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第127話 「逆ギレ!恐ろしきアステラッ!」

 前回までのあらすじ! ワタルは最後の恐竜・ギラと無事に和解した! 圧倒的めでたし! ……と思いきや後日! アステラと名乗る謎の男がワタルに戦いを挑んできた! 果たして、この怪しい男は一体何者なのだろうか!?











「俺の名はアステラ! オーシャン王国で勇者として育てられたが、お前のせいで国から捨てられた男だ!!!」


 全身を怒りに震えさせながら、大口で名乗るアステラッ!


 それを聞いたワタルは、仁王の形相で叫んだッッッ!!!


「知るかーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」


「なんだとーーーーー!!!!! ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………いや、それもそうか」


 いきなり冷静になるアステラ。


「なんなんですかこの人。いきなり冷静になりましたよ」


 アリアは不審者を見るような目で言った! 事実、不審者である!


「改めて名乗ろう、俺の名はアステラ。オーシャン王国で勇者として育てられたが、お前のせいで国から捨てられた男だ」


「いや、それはさっきも聞いたが……そもそもなんで俺のせいで国から捨てられるんだッ!」


 もっともな疑問だッ!


 するとアステラは、少し涙目になりながらここまでのいきさつを語り始めた……ッ!


「説明しよう! 7年前……俺がまだ二十歳ぐらいだった頃に、人類せん滅をたくらむ魔王、デウスがこの大陸で頭角を現し始めた!」


 魔王デウス! ワタルが第13話で早々に倒してしまった、あの魔族の男のことである!


「それで私の住んでいたオーシャン王国は、魔王デウスを討伐するために“勇者育成計画”を始めたのだ!」


「ちなみに、オーシャン王国というのはウィンド大陸の西部にある国のことです。スカイ王国の次に繁栄している場所なんですよ」


 圧倒的説明セリフッ! 解説ありがとうアリアッッッ!!!


「そんなわけで、当時国一番の実力を持つ剣士だった俺は、この計画に選ばれた! それからはずっと、魔王デウスを倒す勇者となるために厳しい訓練を受け続けたのだ! ……なのに!」


 そこで急に語気を強めるアステラ! そして彼は、ビシッとワタルを指さしたッ!


「貴様が! いきなり現れたどこの馬の骨とも分からぬ貴様が、魔王デウスを倒しやがった! そのせいで完全に用無しとなった俺は、国に捨てられてしまったんだ!」


「何ですかそれ。完全に逆恨みじゃないですか」


「うるさい!」


 顔を赤らめて叫ぶアステラ!


「だが、勇者となるために訓練を積んだんだろッ? だったら、その腕を活かして傭兵をするなり狩人になるなり、他の道に進めばいいじゃないかッッ!!」


 ワタル、圧倒的正論ッ! しかし目の前の男に正論は通じないッ!


「嫌だ! 俺は勇者になりたいんだ! 魔王を倒して周りからチヤホヤされたかったんだ!」


「ワタルさん、帰りましょう。このおじさんとはこれ以上関わらない方が良いです」


「そうだなッッ!!」


 というわけで、(きびす)を返して帰宅しようとするワタルとアリアッ!


 するとアステラは泣きながら叫んだッ!


「ま、待ってーーー!!! 待ってくれ! 俺の話を聞いてくれ! お前らに俺の悲しみが分かるか? 国の奴らは俺に期待していたのに、魔王が他人に討伐された途端手のひらを返したように俺のことを蔑んできたんだ! この(つら)さがお前らに分かるのかーーー!?!?」


「どうします? ワタルさん」


「ハローワークに連れていくかッ!」


「そうですね!」


 というわけで、アステラの両腕を掴んでスカイ王国の職業紹介所に連れていこうとするワタルとアリアッッ!!


 すると彼は2人の腕を激しく振り払い、


「やめろ!!!!! 俺は真面目に働きたくなんかない!!!!!」


と叫んだッ!


「とことんクズですね、こいつ」


 困ったような表情で呟くアリア!


「というわけでワタル! 俺と闘え!」


「武ッ????? なんでそうなるッ!!!!!」


「魔王を倒したお前を倒せば、俺はまた国の皆に認めてもらえるからだ!!」


 アステラはそう言って、背中に担いでいた長大な剣を鞘から引き抜いたッ!


 スラリと伸びた美しい刃が、太陽の光を反射して輝くッ!


「この剣の名は“聖剣エクスカリバー”!! 俺がまだ勇者となるため修行していた頃に、国が武器の鋳造・鍛錬において確かな技術力を誇るドワーフ族に高~~~いお金を支払ってつくらせた、最強の剣!! こいつでワタルを倒す!!!」


 それを聞いたアリアが、眉間にしわを寄せたッ!


「……って言ってますけど……どうします? ワタルさん」


「しょうがない、とっとと倒して諦めてもらうか」


 言うが早いか、ワタルは腰を低く落としてファイティングポーズを取るッ!


 その構えには、一瞬の隙も存在しないッ!


「クックック、やっとやる気になったか、ワタル!」


「アリア、下がってろッ!」


「はい!」


 アリアがそう返して距離を取るのと同時に、剣を握りしめたアステラが行動を開始! ワタル目がけて突進してきたッ!


「うおぉぉぉ!!!」


 小太りな体型ではあるが、その動きは俊敏であったッ! やはり、曲がりなりにも勇者となるため育てられただけのことはあるということだッ!


 ――しかしッ! 毎日欠かさず鍛錬をこなしているワタルにとっては、アステラの動きなどスローモーションに等しいッッ!!


「喝ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 鋭い雄たけびをあげたワタルは、その場でピョンとジャンプしたッ!


 そして空中で素早くキックをし、アステラの得物を激しく蹴り上げるッ!


「な、何ィーーー!?」


 アステラ、驚愕ッ! 勢いよく彼の手を離れた聖剣は、無様に宙を舞って地面に突き刺さったッ!


 ここで読者の皆様に解説しよう! 今の攻撃は、古代インドで編み出されたカラリパヤットの技の一種、“熱血アガスティア・キック”であるッ!


(※熱血アガスティア・キック……インド南部のケララ地方で生まれた武術・カラリパヤットには、多彩な蹴り技があることで有名である。その技の一種である熱血アガスティア・キックは、熱血エネルギーを込めた蹴りを敵の持つ武器に命中させ、弾き飛ばすカウンター技として伝えられている。余談ではあるがカラリパヤットは“動くヨガ”と言われており、この武術を完璧に会得すれば自在に腕を伸ばしたり口から火を吹いたりすることができるようになる。とは言え、政府の調査によると現在カラリパヤットを“完璧に”会得している者はインド国内でも4人程しかおらず、ワタルですらまだ神髄には到達していない)


「くっ、まさか剣を弾き飛ばされてしまうとは……」


 驚きに目を見開きながら言うアステラ!


「もう諦めろ、アステラッ!」


「まだだ! 俺はまだあきらめない!!!」


 すると彼は、懐から“ある物”を取り出したッ!


「これが……俺の“奥の手”だ!!!」


 果たして、アステラの奥の手とは一体……ッ?????


 次回、「奥の手!掟破りのビームライフルッ!」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1]異世界聖剣大百科……異世界転生出版


[2]カラリパヤットの歴史……異世界転生出版


[3]図解で分かりやすい!カラリパヤットの技一覧!……異世界転生出版

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