第123話 「異世界の暴れん坊!ティラノサウルス登場ッ!」
前回までのあらすじ! ナンパタイムアタックに苦戦するワタルは、“秘術・捕主徒拳”を使って一気に形勢逆転! ギリギリのところで元カリスマホスト・ジェイに勝利するのであった! 良かったね!
バトル終了から1時間後!
ナンパした女性をしっかりと家まで送り届けたワタル一行は、シーモアのホストクラブ“ホワイトローズ”へと戻ってきたッ!
そして睨みあうシーモアとジェイッ!
「くっ……! まさかこの俺様がホストバトルで素人に負けるとは、一生の不覚……! だが俺も男だ! 約束は守ろう!」
悔しそうに歯ぎしりをしながら続けるジェイッ!
「約束通り、シーモアの店から引き抜いたホストは全員返してやる!」
「うふふ、そうこなくっちゃねぇ~~~! おーっほっほっほ~~~!」
シーモアは、腰に手を当てて優雅に高笑いをした!
「だがなシーモア! まだ全てが終わったわけじゃない! これからも “ゴールデンウィーク”はお前の店の向かいで営業を続けるんだからな!」
そうッ! シーモアの店にホストは戻るが、かと言ってジェイの店がつぶれるわけではないッ! これからも営業していくのだッ!
「ええ、そうね! だからこれからは正々堂々と、どちらが優れたホストクラブなのかを競っていこうじゃない!」
「ふん! ……覚えていやがれ!」
ありきたりな捨て台詞を吐いたジェイは、金色のスーツをきらめかせながら足早に店を出ていくのであったッ!
「ふー、うるさいのは出ていったわね。さて……と!」
シーモアはそう言って、ワタルの方をクルリと向くッ!
「ワタルちゃん! 今回はありがとうね!」
「いえいえッ! お役に立てて良かったですッッッッッ!!!!!」
ワタルは大声で叫んだ……ッッッッッ!!!!!
「ねえワタルちゃん。よかったらこれからも、うちで働かない? さっきのナンパバトルで見せた、いや“魅せた”あの技……あれがあれば、間違いなくスカイ王国繁華街のナンバーワンホストになれるわよ!」
しかしワタルは……時速150キロで首を横に振ったッ!
「お誘いは嬉しいですが、俺は武闘家なのでッ!」
「そう、残念だわ……」
シュンとするシーモアッ!
とはいえこの小説は全年齢対象の作品なので、いつまでもホストクラブを舞台にした大人向けエピソードを書いていくわけにはいかないッ!
小さい子どもからお年寄りのみなさんまで、老若男女に愛してもらえる作品にならなくてはならないのだッ!
故に、ホスト編はここまでであるッ!
「それじゃシーモアさん、私達はもう帰るよ」
リベリオンはそう言って、ワタル・アリアを連れて出口へと向かうッ!
「ええ! また来てちょうだいね、皆!」
「ああ!」
コクリと頷くリベリオン!
「はい!」
それに続くアリア!
「はいッッ!!」
丁寧にお辞儀をするワタルッ!
こうして、ワタル達3人はホストクラブ“ホワイトローズ”を後にしたッ!
無論これからもホワイトローズとゴールデンウィーク、2つのホストクラブの勢力争いはこの繁華街で続いていくわけだが……それはまた、別のお話なのであるッッ!!
めでたしめでたしッッ!! 圧倒的めでたしッッッ!!!
数日後ッ!
ワタルがいつものように部屋で筋トレをしていると、いきなりドアを開けて1人の男が入ってきたッ!
「大変だワタル君ッ!」
「武……ッ?」
時速300キロで腕立て伏せをしていたワタルは、その動きを止めて突然の侵入者を凝視するッ!
上半身に羽織った長袖の白衣に、可愛らしい童顔! そして寝癖そのままのぼさぼさ頭ッ!
そうッ! 彼の名は……
「誰だっけお前ッッッ!!!」
「ラモンだ!」
ラモンッッッ!!!
たぶん31話ぶりぐらいの登場であるッッ!!
「久しぶりだなラモンッ! お前のことを忘れた日は一度としてないぞッッ!!」
ワタルは仁王の形相で叫んだッ!
「そんなことよりもワタル君! スカイ王国に滅亡の危機が近付いているぞ!」
「またかッ!」
「詳しいことは研究所で話す! 一緒に来てくれ!」
「よし分かったッ!」
こうしてワタルは、スカイ王国滅亡の危機と戦うことになったッ!
ワタルを研究所内の一室に連れてきたラモンは、早速懐からタブレットPCを取り出したッ!
そして画面に映し出された映像をワタルに見せつけるッ!
「な……なんだこれはッ!」
思わず目を疑うワタルッ!
なんとタブレットPCの画面には、巨大な生物が森の中を闊歩する映像が映し出されていたのだッッ!!
長い尻尾を振り乱しながら前かがみで歩くその生物は、ワタルにとって非常に見覚えのあるものであったッッ!!
「これは……ティラノサウルスッッッ!?!?」
これには思わず読者の皆様も驚愕ッ!
なんと異世界にティラノサウルスが現れたッ!
「ティラノサウルス……? ワタル君、君はこの謎の魔物のことを知っているのかい!?」
「えッ!? あ、ああッ! まあなッッ!! 俺が生まれた地方で、かつて存在していたとされる珍しい魔物なんだッッッ!!!」
説明しよう! 最近忘れがちな設定ではあるが、ワタルが異世界……すなわち日本からやってきたということは、この世界ではアリアしか知らないッ!
それ以外の人々には、ワタルは“遠くの地方から武者修行としてやってきた旅の武闘家”として認識されているのだッ!
「そうか、こいつはティラノサウルスというのか……実はこの巨大な魔物が、今ものすごいスピードでスカイ王国に向かってきているんだ! このままだと皆が危ない!」
「なるほどッ! それで、俺にこいつを討伐して欲しいというわけだなッ!」
「そうだ!」
ラモンは力強く頷いたッ!
「よーし、早速行ってくるぜッッ!!」
「いや、待ってくれ! こういう事もあろうかと、ちゃんと“秘密兵器”を用意しておいたんだ! 是非活用してくれ!」
「武ッ!? “秘密兵器”……だと……ッ!? 一体それは何なんだッ!?」
ワタルが尋ねると、ラモンは待ってましたと言わんばかりにニヤリと微笑んだッッ!!
「改良に改良を重ねて完成した巨大ロボ……“熱血騎兵グレートガイMk-Ⅱ”だ!!!」
次回、「緊急発進!熱血騎兵グレートガイMk-Ⅱッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]決定版!異世界恐竜図鑑!!……異世界転生出版
[2]よく分かる!ティラノサウルスの特徴!!……異世界転生出版