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第109話 「美しき斬撃!その名は大剣のクリフッ!」

 前回までのあらすじ! 旧友デウスの(かたき)を討つため、ワタルの前に姿を現した暗黒武術協会三拳聖の1人、ジョー! そしてワタルとジョーは、早朝のスカイ王国を舞台に熾烈な力比べを敢行! 結果、ワタルがギリギリで勝利した! 更に畳みかけようとするワタルであったが、突如背後に謎の気配を察知する! とっさに振り向くとそこには、全長2メートルはありそうな大剣を持った男性が立っていた!











 それはッ! “剣”と呼ぶにはあまりにも巨大すぎたッッ!!


 大きくッ! 分厚くッ! 重くッ! そして大雑把すぎたッ!


 男が右手に軽々と持っているそれは、もはや“鉄塊”に等しかったッ!


「誰だお前はッッッ!!!」


 仁王の形相で聞くワタルッ!


 すると大剣を持った男性は、ニヤリと笑って口を開いたッ!


「俺の名はクリフ。種族は人間。そして――三拳聖だ」


「何ィッ!? お前も三拳聖なのか……ッ!」


 そう言ってクリフの姿をまじまじと見つめるワタルッ!


 相手はスリムな白いロングコートを羽織っており、両手には黒の指ぬきグローブを装着している! 髪の色は茶色で、身長はおそらく170センチメートル! ジョーほど恵まれた体格をしているわけではないが、コート越しでも分かるぐらいに筋肉はあるようだ!


「俺の使命はただ一つ。それは、ワタル……貴様を“狩る(ハントする)”ことさ……ジョーよ、手出しは無用だ。こいつは俺一人でやる」


 そう言うと彼はおもむろに、ブオンと大剣を振り上げたッ! 何十キロ、いや何百キロはありそうな得物を軽々と振り上げるとは、流石三拳聖であるッ!


「ふん、好きにするがいい……どのみちお前の大剣攻撃は、リーチが長すぎて協力戦には不向きだ。下手に手を貸せば俺まで攻撃に巻き込まれかねん」


 ジョーはそう返しながら、ゆっくりと後ろに引きさがった!


「さて、それでは……行くぞ!」


 素早くダッシュをして、一気にワタルとの距離を詰めていくクリフッ! そしてコートをひるがえしながら、大剣を右から左へと勢いよく振り回したッ!


「クッッッ!!!」


 ワタル、不利ッ! 圧倒的不利ッ!


 クリフが全長2メートルの大剣を持っているのに対して、ワタルは徒手空拳ッ! すなわち素手ッ!


 それ故リーチの差があまりにも顕著であるッ!


「ドリャアッ!」


 ワタルは素早く身をかがめて、クリフの横なぎの攻撃をかいくぐったッ! そのまま前に踏み込み、敵の腹目がけてアッパーを繰り出すッ!


 しかしクリフは素早く地面を蹴って後ろに跳び、ワタルのアッパーを紙一重で避けたッ!


「俺の相棒、“ダークネス・ドラゴン・ブレイド”――略してD・D・B――は、その重さを利用して敵に強烈な一撃をお見舞いすることができる。だがその分小回りは効かないから、相手に懐に潜り込まれたら潔く後ろへ下がる必要があるのさ……!」


「いちいち説明口調な奴だ……ッ!」


 苦虫を噛み潰したような表情で呟くワタルッ!


 すると2人の戦いを観戦していたジョーが、一歩前に出て口を開いたッ!


「さて、今度はこちらの番だ。クリフ、お前は少し休んでいろ」


「ふん、良いだろう……」


 クリフはそう言うと、手に持っていた大剣をグサリと地面に突き立てる!


「今度はジョーか……ッ!」


 ワタルは眉間にしわを寄せながら振り返り、ジョーを睨み付けたッ!


 暗黒武術協会でもトップの実力を誇る三拳聖の2人を交互に相手するのは、流石のワタルでも骨が折れるッ!


「さて、と……ワタルよ、1つ質問をしてもいいか?」


「なんだッッ???」


 するとジョーは右手を振り上げ、そこに魔力を集中させたッ!


「痛いのは、好きか……?」






 グオォンッッッ!!!






 彼の右手が、みるみるうちに黒いオーラに包まれていく! これは暗黒武術協会が編み出した技、その名も“硬手(こうしゅ)”ッ!


 かつての魔王デウスや、この間闘ったオークのゴードンもこの技を使っていたッ!


「よーく見ておけ……この時点では、ただの硬手だ……だが、俺の場合は一味違う……! ふんっ!」


 彼が力を込めると、右手を包んでいたオーラの色が一瞬にして黒から紫に変わったッッ!!


 突然の変化に、読者の皆様が驚きを隠せないのも無理はないッ!


「ではいくぞ!」


 紫のオーラに包まれた右手を振りかざしながら飛びかかってくるジョー! そしてその右手で、ワタルの顔面目がけてチョップをしたッ!


「来いッッッ!!!」


 対するワタルは、すかさず左腕を構えて相手のチョップを受け止めるッ!






 ドスンッッッ!!!






 凄まじい衝撃とともに、ジョーのチョップがワタルの左腕に直撃したッ!


 するとジョーが、不敵に笑いながら口を開くッ!


「それで防いだつもりか……?」


「ッッッ!?!?」


 その時――ワタルは左腕に“違和感”を感じた! ピリピリと微かに痺れ、上手く力が入らなくなっていくッ!


「ど、どういうことだ……ッ!」


 極限まで鍛え上げられ丸太のように太くなったワタルの腕は、チョップをくらったぐらいではダメージなど負わないはずなのだッッ!!


 しかし今、謎の痛みが彼の左腕を襲っているッッ!!


「くそッッ!!」


 ワタルは冷や汗をかきながら後ろに下がり、ジョーと距離を取ったッ!


「う、腕が……動かない……ッッ!!」


 左腕のしびれは深刻なまでに進行していき、気が付けば全く動かせないレベルにッ!


「ジョーッ! 貴様、何をしたッ!」


 ワタルは、もはや感覚すらなくなった左腕をだらりとぶら下げながら尋ねたッ!


「くっくっく……では、冥途の土産に教えてやるとしよう」


 紫のオーラに包まれた右手を前にかざしながら、ニヤリと笑うジョー!


「手に魔力を集中させて強度を極限まで上昇させる技、“硬手”。俺はこの技に、“毒属性を付与するエンチャント魔法”を組み合わせたのだ」


「な、なんだと……ッ!?」


 ワタルはそれを聞いて驚愕したッ! 正直魔法の知識を持っていない彼にとっては、エンチャントだのなんだの言われてもさっぱり意味は分からないのだが……とりあえず、その場のノリで驚愕したッッ!!


「拳の強度を上げ、かつ攻撃を当てた敵に毒も付与する……これこそ俺の必殺拳、“毒手(どくしゅ)”だ!!」


 勝ち誇ったような顔で叫ぶジョー!


 すると今度は、後ろで戦いを眺めていたクリフが口をはさんできた!


「おい、ジョー! もうそろそろ良いだろう! 今度は俺がやるぜ!」


 そして地面に突き立てていた大剣を引き抜き、構えるッ!


「クッ、まずいな……ッッ!!」


 ワタル、一世一代の大ピンチッ! 片腕が使えない状態で、三拳聖2人を交互に相手しなくてはならなくなってしまったッ!


 このままではまずいぞッ! 下手をすると、次回が最終回かもしれないッ!


 果たして、この小説の運命や如何にッ!


 次回、「ここで助っ人!リベリオン乱入ッ!」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1]異世界ファンタジーにありがちな武器大百科―大剣編―……異世界転生出版


[2]中学生向け・エンチャント魔法入門……異世界転生出版

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