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第29話 「ワタル、奮闘!熱血早食い対決ッ!」

 前回までのあらすじ! 1つ目のオーブを求めて田舎の村にやってきたワタルたち! しかしアリアの毒舌のせいで村長が激怒! 果たしてワタルたちは無事にオーブを入手できるのだろうか!











「お願いします村長さんッ! ドラゴンを討伐するためには、どうしてもオーブが必要なんですッ!」


「無理じゃ無理じゃ! 諦めろ!」


「でもこのままドラゴンを野放しにしておくわけにはいかないんですッッ!! どうかお願いしますッ!!!」


 ワタル、懇願ッッ!!!


「私からもお願いします!」


 アリアも一緒にお願いをするが当然これは逆効果ッ!!!


「なんじゃお前!! さっき散々村のこと馬鹿にしとったろ!」


「してないです! 私こういう自然豊かなところ大好きなんです!」


「嘘つけ!!」


 このままでは埒が明かないッ! ワタルは勢いよくその場で後方宙返りを行い、土下座の姿勢で美しく着地ッ!


「村長ッ!!!!! この通りだッ!!!!!」


 芸術点100点の土下座を見せた彼の心意気に、村長も折れたッ!


「……分かった! そこまで言うならば、この村に昔から伝わる方法で勝負をして、もしお前さんが勝ったならオーブを渡そうッ!」


「勝負……ッ!?」


「うむ! その勝負の内容は、“早食い対決”じゃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」











 そして舞台は村長宅に移行ッ! 広々とした大広間に通されたワタルたちは、そこで待つこと数分ッ!


「待たせたな! 準備が整ったぞ!」


 村長が合図をすると、数人の世話係が登場し、彼らの前に二つの巨大な皿を置いて行ったッ! それぞれの皿には、アツアツの出来立てホットドッグがこれでもかと盛られているッッ!!


「成程……すなわち、このホットドッグを一つでも多く食べたほうが勝ち、と言うことだな」


「そうじゃ!」


 リベリオンの発言にコクリと頷く村長ッ!


「制限時間は5分! この時間内で戦うのじゃ!」


「分かりました。こちら側はワタルが出るとして……そちらは、一体誰が早食いを行うのです?」


「もちろん、このわしに決まっておる!」


 なんと、ワタルとホットドッグの早食い対決を行うのは村長! どこからどう見ても75歳を超えて後期高齢者の仲間入りを果たしているこの老人だが、本当に早食いなど出来るのだろうか!!


「やりましたねワタルさん! この勝負、貰いましたよ!」


「ふん! わしを馬鹿にしてもらっては困る! 今までの人生全てを早食いに費やしてきたのじゃ! お前のような若造に負けるはずない!」


 そう言って村長は、得意げな顔で自分の胸をドンと叩いたッ!


 この瞬間骨粗しょう症になっていた彼のあばら骨が2、3本ほど折れてしまったが、それはまあ良しとしようッ!!!


 そんなわけで、対決の時ッ!


 ワタルと村長の2人は、モクモクと湯気が立ち上る大皿の前に立ったッ!


「よし! ワタルとやら、準備は良いな!?」


「応ッッッ!!!」


「それでは……はじめじゃ!!!!!」


 言うが早いか、村長は猛烈な勢いでホットドッグにかぶりついたッ!!!


(どうじゃ! 歳をとっても衰えないこの早食い! これにはあのワタルとかいうガキも驚いておるに違いない……!)


 そう思ってホットドッグを口にくわえた村長がちらりと横を見ると、なんとワタルはまだ食べ始めていなかったッ!


「……いただきますッ!」


 するとワタルは、勢いよく両手を合わせるッ!






 パァァァンッ!!!






 凄まじい轟音と共に衝撃波が発生ッ!


(ふん、ばかめ! スピードが物を言う早食い対決で、律儀にいただきますをするやつがどこにいる! この勝負、わしが貰ったな!)


 と、内心ほくそ笑む村長ッ!


 そのまま彼はハイペースでホットドッグを食べ続けるッ! 彼の胃袋はまるでブラックホールだッ! 後期高齢者とは思えない食べっぷりであるッ!


 しかし、ここでアクシデントがッ!


(……!! し、しまったぁ!!!)


 なんという事だ! 焦ってホットドッグをほおばるあまり、村長は舌を火傷してしまったッ!!!


 これによって一気に食べるペースがダウンッ!


(クッ……流石に出来立てのホットドッグを高速で食べ続けるのはきつい……だがこの熱さ、奴もきっと苦戦しているはずじゃ……!)


 そして彼は、再びちらりとワタルの方を見るッ!


 するとそこには、一切熱さに悶えることなく、仁王の形相でホットドッグをほおばり続けるワタルの姿があった……ッ!


(な、何ィィーーーーー!?!?)


 これには思わず村長も唖然ッ!


(な、なぜじゃ! なぜあのスピードでホットドッグを食べ続けられる! この出来立てアツアツのホットドッグを!! ………………ま、まさか! あの時!)


 この瞬間、村長は気付いた! 最初にワタルがやっていた“いただきます”の本当の意味を!!!


(そ、そうか! あのいただきますの合掌の時、凄まじい勢いで両手を合わせて衝撃波を発生させることで、その風圧を用いてホットドッグを冷ましたのか!!)


 村長が何を言っているのかまるで理解できないという読者の皆様のために、もう少し詳しく説明しようッ!


 ワタルのあの“いただきます”は、ただの合掌ではないッ! あれは中国に古くから存在する武術であり、その名も“少林寺合掌竜巻拳しょうりんじがっしょうたつまきけん”であるッ!!!


(※少林寺合掌竜巻拳……両手を激しく打ち合わせることで衝撃波を発生させるという、中国4000年の歴史が生み出した最強の技。その動作は日本人が「いただきます」と言う際に行う合掌の動作とほぼ同じである。達人がこの技を行えば、軽く合掌しただけで凄まじい風圧と共に竜巻が発生すると言われている)


(くそぉ! あれはただの合掌ではなく、出来立ての料理を冷ますための戦術であったということか!)


 最初は村長の方が圧倒的にリードしていたが、徐々にそのリードが縮まっていくッ! そして気が付けば、ワタルが逆転ッ!


(ワタルとやら……こやつならば、わしの夢であったウィンド大陸最強フードファイターの夢を託せるかもしれん……)


 そして、制限時間の5分が経過ッ! ホットドッグを食べた数の最終結果は、村長27個に対してワタル1097個ッ!


 よって、ワタルの勝利ッッ!!!!!


「わしの負けじゃ……ほれ、このオーブを持っていけ……」


 すると村長は、懐から手のひらサイズの赤い宝玉を取り出したッ! これが“オーブ”であるッ!


「おお……ありがとうございますッ!」


 そのオーブをありがたく受け取るワタルッ!


「なあ、ワタルよ。もしよければ、このウィンド大陸でフードファイターとして戦ってみる気はないか?」


「ないですッ!!!」


 ワタル、即答ッ!!!


「そうか……だがもし気が変わったら、いつでもここに来てくれ」


 そう言って村長は、優しく微笑むのであったッ!


 こうしてワタル達は、無事に1つ目のオーブを入手することに成功ッ!


 しかし、彼らのオーブ探しの旅はまだまだ始まったばかりであるッ!


 次回、「混沌!オーブを賭けた小説対決ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]高齢者の分類について……異世界転生出版


[2]最強の合掌、少林寺合掌竜巻拳について……異世界転生出版

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