覚は……!!』
ドラゴンは両翼を器用に用いて、空中で姿勢を制御するッ!
『“感謝”だ……感謝するぞ、ワタルよ……私は今、強敵と戦うことができているのだな……!!!!!』
するとワタルは、地面に着地しながらニヤリと笑ったッ!
「俺も、久々に“熱く”なってきたぜ……ッッッッッ!!!!!」
一方その頃、森で休息しているアリアとリベリオンはッッ!!
「うま」
「まつり」
「りんご」
「“黄金の果実―ゴールデン・アップル―”」
「ちょっと待ってくださいよリベリオンさん。それだと要するに“りんご”ってことですよね? 同じ言葉はアウトです」
「あ、そっか。じゃあ“黄金の果実―ゴールデン・グレープ―”」
「それずるくないですか?」
――しりとりをしていたッッッッッ!!!!!
アリアたちがしりとりをしているとは露知らず、戦い続けるワタルとドラゴンッ!
『ぬぅん!!』
ドラゴンが地面すれすれを滑空しながら鋭い爪で攻撃してくるッ!
「破ッッッッッ!!!!!」
ワタルはその攻撃を、音速を超えた足運びで避けたッ!
「クソッ! 砂に足を取られて上手く動けねぇッ!」
『どうした、そんなものか?』
ドラゴンはワタルを煽りつつ急旋回ッ! その丸太のように太い腕を振り上げながらもう一度彼に迫っていくッ!
「まだまだァッ!!!!!」
ワタルは気合いを入れるように叫びながら、ドラゴンの方へと走り出したッ!
そして幅跳びの要領で前方にジャンプしッ! ドラゴンの爪による攻撃をうまく掻い潜りながらッッ!! 背中にしがみつくッッッ!!!
『な、何ぃ!?』
「武ッッッッッ!!!!!」
ワタルはそのまま、ドラゴンの背中に向けて勢いよくチョップをかますッッッ!!!
そのチョップの時速、なんと2000キロッ! あまりの速さに時空の裂け目が開きかねないレベルであるッッッ!!!
ドスンッッッッッ!!!!!
無論、そのチョップはドラゴンの背中にクリーンヒットッッッッッ!!!!!
『グォォォ!!』
ドラゴンは苦しそうに悶えながら、空中で姿勢を崩したッ!
『まさか、私がここまで追い詰められるとは……!』
制御が効かなくなったドラゴンは、そのまま砂漠に激突ッ! 背中に乗っていたワタルは、その衝撃によって宙に投げ出されたッ!
「どうだッッ!!! 参ったかッッッ!!!!!」
ワタルは空中で前方伸身宙返り3回ひねりを決めつつ着地ッ! ちなみにこの技はF難度であるッ!!!!!
『まだだ……! まだ終わらん……!』
ドラゴンは翼をバサリと広げると、体についた砂を払い落としたッッ!!
『滾る!!!!! 滾るぞ、ワタル!!!!!』
「ああ、俺もだッッ!!」
するとドラゴンはその大きな口を開け、深く息を吸い込みはじめるッ!
「武ッ!?」
あれは、ただの深呼吸ではないッッ!!
――“何か”来るッッッ!!!
直感で危機を察知したワタルは、素早く身構えた! そして、彼の予感が的中するッッ!!
ドラゴンが肺に溜めた空気を一気に吐き出すように口を突き出すと、そこからなんと、炎が渦を巻きながら勢いよく飛び出してきたのだッッッ!!!
『これが私の必殺技!! “ファイヤー・ブレス”だ!!!』
「うおおおおッッッ!!!」
ワタル、驚愕ッ! 今まで多くの魔物と戦ってきたが、口から炎をだす敵は初めてだッ!
この攻撃が当たれば、いくらワタルと言えどタダでは済まないッッ!!
「いいや、まだだッ! まだ終わってねぇッッッッッ!!!!!」
すると彼はその場で腰を低く落とし、全身に気合いを入れ始めるッ!
『無駄だ!』
ドラゴンが勝ち誇ったように言うッ!
「……間に合え……ッッッッッ!!!!!」
そしてワタルはッ!
無残にもッッ!!
その巨大な炎の渦にッッッ!!!
……飲み込まれてしまった……ッッッッッ!!!!!
さらばワタルッ! 君の熱き戦いは読者の心に永遠に刻まれるであろうッ!!!!!
次回「ワタル渾身の必殺技!爆熱猛怒ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]2017年度版・体操競技の技名一覧……異世界転生出版




