第136話 「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part7ッッ!!)」
前回までのあらすじ! アリアの助けによってひん死の状態から奇跡的に回復したワタルは、ギリギリのところでリベリオンを救うことに成功した! そして皆様ご存知、最強の必殺技・爆熱猛怒を発動! ついに、魔王デウスとワタルの最後の戦いが幕を開ける! 絶対に見逃すな!
「決めてやろうじゃねぇか……ッッ!!
俺とお前……ッッッ!!!
どっちの方が、強いのかをよォ……ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」
髪を逆立たせ、全身から赤いオーラを放出しながら言うワタルッ!
対するデウスは、白いロングコートを風になびかせながら怪しく笑ったッ!
「ククク……やってやる!!!」
ブオンッッッ!!!
するとその瞬間、デウスの全身を包んでいた黒いオーラの出力が、一気に上昇ッ!
「魔王神拳奥義“覇王風月”、フルパワーだ!!!」
全身を魔力のオーラで包むことで、身体能力と耐久性を強化する技・“覇王風月”!
爆熱猛怒状態のワタルに対抗することのできる唯一の技を、彼はフルパワーで発動させた!
故に、今のデウスは攻撃力・守備力共に最強クラスッ!
最終決戦のお膳立てとしては申し分ないッ!
「さあ行くぞ! ワタル!」
「応ッッッッッ!!!!!」
そしてッ!
睨みあうワタルとデウスは、同時に飛び出したッ!
そこから目にも止まらぬスピードで互いに接近していくと――
ズドンッッッ!!!
激しい衝撃と共に、赤いオーラと黒いオーラが激突ッッッ!!!
「うおぉぉぉッッッ!!!」
「はぁあああ!!!」
ワタルとデウスは、超近接状態でインファイトの応酬をしたッ!
ワタルの強烈かつスピーディな拳の連打がデウスを襲うが、彼は卓越した反射神経で両腕を振り、的確に攻撃をいなすッ!
さらに腰をひねると、破壊力抜群の回し蹴りをワタルの頭部目がけて放ったッ!
――が、無駄ッ! 圧倒的無駄ッッ!!
ワタルは素早く両腕を構え、その蹴りを弾き落としたッ!
「死ね、ワタル!」
そう叫びながら、右ストレートを繰り出すデウスッ!
「嫌だッッッ!!!」
そう叫びながら、左ストレートを繰り出すワタルッ!
ゴツンッッッッッ!!!!!
両者の拳が真正面からぶつかり合い、衝撃波が発生したッ!
「ふん!」
デウスは機敏に拳を引っ込めると、一気に後ろへジャンプするッ! そして着地と同時に両手を地面につけて低く屈むと、クラウチングスタートのような体勢をとったッ!
「うおぉぉぉ!!!」
気合一閃ッッ!!
そのクラウチングスタートの姿勢から勢いよくスタートを切ったデウスは、時速300キロはあろうかというスピードでワタルに迫ったッ!
その様はまさしく黒い流星ッッ!!
正面から激突すれば、間違いなくタダではすまないッッ!!
――常人であればッ!
読者の皆様には安心していただきたいッ! ワタルは最強なのだッ! ごく普通の、最強の日本男児なのだッッッ!!!
「破ッッッ!!!」
気合と共に両腕を広げるワタル! 見よ、彼のあのデウスを受け止めんとする構えをッ!
あの構えは、沖縄に古くから伝わる琉球武術“車止め”の構えに他ならない!!!
(※車止め……かつて琉球で空手を学んでいた青年が編み出した技。姿勢を低くし、両手を大きく広げるのが特徴。青年はこの技で、琉球に住む伝説の魔獣“シーサー”を倒したと言われている)
そしてワタルは、勢いよく突っ込んでくるデウスを受け止めたッッッ!!!
「何ィーーー!?」
ワタルの鉄板のようにぶ厚い胸筋とぶつかりながら、驚愕するデウス!
この動きは予想外であったッ!
「無駄だ、デウスよッ! 貴様のタックルの威力など――あの時のトラックにも及ばないッッ!!」
「トラックとは何だ!」
「うるせぇッッッ!!! 口答えをするなッッッ!!!」
そしてワタルは、腕の中に捕らえたデウスをパッと離すと――そのまま、両拳を用いて凄まじいパンチの連打を放つッッ!!
まるで機関銃のように高速で繰り出されるあの強力なパンチの名は、“ガトリングナックル”ッ! かつてアメリカで最強と謳われたボクサーが得意としていた技だッッッ!!!
(※ガトリングナックル……1960年頃にアメリカ、コロラド州のボクサーであるマイケル・アドゥレが考案。この技を使うためには常軌を逸した強靭な肩のばねが必須であるため、「幻の技」とも言われている)
ワタルのパンチの雨あられッッッ!!!
その一撃一撃が、デウスの腹や胸に強烈な衝撃を与えるッ!
「うおぉぉぉ!?」
デウスは、たまらず吹き飛んだッ!
しかし空中で姿勢を制御し、巧みに着地ッ! そしてワタルを鋭い視線で睨み付け、こう叫んだッッッ!!!
「ワタルよ! 諦めろ! お前がどれだけ技を使おうが、私の肉体に直接的なダメージを与えることなど出来ないぞ!」
無論、これはハッタリである!
いくら“覇王風月”で全身を強化していようと、彼の肉体は着実に限界を迎えつつあったッ!
それを看破していたワタルは、ニヤリと微笑みながら口を開くッ!
「“諦めろ”っていうのは……こっちのセリフだぜ、デウス……ッッッ!!!」
「……はは……ハハハ!!! そうか! お見通しか!」
デウスは、高らかに笑った! しかし! それは決して、諦観による笑いなどではないッ!
むしろ友と戦えているという充実感、高揚感が彼を心の底から笑わせていたッッ!!
「よし! では、貴様にハッタリなどをするのはやめよう!」
彼はそう言って一呼吸置き、続ける!
「いいかワタルよ! 私の体はもう、限界だ! だが、諦めるつもりは一切ない! なぜなら……“勝てる”という確信があるからだ! 私の手刀が、今から貴様の喉笛を切り裂く!」
そしてデウスは腰を落とし、右手で手刀を作った!
それを見たワタルも、微笑みを保ったままファイティングポーズを取るッ!
「……行くぞ!」
「ああ……来いッッッ!!!」
――この瞬間、ワタルは確信した。
――次の攻撃が、“最後”になると。
次回、「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part8ッッ!!)」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]琉球に伝わる武術全集……異世界転生出版
[2]徹底解剖!幻の技、“ガトリングナックル”の正体に迫る……異世界転生出版