第130話 「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part1ッッ!!)」
前回までのあらすじ! ワタルの連載が終了することを知ったワタルは驚愕したッッッ!!!
というわけでワタルは早速、アリアも自分の部屋に呼んでリベリオンから詳しい話を伺うことにしたッ!
円を描くような形で床に座った3人は、皆一様に険しい顔をしているッ!
突如連載終了が言い渡されたのだから無理もないッ!
しばらく沈黙が続いたが、リベリオンが意を決して口を開いたッ!
「えー、というわけで……この小説は次のエピソードで最終回だ」
「ちくしょうッッッ!!! 何故だッッッ!!!」
仁王の形相で叫ぶワタルッ!
「しょうがないだろうワタル。作者の都合だ」
たしなめるような口調で言うリベリオンッッ!!
「そういうことなら仕方ないかッッッ!!!」
ワタル、納得ッ!
するとここまで沈黙を守っていたアリアが、神妙な面持ちでしゃべりだした!
「でもこの小説、まだかなり伏線残してますよね? 暗黒武術協会のカルマさんとの因縁とか、邪道院家との因縁とか……」
「そうだそうだッッ!! そういえばかなり前に“呪われし遺物”みたいなやつも出てきただろッ! あれめちゃくちゃ今後の展開にも絡んできそうな感じだったのに、あれから一切音沙汰なしじゃねぇかッッ!!」
「いや、そこら辺は作者も“ネタがなくなった時にでもやればいいや”程度にしか思ってなかったやつだし、なんなら伏線でも何でもないから忘れていいぞ」
あっさりと言ってのけるリベリオンッ!
「エッ!? そうなのかッッ!?!?」
そうなのであるッッ!!
「じゃあ肝心の最終回では何やるんですか?」
「なんかこう……めっちゃ最終回っぽい展開が起こるところまで一気に時間を飛ばして、良い感じに締めるっていうのはどうだ?」
「めちゃくちゃふんわりしてるなッッッ!!!」
ワタルは仁王の形相で叫んだッ!
「でもそれしかありませんね。尺の都合もありますし、とっととやっちゃいましょう」
こうして、ワタル最終回の幕が開けたッ!
――そして、3年の月日が経った――
今、スカイ王国は戦火に包まれていたッ!
一体何故ッ!? そう驚かれてしまう読者の方も多いだろうッ!
実は、数日前になんやかんやあって奇跡の復活を遂げた魔王デウスが、再びウィンド大陸中の魔物たちを集めて魔王軍を結成したのだッ!
そして自分を倒した憎きワタルに復讐を果たすため、彼の住むスカイ王国へと大軍を引き連れて攻め入ってきたのであるッ!
軍の総数は約80ッ! 種族はオークやゴブリン、スケルトン、サイクロプスなど多種多様であるッ!
本来“仲間意識”というものを持たない魔物たちをここまで従えるとは、やはりデウスのカリスマ性は計り知れないッ!
「フハハハハーーー!!! お前たち、このスカイ王国を燃やし尽くしてやれーーー!!!」
魔物たちの大軍の先頭に立ってそう叫ぶのは、他でもない魔王デウスッ!
魔族特有の紫色の肌と目鼻立ちのくっきりとした堀の深い顔は、復活した今も健在であるッ!
その全身には以前同様純白のロングコートを羽織っており、瞳はワタルへの復讐に燃えていたッ!
「うおーーー!!!」
「やっちまえーーー!!!」
「汚物は消毒だーーー!!!」
デウスの後ろに控えていた大勢の魔物たちが、鬨の声を上げながら弓矢を構えるッ!
矢の先端には火がついており、デウスの掛け声に合わせて一斉に火矢を放ったッッ!!
鋭く空を切る矢はスカイ王国の家々に突き刺さり、一瞬にして火が燃え広がっていくッ!
この街の建物はほとんどが木造なので、火には弱いのだッ!
「きゃーーー!!!」
「うわーーー!!!」
「逃げろーーー!!!」
為す術もなく逃げ惑うスカイ王国の住民たちッ! 今、王国に未曾有の危機が迫っていたッ!
このままでは、栄華を誇った国が一夜にして灰と化してしまうッ!
――と、その時ッ!
「俺ならここだッッ!!」
「む!?」
デウスの目の前に、1人の男が現れたッ! そう、彼こそが――熱血武闘派の高校生・ワタルであるッ!
「魔王デウス……まさか復活していたとはなッ!」
「ワタル……ククク、また会えて嬉しいぞ!」
燃え盛るスカイ王国を背景に、鬼の形相でにらみ合うワタルとデウスッ!
その状況で先に口を開いたのはワタルであった!
「デウスよッ! 俺に復讐をしたいのであれば、1対1で闘えばいいだろうッ! なぜ大軍を引き連れてこんなことをするんだッッ!! 街に迷惑をかけるなッッッ!!!」
「フハハハハ! 馬鹿なことを言うなワタル! ただ倒すだけでは復讐にはならんだろう! お前が住むこの街ごと焼き払い、お前の大切な居場所をなくす! そこまでして初めて、私の復讐は完了する!」
「ゲスめ……ッ!」
歯を食いしばり、絞り出すように言うワタルッ!
(今、アリアやリベリオンたちが必死に街の消火活動をしてくれているッ! 俺はとにかく、デウスと後ろにいる魔物たちの大軍を食い止めなければ……ッ!)
しかし、いくらワタルでも魔王デウスと80体の魔物たちを同時に相手取るのは困難ッ! 圧倒的困難ッッ!!
(い、一体どうすれば……ッ!)
まさに絶望的状況であるッ!
これまでに数々の冒険で伝説を打ち立ててきたワタルであっても、1人でこの窮地を乗り越えることはできないッ!
――そう、1人ではッッ!!
「ワタルよ、貴様もついに年貢の納め時だな……!」
デウスがそう言ってほくそ笑んだ、まさにその瞬間ッ!
彼らの後方からドスン、ドスンと激しい地響きが聞こえてきたッ!
「なんだ……?」
「ん?」
不審に思い、後ろを振り返る魔物たちッ!
するとそこにいたのはなんとッ!
「 ギ ャ オ ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! 」
全長6メートル程の、巨大なティラノサウルスであったッッ!!
そう! あのティラノサウルスは、第123話で登場した大陸最後の恐竜・ギラであるッ!
最初は人類を滅ぼそうと考えていたギラであったが、巨大ロボットに乗ったワタルと闘った後改心し、ラモンと一緒に魔物研究所で暮らすようになったのだッ!
『ワタルよ! 助けに来たぞ!』
ワタルにテレパシーで語り掛けてくるギラ! そして彼はそのまま、魔王軍の魔物たちに向かって突進してきた!
「な、なんだあの怪物は!?」
魔物たちは驚きに目を見開き、隊列を崩して蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うッ!
「おお、助かったぜギラッ! ありがとうッ!」
大声で感謝の気持ちを叫ぶワタルッ! ギラはそれにこたえるように頷くと、逃げる魔物たちを容赦なく追いかけ回すッ!
「くそ、まさかこんなやつがいたとは……!」
デウスは悔しそうに拳を握りしめた!
そしてワタルをキッと睨み付けると、
「とにかく、貴様さえ倒せば我々の勝利は確実だ! 覚悟してもらおうか!」
と怒鳴ったッ!
それを聞いたワタルは腕を組み、仁王の形相で口を開くッ!
「望むところだッッ!!」
次回、「驚天動地の最終回!さらばワタルッ!(Part2ッッ!!)」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]初心者作家向け・正しい伏線の回収法……異世界転生出版