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第20話 「激突!ワタルvs黒バラ盗賊団ッ!」

 前回までのあらすじ! 朝市で買い物をしていたワタルは泥棒に遭遇! 全力で走って路地裏まで追い詰めたワタルであったが、なんとそれは謎の3人組“黒バラ盗賊団”の罠であった! 追い詰めたつもりが逆に追い詰められたワタル! 3対1という絶望的な状況! さあ、どうするッッッ!!!











「俺の名は伊藤ワタルッ! 3対1でも文句はないッッ!! かかってこい、黒バラ盗賊団ッッッ!!!」


 ワタルは腕を組み、黒バラ盗賊団の3人に対して力強く叫んだ!


「だ、だったら! まずはオイラから行くぜ!」


 そう言うのは俊足のジョニー! その二つ名の通り、ワタルから逃げ切ることが出来るほどの足の速さを誇る少年だッ!!


「うおぉぉぉ!」


 ジョニーは気合いを入れて動き出したッ! そしてワタルの周囲をグルグルと走り回りだすッッッ!!!


「は、はやいッッ!!!」


 恐ろしいスピードで走り続けるジョニーに、ワタルは驚きを隠せないッ!


「ククク、どうだワタルよ……これがジョニーの能力! 超スピードだ!」


 黒バラ盗賊団団長のブレイドは、戸惑うワタルを眺めてニヤリと笑ったッ!


「へへへ、どうだい! おいらのスピードについてこれるか?」


「ちくしょうッッ!!!」


 ワタルは必死にジョニーにパンチを繰り出そうとするが、空振りッ!


「なぜだッ!? なぜ当たらないッ!?」


「ワタル! お前が攻撃をしているのは、全てオイラの残像だよ!」


「ざ、残像……ッ!」


 そう! ジョニーはワタルの周囲を超高速で走り回ることによって、無数の残像をつくりだしたのだッ! もはや彼の動きを止めることなど、誰にも出来ないのであるッッッ!!!


 するとその瞬間、ワタルの体に異変が起こったッッッ!!!


「ウッ!!! ウグゥッッ!!!」


 ワタルは突然口を押えると、力なく膝から崩れ落ちるッッッ!!!


「よ……酔った……ッッッッッ!!!!!」


 そうッ! 彼は超スピードのジョニーを必死に目で追おうとしたせいで、完全に酔ってしまったのだッッ!! ワタル、危うしッッッ!!!


「オッケー、いいわよジョニー! 下がって!」


 マリーの合図とともにジョニーは減速ッ! そして常人程度のスピードまで落とすと、余裕綽々といった表情でブレイドたちの元へと戻っていくッ!


「さあ、次は私の番よ!」


 するとマリーは、ジョニーと入れ替わるように一歩前に出て、鋭い動作で右腕を前に突き出したッ! その大きく開かれた手のひらは、未だ酔いから回復できずにうずくまるワタルに向けられているッ!


「さあ、凍りなさいッ!」


 マリーがそう叫ぶとッ!






 パキイィィィィィン……ッッッ!!!






 な、なんという事だッ! ワタルの全身が巨大な氷におおわれてしまったッ! 彼女はワタルを、目にも止まらぬスピードで氷漬けにしたのだッッッ!!!


「ふふ、驚いたかしら? これが私の美しき氷魔法! この技をくらって生き延びたものはいないわ! ……って、もう聞こえてないわね」


 そして妖艶に微笑むマリー!!!


 由々しき事態であるッ! この小説の主人公であるワタルがッ! 伊藤ワタルがッッ!!


 氷漬けにされてしまったッッッッッ!!!!!


 これではもう連載を続けることなど出来ないッ! 主人公が氷漬けにされてしまった以上、今回が最終回だッ!


 さらばワタルッ! 君の熱き戦いは読者の心に永遠に刻まれるであろうッ!!!!!






 完ッッッッッ!!!!!


























 そんなはずはァッッッッッ!!!!!






 ないのであるゥッッッッッ!!!!!






「烈ッッッッッ!!!!!」






 ジュワアアァ……ッッッ!!!






 ワタルの雄叫びと共に、彼を包み込んでいた氷が蒸発していくッ!


「な、なんですって!?」


 これにはマリーと読者の皆様も驚きであるッ!


「俺にッッッ!!! 氷魔法など効くものかッッッ!!!」


「ど、どういう事だ……!」


 ブレイドは冷や汗を垂らしながら言ったッ!


 ならばここで困惑している黒バラ盗賊団と、読者の皆様の為に説明しようッッッ!!! ワタルの今の技は、カナダに古くから伝わるカナダ流柔術奥義の一つ、“熱血体温調整術”であるッッッッッ!!!!!!!!!!


(※熱血体温調整術……極寒の国カナダで編み出された柔術奥義の一つ。体中を巡る血を気合いで沸騰させることで、急激に体温を上昇させる。すなわち、比喩でなく本当の意味で“熱血”になるのである。しかしこの技を会得するには、沸騰した血液にも耐えられる強靭な血管が必要となるため、カナダでも100年に一人しかこの技の習得者は現れない)


「だったら! 今度は俺の番だ!」


 するとブレイドは、隙のない動作でナイフを構えたッ! 刃渡り30センチほどで、取り回しが容易な得物であるッ!


「ただのナイフだからって甘く見るなよ! 俺は長年の修行で、刃物系の武器は全て完璧に扱う事が出来る! このナイフで、貴様を倒してやる!」


 そしてブレイドは、ワタルに向かって素早く踏み込んだッ!


「はあぁ!!!」


 ワタルの顔面に迫るナイフッ! しかし彼は顔色一つ変えずッ! あろうことか、大口を開けたッッッ!!!






 ガキイィィィンッッッッッ!!!!!






 金属と金属がぶつかる甲高い音ッ!




 ――いや、違うッ!




 金属と“歯”がぶつかる音が、路地裏にこだましたッッ!!


「な、何ぃ!?」


 ブレイド、またもや驚愕ッ! なんとワタルは、彼のナイフを歯でくわえることによって受け止めたのだッ!


「ぬ、抜けない……!」


 しかもブレイドが必死にナイフを引っ張っても、ワタルの口から取り出すことが出来ないッ!


 驚異の顎力ッ!


 熱血武闘派高校生ワタルは、筋肉だけでなく顎の力も鍛えていたッッッ!!!


「フンッッッ!!!」


 すかさずワタルは、ナイフをくわえたまま正拳突きッ!


 その拳は見事にブレイドの鳩尾にクリーンヒットしたッッ!!


「ぐうぅ!」


 ブレイドはパッとナイフから手を離すッ! そして呻きながら後ずさったッ!


 対するワタルは、ゆっくりとした動作で口からナイフを取り出すッ!


「ナイフ……軽く、扱いやすく、殺傷力も十分……ッ! ……だが、問題はリーチのなさだ……ッ!」


 徒手空拳による近接戦闘を得意とするワタルッ! そんな彼に対して、接近が必須となるリーチのない武器を用いるのはもはや自殺行為ッ! ブレイド、失策ッッッ!!!


「くそ……だったら!」


 するとブレイドは懐からもう一本ナイフを取り出し、ワタル目がけて素早く投げつけたッ!


「投げナイフ……確かにリーチの問題は補えるな、だがッッ!!!」


 ワタルは顔色一つ変えずにそう口にすると、飛んできたナイフを左手の中指と人差し指で挟んでキャッチッ!


「「「!?」」」


 唖然とした表情でその光景を見つめる黒バラ盗賊団の3人ッッッ!!!


「飛んできたナイフを受け止める訓練など、武闘家であれば赤子の頃からやっているッッッッッ!!!!!」


 叫ぶワタルッ! そして2本のナイフを両手で強く握りしめ、粉々に砕いたッッッ!!!






 バキバキバキッッッッッ!!!!!






「あ、兄貴……こいつやばいって! ここは一旦逃げよう!」


「私もジョニーの意見に賛成よ!」


「そ、そうだな……! お前たち! 逃げるぞ!」


 そう言ってワタルに背を向け逃げだそうとする3人! しかしワタルはそれを許さないッ!


「待てッッッッッ!!!!!」


 彼は仁王の形相で3人を呼び止めたッ!


「「「!!!」」」


 ブレイドたちはビクリとしながら立ち止まるッ! そしてワタルはこう続けたッッ!!


「お前たちに……聞きたいことがあるッ!」


 次回、「発覚!黒バラ盗賊団の真実ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]カナダ流柔術の奥義全集……異世界転生出版

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