第24話 「ブレイドの奇策!先鋒戦、決着ッ!」
前回までのあらすじッッッ!!!
ついに始まったスラム街の存亡を賭けた3対3の本気勝負!
先鋒戦は黒バラ盗賊団団長ブレイドvsイケメン双剣戦士アンジェロ! アンジェロの毒を駆使した攻撃によって一時は行動不能であったブレイドだが、なんとギリギリの土壇場で毒から回復! 驚いたアンジェロはその理由を相手に問いかけるのであった!
「な、なぜだ……! なぜ動ける……!」
アンジェロは尻もちをついた状態でブレイドに問う!
「ふふ、教えてやろう……俺には、毒への“耐性”があるんだ……!」
「耐性……だと……!」
その端正な顔立ちをゆがめて怪訝な表情になるアンジェロッ!
「ああ。盗賊というのは危険な稼業だ。いつ敵対した人物から毒を盛られるかもわからん。だからこの仕事を始めた時から、毎日の食事にごく微量の毒を混入して摂取し続けることで、耐性をつけていたんだ」
なんというプロ根性! すなわちブレイドは、こんなこともあろうかと、数年前から毒の攻撃への対策を講じていたのだッッッ!!!
「すげぇや兄貴!」
ブレイドの発言を聞いて感心するジョニー! しかし隣のマリーは表情がすぐれない……ッ!
「ちょっと待ってブレイド……私達毎日同じもの食べてるわよね……」
「ああ、だからお前たちも毎日毒を摂取しているぞ」
ここにきて明かされる衝撃の事実ッ!
「すげぇや兄貴! じゃあ黒バラ盗賊団は全員毒への耐性があるってことだね!」
「ふざけんじゃないわよブレイド!!!!! あんたなに無断でそんなことしてくれてんのよ!!!!!!!!!!」
マリーはキレているが今はそれどころではないッ! なぜなら、ブレイドとアンジェロの戦いはまだ終わっていないからだッ!
「う……うぐぅ……」
残った気力を振り絞り立ち上がるアンジェロッ! だが彼は先程右肩をブレイドに攻撃されているッ! そのダメージは深刻であり、もはや右腕で武器を振ることなど不可能だッッ!!
「あきらめろアンジェロ。もう勝負は決した」
優しい口調で諭すブレイド! しかし彼は諦めようとしないッ!
「まだだ……!」
右肩を抑えながら一歩、また一歩と前に踏み出すアンジェロ! しかし、そのスピードはあまりにも遅いッ!
「聞け、アンジェロ。“引き際”を見定めるのも、優秀な剣士の務めと言うものだ」
「……!」
彼の言葉を聞いたアンジェロは、足を完全に止めた!
「……俺の……負けだ……!」
そしてッ! アンジェロ、降伏ッッッ!!!
先鋒戦は見事ブレイドの勝利となったッ!
「くっそー! 何をしておるか! おい! もう後がないぞ! 中堅戦で負けたら承知せんからなぁ~!」
怒鳴るウィルソンッ! そしてよろよろと下がっていくアンジェロと入れ替わるようにして、2番目の刺客が前に出てきたッ!
「ふふふ……今度はアタイの番ね……!」
刺客はそう言って、黒フードをばさりと脱ぎ捨てるッ!
可愛らしい顔立ちッ! 髪は茶色いショートカットッ! なんと、2人目の刺客は女性であったッ!
歳は20ぐらいと若く、とにかく目を引くのはその背に背負った全長2メートルの大斧だッ! 彼女自身の身長はおよそ160センチと小柄なこともあいまって、斧の存在感は抜群である!!!
「アタイの名前は邪道院 邪々美! よろしくね!」
邪々美はそう言って不敵にはにかんだッ!
「あんたの相手は私よ!」
「頑張れー! マリー!」
「頑張ってくださいマリーさーん!」
こちらも負けてはいられないッ! マリーはジョニーとアリアの激励を受けながら前に躍り出るッッッ!!!
「ふーん、あんたがアタイの相手? なによ、おばさんじゃない!」
「は?」
戦いは既に始まっているッッッ!!!
“煽り”という高度な話術によって、マリーの精神に揺さぶりをかけていく邪々美ッ!
「舐めるんじゃないわよ!」
イラついたマリーはすかさず右手を前に突き出すッ! そしてその手のひらから尖った氷柱を高速で射出ッ!
氷魔法が得意な彼女ならではの攻撃! 時速200キロは優に超えていると思われるスピードで空を切るその氷柱は、当たれば“痛い”などという感覚では済まないッ!
しかし、邪々美は素早かった!
ただでさえ重い大斧を背負っているにもかかわらず、彼女は軽快な身のこなしで氷柱を避け、そのままマリーとの距離を詰めていくッ!
「いっくよー!」
天真爛漫な笑顔と共に邪々美は大斧を抜刀ッ!
「くっ!」
ガキィィンッッッッッ!!!!!
まさに間一髪ッッッ!!!
マリーは地面から氷の壁を作り出し、それで邪々美の攻撃を防いだッッッ!!!
「この!」
もう一度氷柱を射出して攻撃を行うマリーッ! だが邪々美に当てることはかなわないッ! そもそもあの邪々美に攻撃を当てるなど、百発百中を謳う西部のガンマンでも不可能ではないだろうかッッ!?
「遅いよおばさん!」
「……!」
邪々美は余裕綽々にマリーを煽るッ!
「マリー! 負けるな!」
必死に檄を飛ばすジョニーッ!
だが戦況は絶望的なまでに不利ッ!
「えい!!」
邪々美の大斧を用いた強烈な縦振り攻撃を、ギリギリで避けるマリーッ!
バキバキバキッッッッッ!!!!!
地面に激突した斧の衝撃によって、そこに小さなクレーターが出来上がったッッッ!!!
「な、なんて破壊力なの……!」
邪々美の容赦のない一撃に、冷や汗が止まらないマリーッ!
「どうしたの? 防御してばかりだとつまらないよ?」
そう言って連撃を繰り出してくる邪々美ッ! なんという事だッ! 彼女はあの巨大な斧を、まるで棒切れでも扱っているかのように軽々と振り回しているではないかッ!
マリーも氷の壁を用いて必死に防いではいるが、それも限界であるッ!
「もういい! 降参しろ! マリー!」
ここで突如ッ! 沈黙を貫いていたブレイドが、声を上げたッッ!!
「で、でも……!」
「お前では勝てない! わかるだろう!」
「……!」
その声を聞いたマリーは、悔しそうに唇を噛んだ……ッ!
そしてッ!
「降参よ……」
ここでマリー、無念の降参ッ! これにて中堅戦決着ッ!
――のはずがッッッ!!!
「降参なんて、つまらないでしょ!」
邪々美はニヤリと笑ったッ!
そして、無防備な状態のマリー目がけて大斧を振り下ろすッッ!!
「!?」
マリー、目を見開き驚愕ッ!
……だが、その凶刃が彼女に触れることはなかったッ!
「……なに、あんた?」
「マリーは“降参”したはずだ……ッッッ!!!」
マリーと邪々美の間には、静かに怒りに燃えるワタルがいたッッッ!!!
しかも彼は、邪々美の斧の刃を左手のみで器用に受け止めているッ!
ここで、今の一瞬の攻防が見えなかったという読者の皆様のために説明しようッ! ワタルは邪々美が斧を振り下ろした瞬間にマリーの前へと亜音速のスピードで移動し、その攻撃を止めたのだッ!
「……第三者が口出ししないでくれる?」
いじけたような顔で言う邪々美ッ!
「ふざけるなッ! もう戦いは終わったッ!」
ワタルは、たとえこの戦いがルール無用の殺し合いだとはいえ、降参した相手に攻撃を行う邪々美のことが許せなかったのだッ!
次回、「恐るべき戦士邪々美!そして始まる、大将戦ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]「毒を微量に摂取し続ければ耐性がつくって本当ですか?」……異世界転生知恵袋




