第13話 「ワタルの方が！もっとやべえッ！」
前回までのあらすじ！
ついに始まったワタルと魔王デウスの一騎打ち！しかしワタルは終始劣勢！もはやこれまでかと思われたその瞬間！ワタル、覚醒！爆熱猛怒発動！！！
「さあ行くぞッッッッッ！！！！！」
髪を逆立たせ、全身を赤いオーラに包んだワタルが叫ぶ！
「武ッッッッッ！！！！！」
ワタルの時速2000キロを超える正拳突きッ！
「くっ！」
デウスは寸でのところでその攻撃を避けたが、風圧だけで頬にかすり傷がついたッ！
「おのれ……私の肌に傷をつけるとは！」
そう言って彼はワタル目がけてパンチを連打ッ！両手のこぶしをフルに使ってワタルに攻撃ッ！
だがッ！
「無駄だぜ……ッ！」
「な、なにいィィーーー！！」
なんという事だ！ワタル、直立不動ッ！デウスの連続攻撃をくらいつつもなお直立不動ッッ！！その体勢はまさしく体育の授業中に「気を付け」をしている勤勉な学生のそれと同様ッッッ！！！
「あんたは拳を魔法エネルギーで包んで強度を上げているようだが……俺はそれよりもさらに上、“全身を熱血エネルギーで包んで強度を上げる”という荒業をやってのけている……だからあんたに勝ち目はねえ……ッ！」
「……は？」
ワタルは決め顔だが言っている意味はまるで分からないッ！デウスも思わず困惑ッ！
「だ、だが攻撃がまったく効かないのは間違いないな……」
するとデウスは攻撃する手を止め、後ろに瞬間移動ッ！一旦ワタルと距離を取ったッ！
「そういえばワタル……貴様、さっき“ばくねつもうど”などと言っていたが……あれは何なのだ……？」
「ふん……戦闘中に技のネタばらしをべらべらしゃべる奴がいると思うか？」
「ふむ、たしかにな」
だがこのまま進まれては読者の皆様が困るのでここで解説しよう！“爆熱猛怒”とは一子相伝の最強流派“爆熱流”に伝わる奥義の一つである！
（※爆熱猛怒……己の肉体に眠る熱血エネルギーを全て解放し、全身の筋肉を極限まで強化する。しかし爆熱流は一子相伝の流派ゆえまだ細かい部分はわかっていない）
「さて……ではそろそろ、決着をつけるとするか……ッッ！！」
「フッ！そう簡単にやられる私ではない！」
そう言うとデウスは両手を天に掲げた！そしてグッと力を込めるッ！すると両手にまとった黒いオーラの量が倍増ッ！拳の強度がさらに増したッ！
「いくぞ！」
魔王デウスが叫びつつワタルに飛び掛かるッ！
がッッ！！
しかしッッッ！！！
「“弱い”こぶしを俺に向けるなッ！」
デウスの拳はワタルには届かなかったッ！
なぜかッ！
それは、ワタルのカウンターアッパーが見事にデウスの腹にクリーンヒットしたからだッ！
そしてデウスはそのまま空中に吹き飛ばされたッ！
「な、なんだこの感覚は！体が熱いぞ！」
「たった今……俺は拳を通してあんたの肉体に“熱血エネルギー”を注ぎ込んだッッ！！常人であればッ！その圧倒的なまでの熱血エネルギーには耐えられないッ！」
デウスの体が勢いよく上昇していき、気付けば高度800メートルに到達ッッッ！！！
「ゆえにッッ！！」
「！？こ、これは……！」
デウスが突如高度800メートルの地点で悶えだしたッ！
「あんたはッ！灰になるッッッ！！！」
「ば、馬鹿な……！ 馬鹿な……………………！！！！！」
そして、魔王デウスは上空で灰になったッ！その灰は空中で霧散ッッ！！跡形もなくなったッッッ！！！
「魔王デウス……なかなか手強い相手だったぜ……ッ！」
一方その頃ギャラリー達はッ！
「そ、そんな……！」
「嘘だろ……？」
「まさか、魔王様が人間にやられるだなんて！」
完全に意気消沈ッ！魔物たちはリーダーを失い絶望していた！！！
やがて一人、また一人と荒野に向かってとぼとぼと歩き出すッ！
「リベリオンさん、この魔物たちは一体どこへ？」
「私にもわからん。魔物とは本来統率に欠けた種族が多いからな、リーダーである魔王デウス様がいなくなった以上、放浪の旅に出るまでさ」
そして魔物たちが全ていなくなった頃ッ！城から多くの人間たちが出てきたッ！
あれは、世界各地から連れ去られていた人間たちッ！
「ああ！お父さん！お母さん！」
アリアはその人々の中から両親を発見ッ！
「おお、アリアじゃないか！」
「アリア！」
そしてアリアは、両親とがっしりと抱き合ったッ！
「う……うぐぅ……ッ！」
爆熱猛怒を解除させいつもの状態に戻ったワタルは、アリアたちの様子を見て涙を流していたッ！親と子の感動の再会を目にして泣かない人間などいないッ！熱血武闘派の彼であればなおさらッ！
そして気が付くと、ワタルの横にはリベリオンが来ていたッ！
「ワタルよ。君は本当にすごい男だな。まさか、あの魔王を本当に倒してしまうとは……正直、驚いているよ」
ワタルは涙をぬぐって言うッ！
「俺はいつだって頂点を目指すッ！それだけだッ！ところでリベリオンはこれからどうするんだ？？？」
「そうだな……放浪の旅にでも行くとするよ。私も、君のように最強を目指してみたくなった」
そう言ってリベリオンはワタルに微笑みかける！可愛い！！
「そうかッッ！！挑戦ならいつでも相手になってやるぜッ！」
ワタル、笑顔でガッツポーズッ！
これにて一件落着、圧倒的めでたしッッッッッ！！！！！
しかし、今の彼は知る由もなかったッ！
魔王を倒したことで、あのような事態に陥ってしまうとはッ！
次回、「烈風怒涛の新章開幕！挑戦状なら受けて立つッ！」に続くッッッ！！！
・参考文献
[1]爆熱流、その真相に迫る……異世界転生出版
