第27話 「明鏡止水の新章開幕!ワタル、ドラゴンと邂逅ッ!」
前回のあらすじ! ワタルがガーランドに勝ったのでスラム街の存続が決定した!
そして数日後ッ! ワタルとアリアは、スカイ王国の国王に呼ばれたため王宮に来ていたッ!
「すごいですねワタルさん! まさか国王の宮殿に入る日が来るなんて、思ってもいませんでした!」
「だなッ! 俺もびっくりだッ! ……というかなんで呼ばれたんだッ!」
豪華な装飾の施された長い廊下を、近衛兵に案内されながらひたすら歩き続ける2人ッッ!!
数分後、ついに王様の謁見室にたどり着いたッ!
巨大な扉を開けて中に入ると、そこには1人の老人が椅子に座って待っていたッ!
「うむ、来たか……」
威厳のあるもっさりとした髭に、するどい眼光ッ! 派手すぎないシンプルなデザインながら高級感のある衣服ッ!
彼こそがッッ!! スカイ王国の国王であるッッッ!!!
「君が……あの魔王を倒した、ワタル君だね?」
「はいッッッ!!!」
ワタルは元気よく挨拶したッ!
「すまない、君とはもっと早く話をしたいと思っていたのだが、なかなか時間を取ることが出来なくてね。とにかく、魔王を倒してくれたこと、感謝するよ」
「いえッ! お礼など結構ですッ! 私はただ、強者と戦いたかっただけなのでッ!」
「ほう、そうか。ところで、そんな君のことを見込んで、ひとつ頼みたいことがある」
ここで国王の眼光が一気に鋭くなった!!
「実は数日前、スカイ王国から程遠くないところに位置する村に、“ドラゴン”が出現したという報告を受け取ったのだ。このまま放っておくとこの国にも来てしまうかもしれない。だから、魔王すらも倒す実力を持った君に、ドラゴン討伐をお願いしたい」
「分かりましたッ!」
ドラゴンッッッ!!! ファンタジーの世界では最強の存在と相場が決まっている生物ッッッ!!!
無論、戦うに決まっているッッッ!!!
そんなわけで、ワタルとアリアはスカイ王国から旅立ち、ドラゴンの討伐に向かうことになったッ!
「良かったんですか? ワタルさん。あんなふたつ返事でドラゴン討伐を引き受けてしまって」
「当たり前だッ! だってドラゴンと戦えるんだぞッッ!?」
するとアリアはあきれたような顔になった!
「いいですか、ワタルさん。ドラゴンと言うのは、そこらへんの魔物とは比べ物にならない力を持っています。とにかく危険な存在なんですよ!」
「そうこなくてはなッ!」
ワタルはニヤリと笑うッ!
そして数時間後ッ! 2人は、スカイ王国から東に数キロ離れたところにある小さな村に到着したッ!
しかし、目の前に広がる光景にワタルは唖然ッッッ!!!
「な、なんだこれはッッッッッ!!!!!」
なんとその村はッッッ!!!
――全焼していたッ!
かつて家だったものが全て真っ黒に焦げッ!
地面もズタズタッッ!!
更に村のところどころから煙が立ち上っているという始末ッッッ!!!
「こ……ここが世紀末か……ッッ!!!」
恐るべしドラゴンッ! まさか、村を丸々焼き尽くしてしまうとはッ!
「王様の話では、村人は全員逃げ切ったのでなんとか死者なしで済んだということでしたが……これはひどいですね……」
アリアも眉をひそめて言うッ!
「う……うぐぅ……ッ!」
ボロ……ボロボロ……ッ!
気が付けば、ワタルは号泣していたッ!
「俺は……なんと甘い人間だったんだ……まさか、ドラゴンがこんなにも残虐非道な生物だとは……一体、この村の人達が何をしたというのだ……ッ!」
この時、ワタルは自分の涙に誓ったッッッ!!!
絶対に、ドラゴンを討伐して見せると……ッッッ!!!
「きっと、まだドラゴンは遠くまで行っていないはずだッ! 探すぞッ!」
「はい!」
するとその瞬間、ワタルの視界に見覚えのある人物の姿が映ったッ!
「アッ!!!!!!!!!! お前はッ!!!!!!!!!!」
整った顔立ちに、さらさらの青いロングヘアーッ! そしてその全身を覆うのはとげとげしくかっこいい鎧ッ!
そう、リベリオンであるッ!
彼女がなぜかこの村にいたッッ!!
「ん? お前たちは……ワタルとアリアか?」
「久しぶりだなッ! 何年ぶりだッッ!?」
「うん、実に1ヶ月ぶりだな」
「お久しぶりですリベリオンさん!」
「また会えて嬉しいぜリベリオンッッッ!!!」
その嬉しさを全身で表現するために、タップダンスを踊りながら学ランを脱いで頭の上で振り回すワタルッ!
リベリオン、無情にもこれをスルー!!!!!
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………ところでリベリオン、どうしてこんなところにいるんだッ!?」
「ああ、私は今一人で武者修行の旅をしているのだが、この村にドラゴンが出現したという話を聞いてな。是非一目見てみようと思って来た次第だ」
「なるほどなッ!」
「なるほどですね!」
ワタルとアリアは納得したッッ!!
「だが、どうやら遅かったらしい。聞いたところによると、ドラゴンはここから北に行ったところにある山の方まで飛んで行ったそうだ」
「よしッ! じゃあ行こうッ! お前も来るか?」
「当然だ」
というわけで、ワタルとアリアとリベリオンの3人は、ドラゴンが飛んで行ったという山まで向かうのであった……ッ!
「ムッ!!! もしや前方のあれか!?」
山岳地帯を進むワタル一行は、前方の空に巨大な飛翔物体を確認したッ!
「巨大な体躯に、全身を覆う深紅の鱗。そしてあの禍々しく尖った翼……間違いない、あれがドラゴンだ」
「よしッッッ!!! 行ってくるッッッ!!!」
言うが早いか、ワタルはその場でひとっとびッ! 力強くジャンプを行ったッッ!!
そして高度900メートルを優雅に飛行していたドラゴンの背中にスタリと着地ッ!
(※通常、人間が900メートルの高さまで自力で跳ぶことは不可能だが、特殊な鍛錬を積んだワタルであれば可能である。無論、ここまでこの作品を読んでくださっている読者の皆様であれば、そんなことは百も承知だとは思うが)
「おお……間近でみると結構でかいな……ッ!」
ワタル、興奮ッ!
ドラゴンの全長は、その長い尻尾まで含めるとおよそ40メートルはあったッ!
「おいドラゴンッッッ!!! 俺と戦えッ!」
よく分からないが、ワタルはとりあえず叫んでみたッ!
『……なんだ? 貴様は……』
(こいつ……俺の脳に直接話しかけてきた……ッッ!?)
ワタル、びっくり仰天ッ! なんとドラゴンはテレパシーで話してきたッ!
『ククク、驚いているようだな……』
(なるほど、俺の思考も読めるのか……ッ!)
『当たり前だ、若造よ。ところで貴様。私と戦いたい、と言ったな?』
(うん、言ったッッ!!)
『ふむ、その心意気はよし。だが私と戦うには、まだ足りぬものがあるぞ』
(えッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! そうなのかッッ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?)
果たして、ドラゴンと戦うために必要なものとは一体何なのだろうかッ!
謎は深まるばかりであるッ!
次回、「ドラゴンと戦うためには!5つのオーブが必要ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]ファンタジー小説におけるドラゴンの特徴……異世界転生出版
[2]超初心者向け・900メートルジャンプする方法……異世界転生出版




