表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/138

第133話 「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part4ッッ!!)」

 前回までのあらすじ! 燃え盛るスカイ王国を舞台に、魔王デウスと激闘を繰り広げるワタル! するとデウスは魔王神拳奥義“覇王風月(はおうふうげつ)”を発動! 肉体を魔力によって極限まで強化し、ワタルを追い詰めるのであった! はたして、ワタルの運命や如何に!?











「絶望しろ……これが魔王の全力だ!!!」


「なん……だと……ッッ!!」


 錯覚だろうかッ? いいや、錯覚ではないッ!


 これは現実ッ!


 デウスの突きは確実にワタルの腹部を直撃し――そのまま彼は、勢いよく後ろに吹き飛ばされたッッ!!


「うわぁああーーーッッッ!!!」


 その距離、およそ50メートル! そして彼は、頭から石畳の地面に激突ッ!






 ドカーーーンッッッ!!!






 ワタル、昏睡ッ! 圧倒的昏睡ッッ!!


 衝撃によって道路は爆発し、辺りは砂埃に包まれたッ!


「はぁ、はぁ……ククク、ついにやったぞ! 私は、成し遂げた!」


 肩を激しく上下させて息を吐きながら、高らかに笑うデウスッ!


 なんということであろうか! ワタルが昏睡してしまったッ!


 恐らく死んではいないが、衝撃の展開である!


 この怒涛の最終回には、読者の皆様も熱い涙を流さずにはいられないッ!


 しかし、主人公が昏睡してしまったので、連載をこれ以上続けることは不可能だということをご理解いただきたいッッッ!!!


 さらばワタルッ! 君の133話にも及ぶ熱き戦いは、読者の心にいつまでも刻まれ続けるであろうッッッ!!!











 トラック受け止め異世界転生ッッッッッ!!!!!熱血武闘派高校生ワタルッッッッッ!!!!!











 完ッッッッッ!!!!!











「いや、まだだ……」


 デウスは鋭く目を細め、静かに口を開いた。


「私はまだ、ワタルの死体を確認していない……! それを確認するまでは、安心するわけにはいかない……!」


 彼はそう言うと、ワタルが吹き飛ばされていった場所に向かってゆっくりと歩きはじめる。


 そこは砂埃が激しく舞い上がっている地点なので、ワタルが今どういう状況なのか目視することができない。


 果たして、ワタルは――宿敵は、本当に死んでしまったのだろうか。


「さあ、ワタル……すべてを終わらせよう……!」


 白のロングコートを風にひるがえし、口角を吊り上げ、不気味に笑うデウス。


 ――と、その時。


「待て!!!」


 デウスの後方から、凛とした女性の声が響いた。


「……?」


 不審に思い、とっさに後ろを振り返るデウス。


 そしてそこに立っていた人物を見て、一瞬驚いたような表情をするが……しかしすぐに眉を引き締め、厳かに言葉を紡いだ。


「久しぶりだな……リベリオン」


 そこにいたのは、黒くとげとげしい甲冑に身を包んだリベリオンであった。彼女の長く美しい青髪が、風になびく。


「……魔王デウス。お前を殺しに来た」


 一切臆することなく、堂々とした態度で言い放つリベリオン。


「……フン。無様なものだ。一度は俺に忠誠を誓ったというのに、その俺に刃を向けるか」


 リベリオンはかつて、デウスを討伐するために戦いを挑み、敗れた。だが彼女の実力を評価したデウスは、リベリオンを魔王軍四天王の1人として迎え入れたのだ。


 だが結局彼女は、紆余曲折を経てワタルの側につくことを選んだ。


 名誉や誇りを重んじる騎士にとって、主人に刃を向けるというのは言うなれば“恥”である。


 そして今リベリオンは、かつての主人であるデウスに刃を向けようとしていた。


「回れ右をしてこの国を出ろ、リベリオン。今ならばまだ、昔のよしみで見逃してやらんこともない」


「お前を、殺しに、来た」


 リベリオンの表情は、全く変わらなかった。覚悟を決めたような顔で、デウスの全身をじっと見据えている。


「……(しゅん)で終わるぞ」


 デウスは冷たい声色でそう言って、魔王神拳奥義“覇王風月(はおうふうげつ)”を再び発動させた。


 どす黒く禍々しいオーラが、彼の全身を包む。


「……やってみろ」


 そしてリベリオンは腰の鞘から剣を抜き放ち、鋭利に磨かれた切っ先をデウスに向けた。


「……」


「……」


 一瞬の静寂。聞こえてくるのは、燃え盛る建物のパチパチという音だけ。


 先に動いたのは――デウスであった。






 ビュンッッッッッ!!!!!






 先程ワタルに見せたように、目にも止まらぬスピードでリベリオンの眼前へと高速移動するデウス。


 しかし……しかしッッ!!


 デウスの拳は、リベリオンには当たらなかったッ!


 何故かッッ!?


 それは、デウスの拳が当たるよりも早く、リベリオンのカウンターキックが彼の顎を捉えたからであるッッ!!


「~~~っ!?」


 デウスは顎に蹴りをくらいながら、驚愕していたッッ!!


(初撃が……蹴りだとっ!?)


 恐るべき先入観であるッ! 相手は剣を握っているのだから、最初の攻撃も当然剣によるものに違いないと、デウスはそう考えていたッ!


 だがリベリオンはその裏をかき、あえて剣を使わず蹴りで敵の出鼻をくじいたのだッ!


 完全に予想外の動きだったのでデウスは対応することができず、もろにその蹴りをくらってしまったッ!


「……やるな!」


 とはいえ、デウスは今全身を“覇王風月(はおうふうげつ)”によって強化しているッ!


 故に、この程度では大したダメージにはならないッ!


 素早く体勢を整えた彼は、大きく振りかぶってリベリオンの腹部に突きを放ったッ!






 ドスンッッ!!






 重々しい一撃が彼女の鎧に直撃ッ!


「うぐっ!」


 リベリオンは苦しそうに呻いたが、ギリギリでこらえて剣を振りかぶったッッ!!


「うおぉぉぉ!!!」


 眼前のデウス目がけて剣を垂直に振り下ろす!


 だが彼は目にも止まらぬ速さで姿を消し、リベリオンの背後へと移動したッ!


 そしてすかさず、彼女の背中にキックをかますデウスッ!


「くらえ!」


「!?」


 戦士の勘でその動きを巧みに察知したリベリオンは、機敏に体を180度回転させるとガードするように剣を構えたッッ!!






 ガキンッッッ!!!






 間一髪のところで、デウスの蹴りが彼女の剣の刀身に防がれるッ!


「主人を裏切って剣を抜くとは、恥知らずの騎士め!」


「忘れたのか、デウスよ! 私の名はリベリオン! その名前の意味は――“反逆”! だから私は、仲間を……ワタルを守るためなら、かつての(あるじ)にだって反逆するッ!」


 リベリオンは力強く言い放って後ろにジャンプし、相手と距離を取ったッ!


 そして剣を逆手で持つと刃の切っ先を地面に向け、独特の構えを見せるッッ!!


 この構えを見せるということはすなわちッ! リベリオンにとっての“全身全霊”を意味するッッッッッ!!!!!


「さあ、行くぞ……“反逆(リベリオン)”の始まりだ!!!」


 次回、「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part5ッッ!!)」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1]騎士の正しい構え方一覧……異世界転生出版

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ