第128話 「奥の手!掟破りのビームライフルッ!」
前回までのあらすじ! かつて勇者として育てられていたアステラは、先に魔王を倒してしまったワタルに対して強い怒りを持っていた! というわけでワタルに決闘を挑むアステラ! しかし、彼の自慢の武器である“聖剣エクスカリバー”は、ワタルには全く通用しなかった! 果たして、この闘いの行方や如何に――!?
「もう諦めろ、アステラッ!」
巧みな蹴りで相手の武器を弾き飛ばしたワタルは、大声で叫んだッ!
しかしアステラは首をブンブンと横に振るッッ!!
「まだだ! 俺はまだあきらめない!!!」
すると彼は、懐から“ある物”を取り出したッ!
「これが……俺の“奥の手”だ!!!」
「武ッ!? ……な、なんだそれはッ!?」
ワタルが驚くのも無理はないッ!
なぜならアステラが懐から取り出したのは、どこからどう見ても“アサルトライフル”だったからだッッ!!
無論、「異世界に高性能なアサルトライフルが存在するのはおかしい」という読者の皆様の考えも理解できるが、今一度冷静に考えてほしいッ!
それは偏見であるッッ!!
「はっはっは! 驚いたか!」
黒光りする全長0.6メートル程の武骨なライフルを両手で構えながら、得意げな表情を見せるアステラッ! そのライフルは非常に重そうだったッ!
「しかも、これはただのアサルトライフルじゃない! 高度な科学技術を持つドワーフ族につくらせた、最先端の“ビームライフル”なのだ!!!!!」
「な、何ィーーーーーーーーーッッッッッ!?!?!?!?!?」
ワタル、驚愕ッ!
無論、「百歩譲ってアサルトライフルは許せる、でも流石に異世界にビームライフルが出てきてしまうのはおかしい」という読者の皆様の考えも理解できるが、今一度冷静に考えてほしいッッ!!
それは、偏見であるッッッッッ!!!!!
「覚悟しろワタル! 俺はこのビームライフルでお前を倒すぞー!」
彼はそう言って、ライフルの銃口をワタルに向けたッ!
ここで読者の皆様に説明しておくが、ビームライフルから射出されるビームの速度は当然ながら実弾火器のそれよりも速いッ!
故に、どれだけ実践慣れしているワタルであろうと、ビームライフルによる攻撃を避けるのは至難の業であるッ!
「くらえーーー!!!!!」
そしてアステラは、満を持してビームライフルの引き金を引いたッ!
それと同時に、銃口からまばゆいピンクの閃光が放たれるッ!
「武……ッ!」
目にも止まらぬスピードで空を切る閃光は、そのままワタルの胸へと迫っていくッ!
ワタル、危うしッ!
――しかし、読者の皆様には安心していただきたいッ!
ワタルはやはり最強なのであるッッ!!
「破ッッッ!!!」
シュンッッッ!!!
鋭く息を吐いたワタルは、反復横跳びの要領で横に跳んだッ! 間一髪のところでビームライフルの一撃を躱すッ!
そしてそのまま真っ直ぐに進み続ける閃光が、ワタルの後方に立っていたアリアの眉間を貫いたッッ!!
「ぐぎゃあああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あ、アリアーーーッッッ!!!」
な、なんということだッ!
ヒロインの頭がビームライフルに撃ち抜かれてしまったッッ!!
「大丈夫かアリアッ!」
慌てて彼女の元に駆け寄るワタルッ!
「大丈夫です、回復魔法使えるんで……ゴフッ!」
アリアは口から血を吐きながら答えた! そして緑色に光る両手を額に当て、傷を癒していくッ!
そうッ! 彼女は回復魔法が使えるので、頭に穴が開いたぐらいでは死なないのだッ!
「良かったぜ……ッ!」
ワタル、ホッと一安心ッ!
そしてアステラの方を向くと、仁王の形相で睨み付けたッ!
「アステラ、お前……ッ! 許さないぞ……ッッ!!」
「ひぃっ……!?」
彼の眼光におびえるアステラッ!
するとワタルは一気に地面を蹴り、目にも止まらぬ速さでアステラの背後へと回り込んだッ! そのスピードは、先程のビームライフルの閃光よりも速かったッッ!!
「な、なんだと!?」
後ろを振り向きながら、驚きのあまり手に持っていたビームライフルを落としてしまうアステラッ!
「なんだ今の瞬間移動は……!? お前、魔法が使えるだなんて聞いていないぞ!!」
それを聞いたワタルは、憤怒の形相で告げたッ!
「魔法じゃねぇ……ッ! 今のは、ただ単に“速く動いただけ”だッッ!!」
「なんだと~~~!!!???」
かつて、イギリスのSF作家アーサー・C・クラークは言ったッ!
“高度に発達した科学は、魔法と見分けがつかない”とッ!
だがワタルの場合はこうだッ!
“高度に発達した武術は、魔法と見分けがつかない”ッッッ!!!
確かに、先程のビームライフルの一撃は速かったッ! だが……断言せねばなるまいッ!
ワタルの方がはるかに速いッッッ!!!
「奮ッッッッッ!!!!!」
気合一閃ッッッ!!!
ワタルは、相手のだらしない腹に向かって強烈な正拳突きを放ったッッッ!!!
「うぐえぇーーー!?」
衝撃的な痛みに目を見開き、そのままバタリと地面に倒れるアステラ!
「もう諦めろ、アステラッッッ!!!」
「うぐぐ……私は……まだ……」
――と、その瞬間ッ!
噴水広場に突如、謎の男の声が響き渡ったッ!
「そこまでだ! もうやめろ!」
「――そ、その声は――!?」
眉間にしわを寄せ、声がした方向に時速300キロのスピードで振り向くワタルッ!
なんと、そこにいたのは――ッッ???
次回、「まさかの乱入!山田ジェイコブッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]SF大百科・ビームライフル編……異世界転生出版
[2]よく分かる科学入門:ビームの速さ……異世界転生出版
[3]SF作家の名言集……異世界転生出版