表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/138

第19話 「最強バンド決定戦、決着!そして登場、黒バラ盗賊団ッ!」

 前回までのあらすじ! ついに始まった“ウィンド大陸最強バンド決定戦”! しかしワタルたちの対戦相手である“獄苦悪苦”はなんとライブパフォーマンスで悪霊を召喚してしまう! 続々と霊に憑依されていく観客たち! その状況を打破するため、ワタルはラップの熱血パワーで除霊に挑戦したのであった!!!











「どうだッッッ!!!」


 この日のために用意してきた新曲“炸裂☆ラップ”を満身創痍で歌い切ったワタルッ!!


 歌詞通りドラムセットを素手で破壊したアリアも、もうボロボロであるッ!!!!!


 すると、観客席に異変が起こったッ!


「か、体が……元に戻っていくぞ!」


「お、俺もだ!」


「やったーーー!!!」


 なんと、観客たちに憑依していた悪霊が徐々に消滅していったのだッ!


 気が付けば、アリーナの上空を覆っていた巨大な魔法陣も消えていたッッ!!!


「やりましたねワタルさん!」


「ああッッッ!!!」


 熱血武闘派高校生ワタルに不可能などないッッッ!!!


 見事、ラップの熱血エネルギーで悪霊たちを退治することに成功ッッッ!!!






 そしてッ! 2日後ッ!


 ワタル、リック、アリア、ブライアンの4人はスカイ王国某所の音楽スタジオへと集まったッ!


「残念でしたね、リックさん……まさか、ウィンド大陸最強バンド決定戦が、勝者なしで終わってしまうなんて……」


 アリアは慰めるようにリックに言ったッ! そう、結局のところ最強バンド決定戦は完全に中止ッ! 勝者なし、次回の開催も未定というむなしい結果に終わってしまったッ! しかしリックは微笑んで口を開くッ!


「しょうがないさ、アリアちゃん! あんな騒ぎがあったんじゃ、大会どころじゃないよ。だから俺は、気にしてない」


 そこで一呼吸置き、リックは続けるッ!


「そんなことよりも、この4人で最高のパフォーマンスを出来たってことの方が俺は嬉しい! だって、歌の力で悪霊を追い払えたんだぜ? そんなすごいライブが出来るのは、ウィンド大陸広しと言えど俺達だけだ!」


「ああ、そうだな」


 ブライアンも微笑みながら、リックに同調したッ!


「それもこれもアンタのおかげだよ……ワタル!」


 リックはワタルの方を向いてそう言ったッ! しかし彼から返事はないッ! 直立不動で、顔を俯かせているッ!


「どうした、ワタル?」


「……ぅ……ウグゥ……ッッッッッ!!!!!」











 ボロ……ッ!


 ボロボロ……ッッッ!!!











 ワタルの頬を伝う大粒の涙ッ! そうッッ!! ワタルは泣いていたッッッ!!!


「わ、ワタル……!」


「リック……お前がそう言ってくれて俺は嬉しい……ッ! お前と一緒にバンドができて……俺は楽しかったッッッ!!!」


 ワタルは泣きながらそう語ったッ! その言葉に、リックも、アリアも、ブライアンも、優しく頷くッ!


「ワタル……アリアちゃん……ブライアン……今回は、協力してくれて本当にありがとう!」


 リックは深々と頭を下げた!!!


「ところでリックさん……これから、どうするんです?」


「ああ、そうだな……いつまでも皆に頼ってばかりじゃ格好がつかねぇ、とりあえず前のメンバーをもう一度集めて、気持ちも新たに元祖“炸裂☆ボンバーズ”を再結成だ!」


「そうかッッッ!!! 頑張れッッッ!!!」


「頑張ってください!」


「もしもバンドに助っ人外国人が必要になったら……遠慮はいらねぇ、俺を呼びな!」


 リックを口々に応援するワタルとアリアとブライアンッ!


 こうして新生“炸裂☆ボンバーズ”は解散したのであった……ッッッ!!!











 それからさらに3日後ッ! 時刻は午前8時ッ!


 ワタルがアリアに頼まれた買い物をしに朝市へやって来たところに、事件が起こったッ!!!


「えーと、どれどれ……リンゴ3つにオレンジ4つ、そして……ゴブリンの耳ッ!? これは一体何に使うんだ……ッ!」


 ワタルがアリアから渡されたメモを見つめながらでかい独り言をつぶやいているとッ!


「キャーーー泥棒ーーー!!!」


 突如市場に響き渡る悲鳴ッ!


「喝ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは常軌を逸した速度で状況を把握ッ! 市場に現れた泥棒を特定完了ッ!


「待てッッッ!!!」


 時速130キロのスピードで泥棒を追い始めるワタルッ! 茶色いコートに身を包んだ泥棒もとっさに走り出したッ!


 犯人はグレーのハンチングを目深にかぶっているため、顔は見えないッ!


「待たんかァッッッ!!!」


 人ごみをかき分けて走り続けるワタルと泥棒ッ!


「……クソッッッ!!! 速いなッッッ!!!」


 なんという事だッ! 時速130キロのスピードで走っているにも関わらず、泥棒に追いつく事が出来ないッッ!!


 しかし考えてみれば当然だッ! ワタルはこのスカイ王国に来てから日が浅く、道をまだ完璧に把握できていないッ!


 それに対して泥棒は巧妙なムーブで道を駆け抜けていくッ! 足が速いだけでなく、土地勘もあるということであるッ!


 そのまま逃走劇を繰り広げ、裏路地へと突入した2人ッッ!!


「よしッッ!!! そっちは行き止まりだッ!」


 そうッ! 泥棒が進む先には天高くそびえる壁ッ! よじ登って超えることなど不可能ッ! もう逃げ道はないッ!


「あきらめろ泥棒ッ!」


 壁の前で立ち止まる泥棒ッ! そして彼を捕まえようと腕を伸ばすワタルッ!


 しかしその瞬間ッ! 裏路地に野太く渋い男の声がッ!


「そこまでだ、ワタル!!」


「ッッッ!?!?!?」


 ハッとしたワタルは足を止め、振り返ったッ!


 するとそこには、筋骨隆々の男性と、黒いドレスを着た美しい女性の2人が、通路をふさぐようにして立っているではないかッッ!!


「……つまり……俺は泥棒を追い詰めたつもりが、逆に追い詰められた、ということか……ッ!」


 ワタルは苦虫を噛み潰したような表情で歯ぎしりをしたッッッ!!!


「その通りさ、ワタル……へへ、途中で捕まっちゃいそうになったから、流石のオイラも焦ったよ」


 先程までワタルが追っていた泥棒が、ハンチングとコートを脱ぎ捨てながら言うッ!


「……随分、若いんだな……ッ!」


 ワタルはその泥棒の顔を見ながら口を開いたッ! 歳は恐らく14ッ! そんな若い少年に見事出し抜かれたという事実に、ショックを隠し切れないワタルッ!


「……いや、もっと早く気付くべきだったか……ッッ!! 明らかにこの街を知り尽くした動きをしていた泥棒が自ら行き止まりの路地裏に突入するなど、冷静に考えれば罠だッ……ッッ!!」


「……俺の名は統率のブレイド!」


「ッ!?」


 聞いてもいないのにいきなり名乗りだす筋骨隆々の男――ブレイドッ! ワタルは思わず面食らったッ!


「オイラは俊足のジョニー!」


 それに続くのは、ワタルから逃げ切った泥棒少年――ジョニーッ!


「そして私は妖艶のマリー!」


 そう言うのは黒いドレスを着た女性――マリーッ!


「俺達、3人合わせて!」


「「「黒バラ盗賊団!!!!!」」」


 彼らは息ぴったりに叫んだッッッ!!!


「なんだお前たちは藪から棒にッッッ!!!」


「お前みたいなやつに街をうろつかれたのでは仕事の邪魔なのでな……ここで消えてもらおうか!」


「なるほどそういうことかッ!」


 するとワタルはッ! おもむろに地面に両手をついたッ!


「おいおい、土下座で許してもらおうとでも思っているのか? そうはいかないぞ!」


 ワタルをあざ笑うブレイド!! しかし彼はッ! 彼らは知らないッ!


 ワタルは、決して媚びを売ったり、命乞いをするような“漢”ではないということをッッッ!!!


「……フンッッッ!!! ……フンッッッ!!!」


「あ、あんた、何をやっているの……」


 ドン引きしたように声を上げるマリーッ!


 しかしワタルはその言葉を一切意に介さずッッッ!!!
















 ――腕立て伏せを行っていたッッッッッ!!!!!
















「3対1で戦うのであればッッ!! 俺もそれなりの準備運動が必要なのでなッ!」


 そして目にも止まらぬスピードで見事に腕立て伏せを1000回達成したワタルは立ち上がりッ! 腕を組んで叫んだッッッッッ!!!!!


「俺の名は伊藤ワタルッ! 3対1でも文句はないッッ!! かかってこい、黒バラ盗賊団ッッッ!!!」


 次回「激突!ワタルvs黒バラ盗賊団ッ!」に続くッッッ!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ