第22話 「登場!王国の陰の支配者、ウィルソンッ!」
前回までのあらすじ! 黒バラ盗賊団の成り立ちを知ったワタルは、資産家ウィルソン・パーカーに激怒した! そして彼に直接話を聞くべく、ワタルはウィルソン邸へと文字通り激突をかますのであった!!!
「おじゃましまーーーーーーーーーすッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」
ギュオオォォォォォンッッッッッ!!!!!
ワタルは美しいランニングフォームで、正面ゲートの鋼鉄の扉に突撃ッ!
そして凄まじい衝撃波を発生させつつその扉をぶち破ったッッ!!
一方その頃ッ! 邸宅3階の寝室には、グラスを片手に優雅にワインを飲む一人の男性がいたッ!
「う~~~ん、やはりスカイ王国原産の赤ワインが一番おいしいのぉ~~~」
彼の名はウィルソン・パーカーッ! ぴっちり整えたちょび髭と薄い毛髪、そして少しだらしなくたるんだ腹がトレードマークの初老の人物であるッ!
その全身を包むのは、カシミヤ100%のオーダーメイド黒スーツッ! しっとりとした質感が圧倒的なまでの高級感を醸し出しているッッ!!!
「はぁ~~~今日も暇じゃのぉ~~~」
ふかふかソファーに座ったウィルソンがそう言いながらワインをちびちび飲んでいるとッ!
……ドタドタドタドタッッ!!
「ん~~?? なんじゃぁ~~?? 廊下の方が騒がしいぞぉ~~??」
突然聞こえてきた騒音に彼は怪訝な表情を示したッ!
その瞬間ッ!
「喝ッッッッッ!!!!!」
寝室のドアを蹴破りながらワタルが登場ッ!
「ぎ、ぎょえぇぇぇ~~~!!!」
叫ぶウィルソンッ! こぼれるワインッッ!! そして宙を舞うワタルが蹴破ったドアの残骸ッッッ!!!
「お前がウィルソンかッ!」
「なんじゃ貴様ぁ~!」
「俺の名は伊藤ワタルッ!」
「わ、ワタル!? じゃあ貴様があの、魔王を倒したワタルかぁ~!?」
ウィルソンは取り乱しつつそう言ったッ!
「俺のことを知っていたかッ! ならば話は早いなッ! 今日はお前に聞きたいことがあってきたッ!」
「いやいや、知るかそんなこと~! というか、どうやってここまで来た! ここに来るまでには、多くの警備兵がいたはずだぞ~~!!」
その通りッ! ウィルソンは自宅に何人もの傭兵を配置し、警備をさせていたッ!
それはまさしく、ネズミであろうと牛であろうと魔物であろうと侵入不可能な難攻不落の要塞ッ!
しかしッ!
――“熱血武闘派高校生”の侵入は予期していなかったッッッ!!!
「安心しろッ! 全員気絶させておいたッッ!」
「安心できるか~~!!」
ウィルソン、激昂ッッッッッ!!!!!
「ところで、スラム街の物件の家賃を急激に上げたという話は本当かッ!?」
唐突に本題に入るワタルッ!
「??? あ、ああ、それは本当だが?」
「何故だッッッ!!!」
ワタルは仁王の形相で問いただしたッ!
「ひぃっ!? そ、そりゃあ、スラム街の奴らが邪魔になったからだ~! わしはあそこの土地を今度、ゴルフ場にする予定なんじゃ~~!!」
「ゴルフ場……だと……ッ!?」
異世界にゴルフというスポーツがあることにはもはや突っ込むまいッ!
「それで数年前からあそこの住人に立ち退くよう言っておるのに、あいつらはまったく動こうとしないのじゃ~! だから、家賃を上げることで追い出そうとしておるんじゃ~~!!」
「外道めッ! そもそも、あの土地に家を建てて人を住まわせたのはお前だろうッッ!! なのに今度はどけと言うのかッッッ!!!」
「気が変わったんじゃ~~!! 遊ぶ場所が欲しいんじゃ~~!!」
ウィルソン・パーカーッ! なんと卑劣な男であろうかッ! これにはワタルも我慢ならないッ!
「今すぐそんなことはやめろッ!」
「ふん! もう無駄じゃ~! 1週間後、スラム街にわしが雇った最強の刺客を3人派遣する! そして、住人の奴らを強制的に退去させるんじゃ~!」
「なにィ!? 話し合いでなく、暴力で物事を解決させる気かッ!?」
ワタル、怒り心頭ッッッ!!!
「くっくっく~! 今さらお前が何をしようが無意味! 誰にも奴らは止められん!」
意地汚い顔で笑うウィルソンッ!
「ならば、俺と取引をしろッ!」
ワタルがそう言うと、彼は少し驚いたような表情になった!!
「取引~~~???」
「そうだッ! そちらが3人の刺客をスラム街によこすというのであれば、こちらも3人、対戦相手を用意するッ! そして、3対3の団体戦をするんだッ!」
「ほほう、それで、勝ち越した方が勝利、ということかぁ~~??」
「ああッッ!! もしもそちらが勝てばスラム街の住人は全員強制退去ッ! こちらが勝てば退去の話は白紙ッ! 家賃も元の値段に戻せッ!」
「ふふふ、面白い! わしもゲームは好きだ! 受けてたとう!」
そんなわけでトレーニングがてらバク転を繰り返しながらスラム街の廃倉庫に戻ってきたワタルは、ブレイドたちにこの事を話したッ!
それを聞くやいなや怒りだすブレイドッ!
「ふざけるな! なぜ俺達になんの相談もなくそんな取り決めをした!」
「落ち着けブレイドッ! どのみちこちらが何もしなければ、スラム街の人々はその3人の刺客から攻撃を受けることになるッ! 被害を最小限にとどめるためには、この手しかなかったッ!」
「そ、それは確かにそうかもしれんが……!」
「ブレイド。私はワタルのやったことは正しいと思う。仮にこの戦いに負けて退去することになったとしても、少なくともスラム街の人々が怪我をすることはないわ」
マリーはワタルに賛同したッッ!!
「おいらもそう思うよ! 問題は、誰がその刺客と戦うかだね」
「そうだな、ジョニー。ここはやはり、俺達黒バラ盗賊団の3人でいくか」
しかしワタルは首を横に振った!!!
「待ってくれ、ブレイドッ! この戦いを取り決めたのは俺だッ! 責任を取るためにも、俺も参加させてくれッ!」
「ワタル……わかった。じゃあ、俺、マリー、ワタルの3人でいこう」
それを聞いたジョニーが不満そうに口を開いたッ!
「ちぇっ! おいらは観とくだけってこと?」
「まあそう言うな、ジョニー。お前が最年少なんだから仕方ないだろ」
「よし……これで参加者は決まったな……ッ! 決戦は、1週間後だッ!」
こうして今、ワタルたちの熱い戦いが幕を開けようとしていたッ!
次回、「団体戦!全てを賭けたスラム街の戦いッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]お金持ちにありがちな特徴一覧……異世界転生出版




