第28話 「ドラゴンと戦うためには!5つのオーブが必要ッ!」
前回のあらすじ! スカイ王国の国王に頼まれたワタルとアリアは、近隣の村に現れたというドラゴンの討伐に向かった! その旅の途中でなんとリベリオンと再会! 彼女も仲間に加えてドラゴンを捜索すること数時間! ついに一行はドラゴンを発見! 早速ワタルはジャンプしてドラゴンの背中に乗るのであった!
『……ところで貴様。私と戦いたい、と言ったな?』
(うん、言ったッッ!!)
『ふむ、その心意気はよし。だが私と戦うには、足りぬものがあるぞ』
(えッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! そうなのかッッ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?)
果たして、ワタルがドラゴンと戦うために必要なものとは一体何なのだろうかッ!
『それは、“オーブ”じゃ』
(オーブ……ッ!!!)
オーブッ! その単語の意味はすなわち“宝玉”であるッ!
『私の全身は、目に見えぬ魔法の結界で守られておる。この結界を突破して攻撃するには、ウィンド大陸に散らばる5つのオーブが必要となるのじゃ』
(なるほどッ! じゃあとりあえずッ!)
するとワタルはおもむろに、ドラゴンの背中目がけて時速800キロの正拳突きをかましたッ!
――しかしッ!!!
『無駄だ……』
(なるほど……まるで手ごたえがない……のれんに腕を押しているかのようだ……ッ!)
どうやらドラゴンの言っていることは本当らしいッ!
(だが、何故だッ! なぜわざわざ自分を倒す方法を教えるッ!?)
『簡単な話だ。強者と戦いたいからだよ』
(……ああ……なるほどな……ッ!)
武術をたしなむものであれば、ドラゴンの考えはよくわかるはずだッ!
『5つのオーブを集めるのは、決して楽なことではない。私は、その試練を乗り越えるだけの実力を持ったものと戦いたいと、切に願っているのだ』
“漢”とは、常に強者との血沸き肉躍る戦いを望むものであるッ! そこに、性別も種族も関係ないッ!
(そうか、分かったッ! だが、1つ頼みがあるッ! 当分は、町や村を襲うのはやめてくれッ!!)
『ほう、貴様は私に“暴れるな”と申すか。それはつまらんなぁ』
(その暴れるエネルギーを、俺と戦う時まで取っておいてくれッ! その方がいい勝負になるはずだッ!!!)
『……ほう、そう来たか! 私も長いこと生きてきたが、貴様ほど面白いやつは初めてだ! よかろう、では当分は大人しくしておこうではないか』
(感謝ッ! じゃあなッ!)
するとワタルはドラゴンの背中……すなわち高度900メートルから、勢いよく飛び降りたッ!!
「……あ、戻ってきましたよ」
アリアはそう言って上空を指さすッ!
「……そのまま着地するのか?」
少し心配そうな顔になるリベリオン!
「ま、ワタルさんなら大丈夫でしょ」
ドスンッッッ!!!
ワタルは激しい地響きを伴いながらアリアたちの前に着地! 無論、無傷であった!!
(※これは、生まれた時からしっかりと受け身の訓練を行っているワタルだからこそできることである。決してマネしないように。もっとも、ここまでこの作品を読んでくださっている読者の皆様であれば、そんなことは百も承知だとは思うが)
「ただいまッッッ!!!」
ワタルは仁王の形相で叫んだッッッッッ!!!!!
「お帰りなさいワタルさん!」
「それで、どうだった?」
「うんッ!!! オーブを5つ集めて来いって言われたッ!!!」
「オーブ……?」
聞き慣れない言葉に、アリアは首を傾げたッ!
「オーブか、それなら聞いた事があるぞ」
「知っているのかリベリオンッ!!」
ワタルが尋ねると、リベリオンはコクリと頷くッ!
「当然だ、私を誰だと思っている? かつて魔王を倒すために一騎打ちを挑むもあっさり負け、だがその実力を認められ四天王となって魔王に忠誠を誓い、その後お前にあっさり負けた最強の騎士だぞ」
「ろくな経歴じゃないですね」
「それでッ!? その5つのオーブはどこにあるんだッ!?」
「悪いが、私が知っているオーブの在処は1箇所だけだ。ここからそう遠くないところにある村の村長が持っていると聞いた事がある」
「よし、行くぞッ!!!」
こうして、ワタルたちによる“5つのオーブ”を集める過酷な旅が始まったッ!
それから数時間後ッ!
「……お、あれかッ!」
ワタルたち一行は、早速最初のオーブが置かれていると思われる村に到着ッ!
そこは、山の中にあるのどかな田舎の村であったッ!
「うーん、こんなみすぼらしいところに本当にオーブなんてあるんですかね?」
「アリアよ、せめてもう少し声のボリュームを落とせ」
リベリオンがアリアをたしなめるッ!
「いやでもほら、家とか全部ボロボロですよ。本当に雨風しのげてます?」
「だからもっと小さい声で話せ。村人に聞こえているだろう」
「私だったらこんな田舎に住むのは無理ですね」
「いやもう全部聞かれてるぞ。道歩いてる村人に全部聞かれてるぞ」
リベリオンの言う通り、村人たちは皆怪訝な顔でアリアたちのことを見つめているッ!!
「やっぱり間違いだったんじゃないですか? こんな辺鄙なところにオーブなんてあるわけないでしょ」
アリアは田舎に何かうらみでもあるのだろうかッ!!!!!
すると彼女たちの前に突然、一人の老人が飛び出してきたッ!
「やかましいわーーーい!!! さっきからなんなんじゃいきなり!!!!!」
その老人の男性は、かなりご立腹の様子ッ!
「失礼ですが、あなたはッッ??」
「わしはこの村の村長じゃ! 一体、よそ者がなんの用なんじゃ!」
「実は、ドラゴンを討伐するためにオーブを集めているんですッ!」
「何ィ? オーブじゃと? いかんいかん!! あれはこの村に伝わる古くからの大切な宝なんじゃ! いきなりやってきたよそ者に渡せるわけないだろう!」
なんという事だ! 何故かはわからないが、村長のワタルたちに対する好感度は最悪のようであるッ!
……何故かはわからないがッ!!!!!
果たして彼らは、無事にこの村でオーブを手に入れることが出来るのだろうかッッ!?
次回、「ワタル、奮闘!熱血早食い対決ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1] 玄人向け・高度900メートルから飛び降りた際の受け身の取り方……異世界転生出版
[2]ファンタジー世界における田舎の村の特徴……異世界転生出版




