第134話 「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part5ッッ!!)」
前回までのあらすじ! 魔王神拳奥義“覇王風月”によって極限まで肉体を強化させたデウスが、ワタルを追い詰める! そしてデウスがとどめを刺しに行こうとした瞬間、リベリオンが現れた! かつての主に対し、迷うことなく剣を構えるリベリオン! 果たして、彼女は魔王を止められるのだろうか!?
「さあ、行くぞ……“反逆”の始まりだ!!!」
剣を逆手で握りしめ、切っ先を地面に向ける独特の構えッ!
青く美しい長髪を風になびかせて敵を睨む彼女の名は、リベリオンッ!
その名の意味はすなわち――“反逆”ッッ!!
本当に信頼する仲間のためであれば、かつての主であろうと刃を向けるッッ!! そんな彼女の硬い意志が、名前に如実に表れているッッッ!!!
「愚かな……私に勝てるとでも思ったか!」
全身からどす黒いオーラを放ち、彼女を威圧するように叫ぶデウスッ!
そして腰を低く落とし、リベリオン目がけて跳躍したッ!
その位置から彼女の眼前に迫るまで――わずか0.00000000001秒ッ!
読者の皆様の中に、今のデウスの動きが見えた方はいらっしゃっただろうかッ!? いいや、いないはずだッ! 常人であれば目で捕えることは不可能なのだからッ!
だがしかしッ! リベリオンはッッ!! これまでのワタルとの冒険を経て、確実にパワーアップしていたッッッ!!!
「フンッ!」
逆手で握りしめていた剣を俊敏に振り上げ、眼前に迫るデウスの頬を斜めに斬り付けるッ!
「なにっ!?」
“覇王風月”で強化されたデウスの肌を傷つけることはできなかったが、それでも相手に大きな隙をつくらせたッ!
「はぁっっ!!」
更にリベリオンは腰をひねりつつ剣を構え直し、返す刀で横なぎを放つッ!
「くそっ!」
デウスは素早く上半身を後ろに反らすことで、イナバウアーのような体勢になりながら彼女の斬撃をすれすれで避けたッ!
「やるな、リベリオン!」
「まだまだ、こんなものでは! 私の反逆の剣は、赤く煌めいているぞッッッ!!!」
リベリオンvs魔王デウス、圧倒的白熱――ッッ!!
一方その頃ッッ!!
石畳の地面に激しく激突して昏睡していたワタルは、静かに覚醒したッ!
「うっ……ここは……ッッ!?」
混乱する頭を必死で働かせ、重いまぶたを開くワタルッ!
すると彼の目の前には――優しく微笑む、アリアの顔があったッ!
「良かった……起きたんですね、ワタルさん」
小鳥がさえずるように、静かに、丁寧に囁くアリアッ!
「あ、ああ……一体何が起こって……ッ!」
その時、彼は気付いたッ! 自分は今、正座するアリアの腕の中で横たわっているのだということにッ!
しかもワタルの全身が、ほのかに緑色に発光しているッッ!!
「これは……ッッ???」
「動かないでください、ワタルさん。今、魔法であなたの体を回復させています」
「そ、そうか……ッ!」
すなわち、この発光は彼女の魔法によるものッ!
「デウスの方は、どうなっているんだッッ???」
「リベリオンさんが闘ってくれています」
膝枕をされていたワタルは、少し頭を起こして前方を見据えてみるッ! すると、少し離れた場所でリベリオンとデウスが激しく闘っている光景が見えたッッ!!
「そ、そうか……アリア、リベリオン……2人とも、来てくれたんだな……ッ!」
「当たり前じゃないですか。いつだってそうしてきたんですから」
優しい笑みをたたえたまま返すアリアッ!
それを聞いたワタルは、嬉しさのあまり目頭が熱くなったッッ!!
そして彼女は一呼吸置くと、少し緊迫したような声色で続けるッ!
「いいですか、ワタルさん。あなたの体を、今急ピッチで回復させています。でもダメージがかなり大きいので、全快するまでかなり時間が掛かると思います」
そうッ! ワタルはデウスとの戦いを経て全身に致命的なダメージを負ってしまっていたッ!
そのため、回復にはかなりの時間を要するのだッッ!!
「……それまで、リベリオンはこらえてくれるだろうかッッ!!!???」
「分かりません。信じるしかありません」
研ぎ澄まされた集中力で回復魔法を使いながら、アリアは静かに言ったッ!
それを聞いたワタルは、静かに目を閉じ、口を開くッ!
「……はっきり言って、今回の戦いはかなりギリギリだッ! 俺はもしかしたら、デウスに負けるかも知れんッッ!!」
「……ええ、そうですね」
珍しく弱音を吐く彼に対して、しかしアリアは一切否定することなく頷いたッ!
「……俺に、あいつが倒せるだろうかッ?」
「ワタルさん、あなた、今までの人生で一度でも筋トレをしなかった日はありますか?」
アリアの突然の質問ッ! するとワタルはカッと目を見開き、堂々と答えたッ!
「ないッッッ!!!」
ワタルは、熱血武闘派の日本男児であるッ! この世に生を受けてから今日にいたるまで、一度たりとも鍛錬を怠ったことはないッッ!!
「いいですか、ワタルさん。それが答えです。あなたがデウスに勝てるかは分かりませんが……少なくとも、あなたは、一度として自分自身に負けたことはありません」
筋トレとはッ! 武術の鍛錬とはッッ!! 言うまでもなく、厳しく険しいものであるッ!
これまで、武の極みを目指す多くの猛者たちが、あまりの辛さからそういった訓練を投げ出し、逃げてきたッ!
それすなわち、“自分自身に敗北した”ということであるッ!
しかし――ワタルは、鍛錬を投げ出したことはないッ!
日本にいた時も、この異世界に来てからもッッ!!
一度として、「めんどくさい」「つらい」「疲れた」などと言って鍛錬を怠ったことはないッッ!!
ワタルは、一度として、“自分自身に敗北した”ことはないッッッッッ!!!!!
「デウスを倒せるのは、毎日休むことなく鍛え続けてきたワタルさんしかいません。あなたの本当の強みは、鍛え上げられた肉体ではなく、その強靭な“意志の力”なんです。ですから……私は、全ての希望をあなたに託します!」
「ああ……ッ!」
アリアの腕の中で、力強く頷くワタルッ!
「スカイ王国を、人類を、この世界を救ってください!」
「ああ……ッッ!!」
もう一度、仁王の形相で力強く頷くワタルッッ!!
そしてアリアは、彼の顔を見つめて叫んだッッ!!
「いきますよ……今、私にできる全力で、あなたの体を回復させます!!!」
すると彼の全身が、今までよりもまばゆい光で包まれたッッッ!!!
「おお……この力は……ッッッ!!!」
ワタルは、感じたッ!
全身を貫くように駆け巡る、温かい血流をッッ!!
確かなエネルギーをッッッ!!!
激しい脈動をッッッッ!!!!
そして――アリアの、いや世界中の人々の熱い思いをッッッッッ!!!!!
「ワタルさん……デウスを倒してくださいよ!」
徐々に回復していく体を見つめながら、ワタルは大口を開けて答えたッッッ!!!
「任せろッッッッッ!!!!!」
果たしてワタルはッ! リベリオンが倒される前にッッ!! 再び立ち上がることができるのだろうかッッッ!?!?
次回、「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part6ッッ!!)」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]熱血ドキュメンタリー~ボディビルダーの苦悩~……異世界転生出版