表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/138

第107話 「最新RPG!ワタルの熱血大喜利バトルッ!」

 前回までのあらすじ! ワタルは、アリアと一緒に最新家庭用ゲーム“フェニックスワールド”をプレイ! しかしクセの強いキャラメイクや“戦闘は全て大喜利形式”というわけのわからないシステムに、ワタルは困惑してしまうのであった……!











『では、最初の試練だ……“「お前、絶対勇者向いていないだろ」さて、どんなやつ?”』


「え、なんだこれ……ッ? クイズか……ッッ???」


 ゲーム内に響く天の声に、ただただ困惑するワタルッ!


「違いますよワタルさん! これは“大喜利”です! このゲームの戦闘は、全て大喜利形式になっています! 面白い回答ができれば、クリアなんです!」


「なんでだよッッッ!!!」


 彼は思わず憤慨したッッッ!!!


「まあまあワタルさん、たまにはこういう斬新なシステムのゲームもいいじゃないですか。さあ、頑張って面白い回答を考えましょう!」


「そ、そう言われてもな……ッッ!!」


 大喜利のお題は“「お前、絶対勇者向いていないだろ」さて、どんなやつ?”であるッ!


 読者の皆様もぜひ一緒に考えてほしいッ!


 そして数秒のシンキングタイムの後、ワタルはおもむろに口を開いたッ!


「“めちゃくちゃ臆病で戦えない”っていうのはどうだッッ???」


「びっくりするほど面白くないですね。ワタルさん大喜利って知ってますか?」


 アリア、無表情で即答ッッ!!


「い、いいから入力してみろよッ!」


「はいはい」


 彼女はコントローラーを使ってしぶしぶ文字を入力したッ!


 すると神殿入り口の扉がかすかに紫に光り、天の声がこだまするッ!


『びっくりするほど面白くないな。貴様は大喜利というものを知らんのか?』


「なんでゲーム側もまったく同じ反応なんだよッッ!!」


 ワタルは驚愕したッ!


「じゃあ今度は私が回答してみますね!」


「おうッ! やってみてくれッ!」


 アリアは数秒考えた後、軽快な手つきでコントローラーを操作し始めるッ!


「なんて回答してるんだッ?」


「“冒険に行き詰まったらすぐwikiに頼る”です」


「現代っ子だなッッ!!」


 入力し終えると神殿入り口の扉がかすかに紫に光り、再び天の声がこだまするッ!


『草』


 そして神殿の扉が開いたッッ!!


「こいつ今なんて言ったんだッッ???」


 説明しようッ! ワタルは熱血武闘派の日本男児なので、ネット用語はあまり詳しくないのであるッ!


「“草”は、“おもしろい”という意味です。ウィンド大陸のネット界隈では頻繁に使われていますね」


「そ、そうなのか……ッッ!!」


 というわけで、アリアは早速ゲーム内の主人公である緑肌のオークを操作し、神殿内部へと入ったッ!


 そこは広々とした空間になっており、壁に掛けられた松明の明かりが中を明るく照らしているッ!


 さらに部屋の奥にはまたしても巨大な扉がッ! ――だが、固く閉ざされていて先には進めないッ!


 するとその扉が青い光を放ち始め、周囲におなじみの天の声が鳴り響くッ!


『よくぞここまでたどり着いたな……! この先の部屋に、貴様の追い求める“フェニックスの羽根”があるぞ。しかし、先へ進むためには第二の試練を超えなくてはならない!』


『どんな試練であろうと、俺は乗り越えて見せるぜ!!!』


 ゲーム内の主人公はそう叫びながら、意気揚々と懐から剣を抜いたッ!


「というかコイツ、剣を持つ必要ないだろッ!」


「バトルは全部大喜利ですもんね。この剣いらないでしょ」


 口々にツッコむワタルとアリアッッ!!


『では、第二の試練だ……“めちゃくちゃクセが凄い魔王にありがちなこと”と言えば?』


「大喜利のお題からしてクセが凄いなッッ!!」


 そんなわけでシンキングタイムスタートッ! 読者の皆様もぜひ一緒に考えてみて欲しいッ!











 数秒にわたるシンキングタイムを経て回答を思いつくワタルッ!


「よしッ! “口調がオネエっぽい”っていうのはどうだッッ???」


「うーん、まあ悪くはないですけど、パンチが弱くないですか?」


 眉間にしわを寄せて首をひねるアリアッ!


「まあ物は試しだッ! とりあえず入力してみてくれッ!」


「はーい」


 アリアがコントローラーを操作してワタルの解答を入力すると、扉が青く発光したッ! そして神殿内部に響き渡る天の声ッ!


『うーむ……まあ悪くはないと思うが、ちょっとパンチが弱いな……』


「さっきからなんでアリアと天の声は息ぴったりなんだッ!?」


 彼は思わず困惑してしまったッ!


「じゃあ今度は私の番ですね」


 そう言ってコントローラーを操作するアリアッ!


「次はどんな回答をしているんだッ?」


「“魔王のパソコンの検索履歴が「勇者 倒し方」「勇者 こわい」「勇者 パーティー構成 詳細」みたいなのばかり”です」


「現代っ子だなッッ!!」


 そしてアリアが大喜利の回答を入力し終えると、突如扉が神々しく光り


『ええやんか、俺は好き』


と言う天の声がこだましたッ! 同時に扉も開くッ!


「なんかよく分からんが天の声のツボに入ったみたいだなッ!」


「良かったですね!」











 アリアが主人公(緑肌のオーク)を操作して奥の部屋に入ると、そこには神々しく輝く大きな宝箱があったッッ!!


「アァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! これ絶対フェニックスの羽根じゃんッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 テレビの画面にくぎ付けになりながら叫ぶワタルッッッ!!! うるさいッッッ!!!


「早速あけましょうか!」


 アリアもウキウキ顔でそう言ったッ!


 ――が、しかしッッ!!


「……あれ?」


 主人公が宝箱を開けようとした途端ゲームが止まり、メッセージウィンドウが画面に表示される!


「なんて書いてあるんだッッ???」


「えーと……ここから先のストーリーを遊ぶためには、有料DLCの購入が必須となっております」


「は????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????」


 ワタル、混乱ッ! 圧倒的混乱ッッ!!


 ちなみに“DLC”とは“ダウンロードコンテンツ”の略で、要するに追加で課金を行わないとこの先をプレイできないという意味だッ!


「なんだよそれッ! ソフトの購入料金以外にもお金とるのかよッッ!!」


「まあ最近はゲームの開発費用が高騰していて、パッケージ単体の利益だけでは赤字になるらしいですからね」


 説明しようッ! 近年スカイ王国ではゲームのグラフィック技術が劇的に向上しているのだが、それに比例して開発費用も高騰ッ! そのためパッケージ販売そのものの利益だけでは開発費が回収できず、このようにDLC商法で稼ぐ必要が出てきているのだッッ!!


「世知辛い世の中だなッッッ!!!」


 次回、「ワタルvs三拳聖!激闘の幕開けッ!」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1]おもしろ大喜利全集……異世界転生出版


[2]スカイ王国のゲーム開発事情……異世界転生出版


[3]ゲームクリエイターインタビュー~DLC商法はゲーム業界にどのような変化をもたらすのか~……異世界転生出版

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ