第35話 「逆襲!これが漢のカードバトル道ッ!」
前回のあらすじ! 4つ目のオーブを求めてとある村にやってきたワタルたち! なんとそこでは、“モンスター・デュエル”というカードゲームが大流行していた!
そして成り行きにより、ワタルは突如現れた村長・ジャスティス加藤とオーブを賭けてカードバトルをすることになった! 初めてのカードバトルに戸惑いながらも、ワタルはゴブリンを召喚! しかし対する加藤が召喚してきたのは、見るからに強そうなモンスター“ブラックアイズ・ブルー・サイクロプス”であった! どうなるワタル!!
「……それで、ここからどうするッッ!!」
「あとは単純さ! このモンスター同士を戦わせるんだ!! シャキーーーン!!!」
ワタルの質問に決めポーズを取りながら答えるジャスティス加藤ッ!!
「わかったぜ! ……でも、手札の残った4枚のカードはいつ使うんだッッ?????」
「手裏剣みたいに投げて遊ぶと楽しいぜ!!」
「おお、そうなのかッ!!」
それを聞いたワタルは、早速残った手札を手裏剣のように投げ始めたッ!
「このカード良く飛ぶなぁッ!!」
すると時速600キロを突破したそのカードが、凄まじい勢いでアリアの眉間に直撃ッッッ!!!!!
「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
彼女は絶叫しながら眉間から鮮血を吹き出したッッッッッ!!!!!
「大丈夫かアリアッ!」
もちろん彼女は回復魔法を使えるので問題ないッッ!!
「くっくっく、よそ見をしている場合か?」
「何ィッッ!?」
「行け! サイクロプス!」
加藤が命令すると、それまでじっと押し黙っていたサイクロプスが突如動き出したッ!
「グオアアァーー!!」
サイクロプスは右腕に握った巨大な棍棒を振り上げながら、勇ましくワタルのゴブリン目がけて走りかかってくるッ!
「クッ! ゴブリン、応戦しろッッ!!」
ワタルも加藤に負けじとモンスターに命令ッ!
それによってゴブリンも動き始めたが、その手に持っている武器は小ぶりなダガーッ! どうあがいても勝ち目などないッ!
「フハハハハ!! この勝負、もらったぁ!」
ゴブリンに向けて棍棒を振り下ろすサイクロプス!!
それをなんとかダガーで受け止めるゴブリンであったが、力の差は歴然ッ! このままでは、ワタルのゴブリンは棍棒に押しつぶされてしまうッ!
「頑張れッッ!! 俺のゴブリンッッッ!!!」
ワタルの全力の応援も空しく、徐々に力負けしていくゴブリンッ!
「ちくしょうッッッッッ!!!!! もうこうなったら俺が直接戦った方がはやいッッッッッ!!!!!」
そう叫ぶや否や走り出そうとするワタルであったが、それを加藤が制止ッ!
「おおっと、それはルール違反だ! プレイヤーが敵のモンスターに直接触れるのは、このカードゲームでは禁止されている!」
「な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」
ワタル、絶望ッ! 圧倒的絶望ッッッッッ!!!!!
一瞬にして目の前が真っ暗になっていく!
絶望に打ちひしがれた彼が地面に膝をつくのと同時に、ゴブリンが敵の棍棒によって吹き飛ばされたッ!
「――ハッ!!!!!」
凄まじい反射神経で立ち上がったワタルは、そのまま垂直にジャンプッ! 吹き飛ばされたゴブリンをその腕で受け止めたッ!
ちなみに、プレイヤーが自分のモンスターに触れるのは禁止されていないッ!
「おい! 大丈夫か、ゴブリンッ!」
地面に着地したワタルは、腕の中でぐったりとしているゴブリンに話しかけるッ!
「どうやら、もう決着はついたようだな……!!!」
そう言ってほくそ笑むジャスティス加藤!!
しかし、ワタルは諦めないッッ!!!
なぜなら、彼は知っていたからだッッ!!!!!
カードバトラーに大切なのは、“諦めない心”だということをッッ!!!!!
「まだだッ! まだッッ!! 終わってねぇッッッ!!!」
するとワタルは、獅子の形相でデッキからカードをドローッッッ!!!
「うおぉぉぉッッッ!!! これが俺の切り札だッッッ!!!」
そして彼は、そのカードを加藤目がけて投げつけたッ! しかしッッ!!
「無駄だぁ!」
加藤は、なんと飛来してきたカードを2本の指でパシリと止めたッ! 時速700キロのカードを止めるなど、デュエルキングである彼にしか出来ない芸当であるッ!!
だが、それすらもワタルは予測していた!!!
「本番はここからだぁッッッッッ!!!!!」
彼はそう叫ぶと、右腕にゴブリンを掴んだままその場でグルグルと回転を始めたッ!
「な、何をするつもりだ……!!」
あっけにとられる加藤ッ!
そんな彼を横目に、ワタルの回転速度はグングンと上昇していくッ!
あまりの回転の速さに、周囲には竜巻が発生ッッ!!
「くらえッ! これが、俺とモンスターとの絆だッッ!!」
そしてワタルは、トルネードの回転を活かしながら、手に持っていたゴブリンを敵のサイクロプスに投げつけたッ!
ゴブリン、えげつない速度でサイクロプスに激突ッ!
「ウゴアアァァァ!!!!!!!!!!」
サイクロプスが悲鳴を上げるッ!
そのままゴブリンとサイクロプスは、地平線の彼方まで飛んでいってしまうのであった……ッッッ!!!
「流石ですワタルさん! 回転を利用して自分のモンスターを投げつけることで、敵を倒しましたね!」
「なるほど、敵のモンスターには触れないが自分のモンスターには触れる、というこのゲームのルールを逆手に取ったか……やるな、ワタル!」
口々にワタルを褒めるアリアとリベリオン!!
ちなみに、今の技は“熱血トルネード投法”というものであるッ!
(※熱血トルネード投法……1997年、アメリカのメジャーリーガーであるフォギー・ケイジが考案した投法。ボールを投げる前にその場でグルグルと回転し、投球に勢いをつけるのがこの技の特徴。しかし肩への負担が著しく大きいため、2005年に国際野球連盟によって使用が禁止されたことは記憶に新しい)
「……俺の、負けだ……」
加藤はそう呟くと、その場でガックリとうなだれた! ヒトデみたいな頭もしょんぼりとしているッ!
「ジャスティス加藤ッ! お前とのデュエル、楽しかったぜッ! じゃあオーブよこせッッ!!」
「え? う、うん……」
完全に意気消沈した加藤は、コートのポケットから黄色い球体を取り出したッ! 言うまでもない、オーブであるッ!
「サンキューッッ!!」
ワタルはジャスティス加藤からそのオーブをもぎ取ったッ!
こうしてついにオーブを4つ集めることに成功したワタルッ! 残るはあと1つだッッ!!
「おい加藤ッ! 最後の1個がどこにあるか言えッ!」
「し、知らねぇよ……」
詰んだッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
このままでは最後のオーブの居場所が分からないッッ!!
そんなことではこの小説の連載が終わってしまうぞッッッ!!! どうするワタルッッッッッ!!!!!
すると、その瞬間ッッ!!
「……武ッッ!?!?」
ワタルの手の中にあった4つのオーブが、一斉に光りだしたッッッ!!!
ピカアァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!
オーブたちから、南西の方角に向かって一条の光が発せられているッ!
「こ、これは……もしや、この方角に最後のオーブがあるということなのかッッ!?」
「分からんが、物は試しだ。とにかく行ってみよう」
「そうですね! 行きましょう!」
こうして、ワタルとアリアとリベリオンは南西へと向かい歩き出したッッッ!!!
次回、「覚醒!オーブの守護霊ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]サルでもわかる!熱血トルネード投法の投げ方!……異世界転生出版




