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第23話 「団体戦!全てを賭けたスラム街の戦いッ!」

 前回までのあらすじ!


 スカイ王国有数の資産家であるウィルソン・パーカーに会ったワタルは、彼がスラム街にゴルフ場をつくろうとしていることを知った!


 すぐにその計画をやめるよう迫るワタルであったが、無駄! ウィルソンは1週間後にスラム街に3人の刺客を差し向け、人々を無理やり退去させようとしていたのだ!


 そんなことはさせまいと意気込むワタル! 交渉の結果、3対3の団体戦でスラム街の命運を決めることとなった!











 そして6日後……すなわち決戦前日ッ!


 ワタルは、スカイ王国の片隅にある草原で己を鍛えていたッッッ!!!


 時刻は早朝、午前5時ッ! 周りには誰もおらず、静かな空間ッ!


 そこで虚空に向かってひたすらに正拳突きを繰り返すワタルッ!


「決戦は明日……ッ! 勝たなくては……ッ!」




 ブォンッ! ブォンッッ!!




 彼が正拳突きを繰り出す度に凄まじい衝撃波が発生ッ! 無論現在は早朝なので、近隣住民を起こさないよう力をセーブしてはいるが、それでもその迫力は圧巻であるッ!


 スラム街の人々を助けるためッ! ウィルソンの邪悪な計画を打ち砕くためッ! ひたすらに腕を磨き、突きを極めるワタルッッ!!


「ウィルソンがよこす刺客……きっと、卑劣な敵がやってくるに違いないッ! どんな奴が来ようと、俺は心を鬼にし、勝って見せるぞッッッ!!!」




 ブォンッッッ!!!




 彼の繰り出す正拳突きに、迷いなどないッッッ!!!


「俺は勝つッ!


 絶対勝つぞッッ!!


 きっと勝つッッッ!!!」


 勝利を求める気持ちが昂るあまり、ついつい伍・七・伍のリズムで一句読んでしまうお茶目なワタルであった……ッッッ!!!











 そして、一週間後……すなわち決戦当日ッ!


 スラム街の広場に、5人の勇者が集結したッ!


 熱き高校生ワタルッ! 黒バラ盗賊団団長ブレイドッ! そして彼の仲間であるマリーとジョニーッ! ついでに今回の騒動とは一切関係ないが、とりあえずワタルについてきたアリアッ!


「よし、皆! 今日は何があろうと勝つぞ!」


 ブレイドはそう叫び、集まった全員に喝を入れたッ!


「応ッッッッッ!!!!!」


 それに対して気合いを入れて応えるワタルッ!


「もちろんよ!」


 マリーもやる気十分といった感じだッ!


「おいらも、今日は頑張って兄貴たちを応援するぜ!」


「頑張ってください皆さん!」


 直接戦いに参加することはないが、ジョニーとアリアも意気込んでいるッ!


「む……来たぞッ!」


 敵の襲来をいち早く察知したワタルは、そう言いながら指を指したッ!


 そこからやって来たのは、4人の人影ッ!


 その内の一人は、言うまでもなくウィルソン・パーカーッ! 今日も高級黒スーツを身にまとい、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべているッ!


 その後ろにいる3人が、恐らく彼が雇った刺客であろうッ!


 背丈はバラバラだが、皆全身をフードの付いた黒いコートで覆っているッ! そのフードで顔を隠しているが故に、彼らがどのような人物なのか分からないッ!


「ほっほっほ~! 皆、そろっておるようじゃのぉ~!」


 ウィルソンはだらしなくはみ出た腹を揺らしながら笑ったッ!


「ああッ! こちらの準備は完了しているッ!」


 ワタルの言葉を聞いたウィルソンは、懐から一枚の紙を取り出したッ!


「ここに、誓約書がある! 内容は、“もしわしが今回の戦いに負けたなら、スラム街の再開発を中止し、家賃も元の値段に戻す。しかし勝ったならばスラム街の住人は問答無用で全員強制退去”というものじゃ! この誓約書に書かれたことは絶対じゃ!」


「よし、分かったッッ!! では、早速始めようッッッ!!!」


 こうして始まった、スラム街の存亡をかけた3対3の真剣勝負(マジバトル)ッ!


「それではまずは先鋒戦からだッ! 行ってこい、ブレイドッ!」


「ああ!」


 ワタルに促されて一歩前に躍り出たのは、ご存知黒バラ盗賊団の団長、ブレイドッ! その手にはシンプルなデザインのロングソードが握られていたッ!


「ふん、どんな奴が相手じゃろうと、わしの優秀な刺客たちにはかなわんわい! 行ってこい!」


 ウィルソンがそう言うと、3人の刺客の中の1人が、静かな動作で前に出てきた!!


 そしてこれまたゆったりとした動作で、全身を覆っていたフードをばさりと脱ぎ捨てるッ!


「我が名はアンジェロ……貴様らに恨みなどないが、決して容赦はせん。覚悟するがいい……」


 整った顔立ちッ! 髪は銀色のロングヘアーッ! そして両手には刃渡り30センチほどのダガーが1本ずつ握られているッ! すなわち、彼は双剣使いということだッッ!!


「アンジェロ……貴様も剣を使うのか。違うかたちで出会えたならば、仲良くなれたかもな……」


 ブレイドはそう口にして剣を構えたッ!


「黙っていろ。私はただ与えられた仕事をこなすのみ……」


 アンジェロも腰を低く落としつつ双剣を構えるッ!


 お互いににらみ合いながら、じりじりと距離を詰めていくッ!


 武器のリーチではブレイドの方が有利ではあるが、その代わり双剣を持つアンジェロの方が攻撃の手数は多いッ! 決して油断できない戦いだッ!


「……ふんっ!」


 先に動いたのはブレイドッ! ロングソードを振り上げながら大きく前に踏み込んだッ!


「はっ!」


 アンジェロは素早い足運びでブレイドの縦斬りを見事に回避ッ! そのまま全身を回転させるようにして攻撃を繰り出すッ!


「ぬぅ!?」


「これが私の必殺技、“旋回竜巻独楽(せんかいたつまきごま)”だ!!」


 その名の通り、竜巻、あるいは独楽のように凄まじい回転を行いながら斬撃を繰り返すアンジェロッ!


 そんな彼の舞踊のような攻撃に面食らいつつも、ブレイドは小刻みに後ろに下がってその連撃をギリギリで避けたッ!






 ――かに思われたがッ!






「……!」


 なんとッ! ブレイドの左頬に、うっすらと切り傷が付いているではないかッ!


「ふん! ただのかすり傷だ!」


 彼はそう言いながら再びアンジェロに斬りかかろうとしたッ! しかしッ!


「!?」


 踏み込む途中で、ブレイドは突然足を止めてしまったッ! その顔からは猛烈な勢いで汗が噴出しているッ!


「ど、どうしたんだ、ブレイド……ッ!」


 2人の戦いを離れた場所から静かに見守っていたワタルたちであったが、ここで彼がたまらず声を上げたッ!


「おいッ! ブレイドッッ!! どうしたッッッ!!!」


 するとアンジェロはニヤリと笑うッ!


「ククク、無駄だ……私の剣には、ウィンドガエルから抽出された猛毒がたっぷりと塗られている……故に、こいつはもう動くことなど出来ない……!」


「な、なんですって!? ウィンドガエルの毒ですって!?」


「知っているのかマリーッッ!!」


 ワタルがそう聞くと、彼女は焦ったような表情でコクリと頷いたッ!


「ウィンドガエル……ここウィンド大陸原産のカエルで、巨大な象ですらも数秒で殺せるほどの猛毒を持った生物よ……!」


「な、何ィッ!?」


 ワタルは驚愕したッ!


「そ、そうか……ッ! その毒が、さっきのかすり傷から入ってしまったということか……ッ!」


「そんな! 毒なんて卑怯すぎる!」


 ジョニー、憤慨ッ!


 しかしこれは遊びではないッ! スラム街の存亡をかけた“殺し合い”なのだッッッ!!! 故に、毒という手段も立派な1つの戦術ッ!


「……ぐ、うぐぅ……!」


 そしてブレイドは相変わらず、剣を振り上げたまま一歩も動けずにいるッ!


「ふふ……万事休す、というやつだな……!」


 どうするブレイドッ! このままではアンジェロにとどめを刺されてしまうぞッッッ!!!






 ――するとッ!






「でりゃあああ!!!」


 なんとッ!


 ブレイドは毒の呪縛から抜け出し、動き出したッ!


「!?」


 不意を突かれたアンジェロは、ブレイドの斬撃をまともに喰らってしまったッッ!!


「ぐはあぁっ!」


 地面に尻もちをつき、悶えるアンジェロッ! その右肩には、ブレイドに斬られた傷がッッ!!


「な、なぜだ……! なぜ動ける……!」


 アンジェロは驚愕とも怯えともつかない表情で、相手に問いかけるのであったッ!


 次回、「ブレイドの奇策!先鋒戦、決着ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]正しい俳句の作り方……異世界転生出版


[2]西洋の剣の種類一覧……異世界転生出版


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