第12話 「やべえ!魔王めっちゃやべえッ!」
前回までのあらすじ!小説レビュー対決に見事惨敗したワタルは、無理やりブッカーを撃破した!するとその一部始終を影で見ていたクールなイケメン、魔王デウスが登場!捕らえられた人間たちを解放するために、ワタルが戦いを挑むッ!
荒野でにらみ合うワタルとデウス!それを少し離れた場所から見守るアリアとリベリオン!
「では……行かせてもらおうか……」
そう言ってデウスが両手に力を込めると、拳が黒いオーラに包まれていくッ!
「な、なんですかあの技は……!」
心配そうに口を開くアリアッ!
「まさか、あの技は……!」
「知っているんですかリベリオンさん!」
リベリオンは力強く頷いたッ!
「あれは魔王デウス様の定番の技!魔王神拳奥義、“硬手”!魔法のエネルギーを両手に集中させることで、拳の強度を極限まで高めるという恐ろしい技だ!」
魔王デウス、相手にとって不足なしッ!敵が強ければ強いほど、ワタルのポテンシャルは発揮されていくッッッ!!!
「でりゃあぁ!!」
デウスが気合いと共に右ストレートを繰り出す!
「喝ッッッッッ!!!!!」
ワタル、負けじと左ストレートで応戦ッ!デウスの右こぶしとワタルの左こぶしが激突ッ!
ゴォォォンッッッッッ!!!!!
凄まじい衝撃ッ!吹きすさぶ強風ッ!ついでに吹き飛ばされる気絶したブッカーッ!
「拳が激突しただけでここまでの衝撃とは……凄いな……!」
リベリオンは感嘆の声をあげるッ!
そしてこの騒ぎを聞きつけた魔物たちが、一斉に城から出てきたッ!
「おい、なんだこれは!」
「すげえ!魔王デウス様が人間と戦ってるぜ!」
「へへっ、人間如きがデウス様にかなうはずねえ!」
「「「デウス様ー!がんばれー!」」」
気が付けば、アリアとリベリオンの後ろには魔物たちでごった返していたッ!
「「「デーウース!デーウース!」」」
辺りに響き渡るデウスコールッ!ワタル、圧倒的アウェーッッ!!
「うわあ、なんか凄いたくさんの魔物たちがやってきちゃいましたねぇ……とりあえず私達も流れに乗っておきましょうか。デーウース!デーウース!」
「うむ。それもそうだな。デーウース!デーウース!」
アリアとリベリオン、その場のノリでデウスコールに参加ッ!もう誰もワタルを応援していないッ!
だがッ!ワタルはそんなことは気にしないッ!
「ふんッ!ふんッッ!!フンッッッ!!!」
デウスの時速700キロのパンチを寸でのところで躱しつつ、隙を見て時速790キロのキックをかますッ!しかしデウス、瞬間移動でワタルの背後に移動ッ!
「なにぃ!?」
「くらえ!」
デウス渾身の正拳突きッ!時速800キロのスピードでワタルの背中にクリーンヒットッ!これは痛いッ!
「ぐはぁッッッッッ!!!!!」
ワタルはそのまま時速890キロのスピードで地面にどさりと倒れたッ!その衝撃で地面に巨大なクレーターが完成ッ!
もう早すぎて意味が分からないッッッ!!!
「ふはははは!ワタルよ、貴様の力はこんなものか?」
デウスは高らかに笑ったッ!
「どうだ!人間がデウス様に勝とうなんざ100年早いぜ!」
「デウス様ー!そのまま愚かな人間にとどめを刺してやれー!」
「「「デーウース!デーウース!」」」
再び巻き起こるデウスコール!アリアとリベリオンもノリノリでコールしている!
「ククク……いいだろう……」
するとデウスは、クレーターの中心でうつぶせに倒れるワタルにゆっくりと歩み寄る!
「ワタル……貴様のスピードはなかなか悪くなかったが……私の退屈を紛らわすには、少々物足りなかったよ……」
そしてッ!彼の元に到達したデウスはッ!黒いオーラに包まれた手刀をッ!時速1200キロのスピードで振り下ろすッッッ!!!
ワタル、危うしッ!
だが、読者の皆様には安心していただきたいッ!ワタルは最強なのだッ! ごく普通の、最強の高校生なのだッ!
故にッッッ!!!
「……なんだと……!」
先ほどまでうつ伏せだったワタルがッ!
いつの間にか超スピードでデウスの後ろに回り込んでいるのもッッ!!
何らおかしいことではないッッッ!!!
「クソ!」
デウスは悪態をつきながらジャンプッ!とっさにワタルから距離を取ったッ!
「魔王……あんたのさっきの正拳突き、悪くなかったぜッ!おかげでようやく目が覚めたッ!」
「……ほう?」
「このところ連戦続きで、流石の俺も寝不足だったものでな……だから俺はまず、あんたに謝りたいッッッ!」
すると彼は、デウスに向かって深々と頭を下げたッ!これにはデウスも、周りのギャラリー達も、唖然ッッッ!!!圧倒的唖然ッッッッッ!!!!!
「貴様、馬鹿にしているのか!」
デウス、激昂ッ!しかしワタルは動じないッッ!!
「万全の状態で戦いに挑まなかったこと……ッッッ!それは、武闘派として恥ずべき行為……ッッッ!だから謝る必要があるんだッッッ!」
「さすがですワタルさん!」
「武道の精神を重んじるその姿勢、称賛に値するな!」
アリアとリベリオンは口々にワタルを褒めるッ!
「それじゃあ、ここからは……ちゃーんと目を開けて戦ってやる……ッッッッッ!!!!!」
そう言うとワタルは腰を低く落とし、全身に力を入れ始めたッ!
するとッッ!!
「フンッッッッッ!!!!!」
ブオンッッッッッ!!!!!
なんという事だッ!爆音とともにワタルの周りに突如赤いオーラが発生ッ!そして彼の髪の毛が一斉に逆立つッッッ!
「いくぜッッッ!!!爆熱猛怒ッッッッッ!!!!!」
彼は力強く叫んだッッッッッッッ!!!!!
「こ、この莫大なエネルギー量は……!」
デウス、驚愕ッ!
「さて、と……悪いが異世界の温度、ちょっとばかし上げさせてもらうぜ……ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」
その瞬間ッ!
ワタルを中心とした半径10キロメートルの地域の平均気温がッッ!!
5度上昇したッッッ!!!
「拳に魔法のエネルギーを集中させて強度を上げる、か……。デウス、あんたの技面白いな……ッ!」
全身を赤いオーラに包んだワタルが静かに口を開くッッッ!!!
「……でもよぉ……ッ!
あんたの魔法の拳よりも……ッッ!!
俺の熱血の拳の方が……ッッッ!!!
数段 “強い” と思うぜェ……ッッッッ!!!!」
次回、「ワタルの方が!もっとやべえッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]主人公の必殺技にありがちな名前100選……異世界転生出版




